「インディア」
(原題:India, Matri Bhumi )
1959年6月27日公開。
イタリア・フランス合作映画。
ロベルト・ロッセリーニによるドキュメンタリー作品。
脚本:ロベルト・ロッセリーニ、ソナリ・センロイ・ダス、グプタ、フェレイドウン・ボウェイダ
監督:ロベルト・ロッセリーニ
あらすじ:
この映画は、オープニング タイトルで、出演者は全員、描かれている場所からキャストされたプロではない出演者であると宣言している。
現代のボンベイの風景の上で、吹き替えナレーションが何千人もの賑やかな人々について述べ、インド人の人種的および宗教的寛容さを称賛し、その後、本当のインドと呼ばれる国のより田舎の地域に移ってゆく。
ここで映画は、森の一部を伐採するために象を使っている男性のシーンを通して、インディアンと自然とのつながりを称賛している。
ゾウたちは風呂に入り、餌を与えられ、人間の労働者たちは伝統的な人形劇を鑑賞する。
東ベンガルからのヒンズー教難民である若い労働者デヴィが紹介され、彼が映画のナレーターとなる。
彼は地元の女性に求婚し、伝統的な儀式で結婚する。
デヴィの妻が妊娠すると、デヴィには妻の世話をしたり仕事をしたりする時間がないため、デヴィは母親と一緒に暮らすように送なる。
映画はヒマラヤ山脈の麓に移り、いくつかの川を下流にたどり、生命を与える水の源と人々との精神的なつながりに言及する。
インドの歴史は、ゆっくりと川の水に浸食されている古代寺院に表れている。
ナレーションは古代インドの聖典を引用しており、映画では巨大な人造湖を作る巨大なヒラクドダムの建設が描かれている。
デヴィはダム建設の仕事に就き、妻は出産する。
デヴィのナレーションは、洪水で失われたであろう数え切れないほどの人々の命を救うために作業員の中で175人が亡くなったことを嘆き、ダム建設に携わったことへの誇りを表現している。
やがて形成される湖に飲み込まれそうな木の切り株を見つけたデヴィは、そこに自分の旅と感情を綴る。
デヴィと妻は、ダムのそばにある家を出て、稲作畑、古代イスラム教の砦、ジャングルを通って西へ旅する。
コメント:
本作は、ロベルト・ロッセリーニ監督による 1959 年のイタリアのドキュメンタリー映画とフィクションのハイブリッド映画である。
ロッセリーニが母国イタリアでの発展に貢献したネオリアリズムのスタイルと、詩的なナレーションを組み合わせたもの。
第1回モスクワ国際映画祭に出品された。
イタリアの巨匠、ロベルト・ロッセリーニが大まかな構想だけを持ってインドに渡り、現地で出会った人々や、体験した事件を取り入れながら作っていったドキュメンタリー。
象使い、ダム建造者、猿回しの猿などの姿を捕らえながら文明と自然のせめぎ合うインドに人間の生と死を寓話的に描き込んだ作品。
ドキュメンタリー作品ということになってはいるが、実際にはドキュメンタリー風のドラマである。
何を描きたかったのかははっきりしないが、イタリアのネオレアリズモによって、インド社会の不可思議さを見せたかったようだ。
だが、成功しているとは思えない。
所詮、イタリア人が信じるキリスト教やその元祖であるユダヤ教から想像できる出来る世界というのは、インド人が信じるヒンズー教の世界とは相当へだたりがあるのだ。
ヒンズー教と仏教とは近しい関係にあるので、日本人の方が、インドの世界を理解しやすいかも知れない。
この映画は、YouTubeで9分割した映像が観られるようになっている。