イタリア映画 「女王蜂(1963)」 子作りに全精力を費やして死んで行った男の物語! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「女王蜂(1963)」

(原題:Una storia moderna: l'ape regina)

 

「女王蜂(1963)」 全編

 

 1963年4月7日公開。

イタリア式コメディの名作。

愛妻に命を吸い取られた哀れな男の物語。

 

原作・脚本 : ラファエル・アスコナ、マルコ・フェレーリ

監督:マルコ・フェレーリ

 

キャスト:

アルフォンソ:ウーゴ・トニャッティ

レジナ:マリナ・ヴラディ

マリアノ師:ワルター・ギラー

 

あらすじ:

アルフォンソ(ウーゴ・トニャッティ)は四十代で、自動車のセールス会社を経営している。

友人の修道僧マリアノ師(ワルター・ギラー)に結婚をすすめられ、中産家庭の娘レジナ(マリナ・ヴラディ)という信心の篤い、健康で美しい女を紹介された。

新婚生活は幸福そのものだった。

アルフォンソはレジナを愛した。

毎晩のように愛した。

彼女も若さで彼の愛に応え、更に彼の愛を誘った。

レジナは、女性の誰もがそうであるように子供を産みたがり、伯母や従姉妹たちもいつ彼女が妊娠するか、いつ子供が生まれるかと待ち焦れた。

アルフォンソとて子供が欲しいのは同じだが、医者に見て貰っても身体に異状はない。

四十代といえば若くはない。

アルフォンソはいつの間にやらレジナの要求が苦痛になり、残業を口実にオフィスに泊まろうとすると、そこへまで訪れて夫に要求をする。

ある夜、アルフォンソはついに倒れ、海岸の村に保養にやられた。

レジナのいない生活にアルフォンソは幾分健康をとり戻したかに見えたが、彼女は見舞いと称して現れ、その日を契機に床につききりになってしまった。

村に置いてもおけず、病院の車で自宅へ戻ったものの、医者も彼の回復には自信を失い、神の加護を願う以外の知恵がなかった。そんなある日、レジナはついに妊娠した。

何カ月かの後、レジナや伯母、従姉妹たちが見守る中で、マリアノ師が生まれて間もない赤児に洗礼を授けていた。

アルフォンソの健康だった頃の写真が、レジナの背後の壁で笑っているような、泣いてもいるような顔でそれを見ていた……。

アルフォンソはもはやこの世の人ではなかったのだ。

 

コメント:

 

原題の「Una storia moderna: l'ape regina)は、「ある現代の物語 女王蜂」の意。

 

子供が欲しくてたまらない中年の男が、美しい女性と結婚し、毎晩の如く子作りに励む話だ、

だが、どうやっても妻は妊娠せず、夫はどんどん勢力を抜かれて、ついに病気になる。

その後看護の甲斐あって復調し、再度彼は子作りに励んだが、子供が生を受ける日まで命が持たず、あの世に旅立ってしまった。

実に残念なお話である。

 

第16回カンヌ国際映画祭に出品され、ヒロインを演じたマリナ・ヴラディが女優賞を獲得した。

公開の翌年1964年(昭和39年)、アメリカ合衆国では、第22回ゴールデングローブ賞において、マリナ・ヴラディが主演女優賞 (ドラマ部門)にノミネートされたが、賞は逸した。

同年、イタリア国内の映画を審査しているナストロ・ダルジェント賞において、ウーゴ・トニャッツィがナストロ・ダルジェント主演男優賞を受賞した。

「ナストロ・ダルジェント」とは、「銀のリボン」という意味。

日本の「ブルーリボン賞」的な映画祭である。

 

女王蜂のようなヒロインを熱演したマリナ・ヴラディは、フランスの女優。

父親はロシア人。

1954年シュザンヌ・ビアンケッティ賞を受賞し、1963年の映画『女王蜂』でカンヌ国際映画祭 女優賞を受賞。

4度結婚しているが、1970年に結婚したソビエト連邦の歌手・詩人であるヴラジーミル・ヴィソツキーとは彼が1980年に亡くなるまで一緒であった。

1992年、日本映画『おろしや国酔夢譚』(佐藤純彌監督)にエカテリーナ2世役で出演し、緒形拳らと共演した。

 

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4度も結婚しているという経歴を見ると、この人はまさに公私ともに女王蜂だったのではないかと思えてくる国際派女優だ。

 

 

監督をつとめたマルコ・フェレーリは、イタリア・ミラノ出身の名監督として、多くのヒット作を残している。

主な作品は以下の通り:

  • 女王蜂 L'ape regina (1963年)
  • 歓びのテクニック Marcia Nuziale (1965年)
  • ハーレム L'harem (1967年)
  • ひきしお La cagna (1972年):出演はカトリーヌ・ドヌーヴとマルチェロ・マストロヤンニの共演
  • 最後の晩餐 La Grande Bouffe (1973年):マストロヤンニ主演のヒット作品
  • バイバイ・モンキー/コーネリアスの夢 Ciao Maschio (1977年)
  • マイ・ワンダフル・ライフ Chiedo Asilo (1979年)
  • ありきたりな狂気の物語 Storie di ordinaria follia (1981年)
  • ピエラ 愛の遍歴 Storia di Piera (1983年)
  • 未来は女のものである Il futuro è donna (1984年)
  • I LOVE YOU I Love You (1986年)

 

この映画は、YouTubeで全編無料視聴可能。