「インディア・ソング」
(原題:India Song)
1975年6月4日公開。
1930年代のカルカッタの仏大使館を舞台に男女の性愛を描いた異色作。
原作:マルグリット・デュラス『インディア・ソング』
監督・脚本:マルグリット・デュラス
キャスト:
- デルフィーヌ・セイリグ:アンヌ・マリー・ストレッテル
- ミシェル・ロンダール:元副領事
あらすじ:
1937年、インドのカルカッタ。フランス大使夫人アンヌ・マリー・ストレッテル(デルフィーヌ・セイリグ)は30代の成熟した女性。
彼女は植民地の白人社会では女神のような存在で、娼婦のように男たちに身体を許している。
フランス大使館でのパーティの夜、ラホールの元副領事(ミシェル・ロンダール)が招かれる。
噂では、彼は30代でまだ童貞で、以前副領事の時にハンセン病患者たちに向けて発砲するという事件を起こし左遷されていたという人物である。
彼はアンヌ・マリーを見た瞬間から彼女に惹かれる。
パーティが終わった時、アンヌ・マリーの恋人たちだけは、その場に残ることを許される。
元副領事はアンヌ・マリーに対する気持ちを打ち明け、ここに留まらせて欲しいと熱望するが、アンヌ・マリーは、軽く受け流してしまった。
元副領事はどうにもならない気持ちを押えきれずに大声で彼女に対する思いを叫ぶ。
翌朝、アンヌ・マリーの一行はデルタのプリンス・オブ・ウェールズ・ホテルに行く。
アンヌ・マリーはそのまま河口に入水した。
どこからともなく女乞食の歌声が聞こえてくる。
コメント:
1930年代のカルカッタの仏大使館を舞台に人間の癒しがたい倦怠感、愛の渇望等を描く。
本作は、フランスの作家マルグリット・デュラスが監督した映画だが、演劇のような不思議な作品になっている。
マルグリット・デュラス自身が、1973年に出版した著作『インディア・ソング』(『ラホールの副領事』の続編)の映画化。
舞台化もされたようだ。
原作はいちおう小説ということになっているが、副題として「テクスト・テアトル・フィルム」という言葉が付記されており、小説とも戯曲ともレーゼドラマともレーゼシナリオとも呼べるような超ジャンル的なテクストであった。
カンヌ国際映画祭に出品され、その斬新な作風に賛否が分かれたが、日本では同年参加した寺山修司などがこの映画祭中で最も重要な作品の一つ」と評価し、熱狂的支持者を作ったといわれている。
寺山修司を熱狂させたという前衛的な作品で、普通の映画を期待して観ると意味不明という感想しか湧かないだろう。
これこそ芸術だと思える人はマルグリット・デュラスの世界を理解できる人である。
米国の大手映画批評サイトROTTEN TOMATOESでの評価は83点。
けっこう好意的に評価されているようだ。
日本人でこれが素晴らしいという人は極めて少ないようだが。
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