「抵抗(レジスタンス) 死刑囚の手記より」
(原題:「Un condamné à mort s'est échappé ou le vent souffle où il veut」)
「抵抗(レジスタンス) 死刑囚の手記より」
1956年11月11日公開。
ナチス傘下のリオンの監獄を脱獄した死刑囚を描く異色作。
キャスト:
フランソワ・ルテリエ
シャルル・ル・クランシュ
モーリス・ベアブロック
ローラン・モノー
あらすじ:
一九四三年独軍占領下のリヨン。
レジスタンス派のフォンテーヌ中尉(フランソワ・ルテリエ)はドイツ軍にとらえられ、拷問された上、モントリュックの監獄に投げ込まれた。
独房で死刑の判決を待つうち、彼は脱出することに全力をつくす。
まずスプーンを研いでナイフをつくり、何日もかかって扉のハメ板を外す。
ベッドの毛布を裂いて綱をつくる。
朝の洗面のとき、収容者同士は秘かに連絡をとるが、脱出はすこぶる困難だ。
フォンテーヌの勇気と強い意志は、次第に人々を動かして行く。
ところが、十六歳のドイツ軍の服を着た脱走兵が彼の同室に投げ込まれる。
はじめは自分を監視するおとりだと思うが、遂に意を決して、この少年にも脱走計画をもらし協力をたのんだ。
いよいよ決行の夜、二人は扉をあけて屋根の上によじ登る。
綱をつたって中庭に降り、警察のドイツ兵を殺して壁を越える。
おそらく、一人だったらこの壁を越えることはできなかったろう。
壁の外には外庭があって、再び第二の壁がある。
壁の外には、衛兵が自転車で巡回していた。
この眼をかすめるために、二人は外壁との間に綱をわたし、空中をつたって外へ出る。
こうして、綿密な計画と、忍耐と、勇気をもって行われたフォンテーヌの脱出は、厳重な計画を突破して成功した。
コメント:
「ブローニュの森の貴婦人たち」の11年後にロベール・ブレッソンが制作した異色作。
フランスのアンリ・ドヴィニ大佐の手記に基き、ロベール・ブレッソンが脚本を書き、自ら監督した異常な物語である。
ゲシュタポによる大量処刑が行われていたモンリュック監獄から脱獄した死刑囚アンドレ・ドヴィニの手記の映画化。
全編にみなぎる緊迫感に圧倒される。
自由を求める主人公の不屈の精神に胸を打たれ、登場する刑務所の仲間も良き人ばかりで、ブレッソン作品のなかで映画として1番面白いのがこの作品。
原題の「Un condamné à mort s'est échappé ou le vent souffle où il veut」は、「死刑囚は逃げた、あるいは、風はその望むところに吹く」という意味。
監督のロベール・ブレッソンは、自身の作品を映画ではなく「シネマトグラフ」と称し、プロの俳優の芝居がかった演技を嫌ったリアリストだったという。
本作の出演者たちもほぼ素人同然とのこと。
舞台となった「モンリュック監獄」は、フランスの中南部に位置するリオンにあった刑務所。
今は観光地になっているようだ。
外観と内観は以下の通り:
(マクロン大統領の訪問の様子)
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