「閉店時間」
1962年4月18日公開。
デパートの女性社員を描いたコメディ作品。
原作:有吉佐和子
脚本:白坂依志夫
監督:井上梅次
キャスト:
- 松野紀美子:若尾文子(呉服売場)
- 藤田節子:野添ひとみ(食品売場)
- 牧サユリ:江波杏子(エレベーターガール)
- 生方誠:川口浩(呉服売場の新入社員)
- 畠英也:川崎敬三(宣伝部の嘱託社員)
- 竹井安雄:竹村洋介(卸屋「大友屋」の社員)
- ツルオカ:大木実(テープライブラリーの先生・声優)
- 食品売場の店員:澁沢詩子
- 呉服売場の課長:潮万太郎
- 呉服売場の社員:夏木章
- 食品売場の社員:石井竜一
- 部下:中条静夫
- ナカヤマ:村上不二夫(食品売場の主任)
- 警備員:星ひかる
- クレーム客:早川雄三
- 薬剤師:谷謙一
- 街角のチンピラ:丸井太郎
- 街角のチンピラ:土方孝哉
- エレベーターガール:紺野ユカ
- ツルオカの妻:八潮悠子
- バーのマダム:若松和子
あらすじ:
紀美子(若尾文子)、節子(野添ひとみ)、サユリ(江波杏子)の三人は、同じ高校から東京デパートへ入社した仲良しだ。
紀美子は呉服売場、節子は食料品売場、サユリはエレベーターと三人とも職場は違うが、短かい休憩時間を利用してはお互いの悩みを話し合うのだった。
真面目だが勝気な紀美子は、女性は男性と対等でなければならないと信じている。
だから新入社員の生方誠(川口浩)が、ことごとに女性を軽蔑したそぶりを見せるのが我慢出来ない。
紀美子は何かと生方に対立するが、いつしか恋に発展して行った。
一方、節子はいたって家庭的な女の子で、生活の充実を漠然と求めて働いているうちに食品会社の出張社員・竹井(竹村洋介)と知り合うようになった。
今時珍らしいほど堅実な青年である竹井を節子はだんだん好きになった。
だが、食品売場の主任はこの二人の仲を良く思わなかった。
問屋の店員とデパートの売子が交際するのはいけないというのだ。
何かにつけ竹井に言いがかりをつける主任をみると、節子は、憤りを感じないわけにはいかなかった。
エレベーター係のサユリは恋愛を自由に楽しむ主義で、閉店時間になると派手な化粧をして夜の街へとび出すのだ。
そのうち彼女は宣伝部の畠(川崎敬三)と知り合った。
妻子のいる彼と恋を楽しむサユリだが、そんな彼女でもふっと淋しくなることがあった。
やがて畠は彼女に内証で姿を消した。
派手好きなサユリはもうデパートにいやけがさし、とうとうバーにくらがえしてしまった。
節子は主任にいじめられながらも、竹井をかばい、二人の健康な家庭を築こうと未来に夢をはせるのだった。
また、紀美子と生方はけんかしながらも相手の良さを知るようになり、売場主任の仲人で結婚することになった。
あわただしい閉店時間。
彼女たちはそれぞれの生活へと解放されて散っていくのだ。
コメント:
原作は、有吉佐和子の読売新聞連載の人気小説。
当時女性会社員のことは、OLではなく、BGと呼ばれていた。
デパートの女性社員もBGであった。
女性でも男性と同様に一人前に仕事ができることが最先端のファッションのようになっていた。
その後、BGの正式名「ビジネス・ガール」は、「商売女」つまり「売春婦」という意味もあるという話がマスコミに取り上げられ、一気に消えて行くことに。
代わって現れたのがOLだった。
これは「オフィス・レディ」の略として定着した。
映画タイトルの「閉店時間」は、デパートの閉店後の女性社員たちの恋の行方を描いていることを暗示している。
デパートの照明の使い方が上手く、「閉店でございます」のアナウンスと共に、次々とライトが落とされていくが、マネキンを照らす光が微妙に暗くなる様子や、売り場全体のライトが減りつつ、そこに浮かび上がる若尾文子と川口浩の姿はなかなか洒落た描写であった。
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