「怒りを込めて振り返れ」
(原題:Look Back in Anger)
1980年公開。
日本未公開。
脚本:ジョン・オズボーン
監督:リンゼイ・アンダーソン、デヴィッド・ヒュー・ジョーンズ
キャスト:
ジミー・ポーター:マルコム・マクダウェル
アリソン:リサ・ベインズ
ヘレナ・チャールズ:フラン・ブリル
クリフ:レイモンド・ハーディ
あらすじ:
労働階級の粗野な男ジミーは、嫌なことがあると中流階級出身の妻アリソンをいつも口汚く罵っていた。
ジミーは教育を受けているものの、露天商でキャンディを売って生計を立てている。
ある日ジミーはアリソンにアイロンを投げつけ、アリソンは火傷を負ってしまう。
コメント:
知性はあるが不満を抱えた青年ジミー・ポーター(マルコム・マクダウェル)、アッパー中産階級で無表情な妻アリソン・ポーター(リサ・ベインズ)、そして彼女の気難しい親友ヘレナ・チャールズ(フラン・ブリル)が関わる三角関係についての物語である。
愛想の良いウェールズ人の下宿人クリフ(レイモンド・ハーディ)は平和を維持しようと努める。
イギリスのパブリックスクールの実態を暴いた1968年の衝撃作『If もしも....』で監督をつとめたリンゼイ・アンダーソンが、主役だったマルコム・マクダウェルと再びタッグを組んだ問題作である。
この映画はジョン・オズボーンの戯曲「Look Back in Anger」を原作としている。
この映画の原作である戯曲「Look Back in Anger」は、これまで何度も映画化、舞台化されているが、本作はその最高作品とされている。
イギリスの劇作家ジョン・オズボーンの戯曲「Look Back in Anger」。
1956年5月、イギリス舞台協会によりロンドンのロイヤル・コート劇場で初演。
初めは静かな滑り出しであったが、ほどなく爆発的人気をよぶようになり、18週間のロングランを続け、新進劇作家輩出の呼び水の、さらには「怒れる若者たち(アングリー・ヤングメン)」とよばれる文化現象の口火を切る役割を果たすことになった。
男女の三角関係を扱った3幕のリアリズム演劇という従来の型どおりの枠組みのなかで、主人公のジミー・ポーターがまったく新しい戦後世代のタイプの登場人物として型破りで新鮮な魅力をもったのである。
三流大学を出て田舎町で屋台の菓子屋をやり、イギリスの過去の栄光を羨望しまた非難し、拠るべき、また倒すべき大義のない現代を呪い、自分や妻を愛しまた憎み、さまざまな矛盾に苦悩するジミーの饒舌(じょうぜつ)は、当時の鬱積(うっせき)した社会的感情のいわばはけ口であった。
日本でも1959年(昭和34)5月、文学座アトリエ公開公演として初演となった。
残念ながら、この映画も、日本未公開である。