イタリア映画 「マンマ・ローマ」 娼婦だった母親の過去を知ってしまった息子の悲劇! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「マンマ・ローマ」

(原題:Mamma Roma

 

Mamma Roma (1962) - IMDb

 

「マンマ・ローマ」 全編

 

1962年9月22日イタリア公開。

2004年5月18日日本公開。

パゾリーニ監督の第2作。

プチブルな生活を夢見た娼婦とその息子の不幸を描く異色作。

 

監督・脚本:ピエル・パオロ・パゾリーニ。

 

キャスト:

  • マンマ・ローマ:アンナ・マニャーニ
  • エットレ:エットレ・ガロファーロ
  • カルミネ:フランコ・チッティ
  • ブルーナ:シルヴァーナ・コルシーニ

Mamma Roma and the Conflicted Passions of Pier Paolo Pasolini – Senses of  Cinema

 

あらすじ:

美しく成長した息子・エットレ(エットレ・ガロファーロ)を引き取った元売春婦のマンマ・ローマ(アンナ・マニャーニ)は、市場の屋台で乏しい収入を得ながら、息子を上流階級の仲間入りさせることを夢見ていた。

彼女の悩みは、年上の子持ち女ブルーナ(シルヴァーナ・コルシーニ)にエットレが堕落させられることだ。

彼女は策を弄し、売春婦仲間に頼んで、ブルーナと手を切らせ、さらに教会で見かけたレストラン経営者の弱みを握って、エットレをウェイターとして働かせることに成功した。

しかし、幸福は長く続かない。

彼女のヒモだったカルミネ(フランコ・チッティ)が彼女に売春婦に戻るよう脅しをかけてきたのだ。

息子に過去をばらすと言われ、仕方なくマンマ・ローマは再び街に出るようになった。

一方、エットレは仕事もやめてしまい、仲間たちと病院の見舞い品窃盗に興じる。

ある日、仲間といざこざを起こした彼は、高熱と苛立ちから、盗みを強行して逮捕されてしまう。

監獄で熱にうなされて暴れ出した彼は、一晩中拘束寝台に縛り付けられ、母に詫びながら息を引き取ってしまう。

息子の死を聞かされ、呆然とするマンマ・ローマの眼差しの先にあるのは、都市ローマの空虚な風景だった。

 

Mamma Roma (1962) - Ritz Cinemas

 

コメント:

 

ピエル・パオロ・パゾリーニ監督のヒューマンドラマ。

 

元娼婦のマンマ・ローマ(アンナ・マニャーニ)は16年間離れて暮らしていた一人息子のエットレ(エットレ・ガロファーロ)を引き取り、まともな生活を送らせようとした。

しかし周りの不良と付き合ったり、年上の女から誘惑されたりと腰の据わらないエットレであった。
息子を就職させるために金持ちの社長を美人局でわなにかけたり、元の娼婦仲間に息子を誘惑してもらい、女から離そうとしたりしているうちに昔のヒモが訪ねてきて娼婦に逆戻りさせられる。
そんなとき息子エットレは仲間とのいざこざから病院に盗みに入り逮捕されてしまう。

そして高熱を出し拘束ベッドの上で誰にも看取られずに死んでしまう。
後には一人っ子の死を悲しむ母親の姿だけが残されるというエンディングだ。

 

Janus Films — Mamma Roma


息子がもうすぐ精神的に成長するかと思いながら見ていたが、結局は母親の甘やかしが原因なのか立ち直ることができなかった。

 

自分の母が娼婦だったことを知って絶望し、獄中で最後を迎える息子と、残された母。

この二重の不幸を描いたヒューマンドラマとして今でも評価の高いパゾリーニ監督の初期の作品である。

 

ヒロインの娼婦を演じたアンナ・マニャーニの演技が抜群だ。

この女優は、あの『無防備都市<』でもヒロインを演じたことで有名。

 

この映画は、ずっと日本未公開だったが、イタリア公開の42年後の2004年5月に公開されている。

 

イタリア映画もイギリス映画も、長年にわたって日本未公開の作品がまだたくさんあるのだ。

 

この映画は、YouTubeで全編無料視聴可能。