フランス映画200選 第15作 「旅路の果て」 養老院に住む老優たちを描く名作! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「旅路の果て」 

(原題:La Fin du jour

 

旅路の果て - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarks映画

 

「旅路の果て」 予告編 

 

1936年フランス公開。

1948年日本公開。

過去の輝かしい実績を持つ俳優たちがいる俳優養老院の物語。

 

キャスト:

ヴィクトル・フランサン: マルニー

ミシェル・シモン:カブリサード

マドレーヌ・オーズレー: ジャネット

ルイ・ジューヴェ: サンクレール

 

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あらすじ:

南仏サン・ジャン・リヴィエルにある俳優養老院。

そこではかつての日のはなやかな舞台をただ一つの誇りとして、いま多くの俳優たちが余生を送っている。

カブリサード(ミシェル・シモン)は代役専門の役者だったが、主役のギトリーが健康だったため一度も舞台をふんだことがなかった。

しかし、彼は自分の勝手に過去を創造し、ほらばかりふいている。

マルニー(ヴィクトル・フランサン)は古典劇屈指の名優とうたわれていたが、愛人を同僚のサンクレール(ルイ・ジューヴェ)に奪われて以来、俳優としての自信を失い、ここに隠退したのである。

マルニーはその正直な性格の故にカブリサードを俳優として認めない。

そのため、両者の間に時折り小さな争いがあったが、ある日ここへ突然尾羽うち枯らしたサンクレールが現れるまでは、院内は平和な空気にみちていた。

マルニーは恋人がサンクレールの許に走って間もなく変死したので、その死因を疑い、サンクレールにはげしい憎しみを抱いていたのだ。

サンクレールはいつも婦人の渇仰の的となっていると人から思われていたい性格の男で、養老院へきても早速近くのカフェーで働く娘・ジャネット(マドレーヌ・オーズレー)に眼をつけた。

以前から経営難であった養老院は、いまでは万策つきいよいよ解散する破目になった。

このとき院主の尽力でパリの新聞社が義えん金を出し、現役の名優たちによる慈善興行を行い、これを救うことになった。

ところが公演の当夜、主役俳優が不意に事故のため出場できなくなったので一同はマルニーに代役をたのむことにした。

カブリサードは生涯の思い出に、最初にして最後の舞台を踏みたいと決心し、マルニーにたのむが許されない。

彼は暴力でマルニーを倒し舞台に出たが、かなしいかな一言のせりふもしゃべれなかった。

大切な一幕をめちゃめちゃにして自分の部屋へかえった彼はその場に倒れてしまった。

その夜サンクレールは純情なジャネットを自殺させようとしたが、最後にマルニーに気付かれ、ジャネットは死の一歩前で救われた。

数日後カブリサードの葬儀には、遺言により生前彼自身が書いた弔辞をマルニーが読むことになったが、生真面目な彼にはカブリサードを一世の名優としてほめたたえた弔辞を読むことができず、いくたびかためらったのち、弔辞を捨てて自分の思うままを述べた。

「彼は俳優としてはとるに足らぬ男だ。しかし友人としては実にいい男だった。友よ安らかにねむれ」と。

 

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コメント:

 

名匠・ジュリアン・デュヴィヴィエの傑作である。

老人の静謐なドラマかと思ったら、欲望・嫉妬・いじわる・見得・過去の栄光・嘘・虚飾が生々しい老人同士の闘いの物語である。

ヴィクトル・フランサン、ミシェル・シモン、ルイ・ジューヴェの演技合戦が見ものである。

彼らはまだ若い40-50歳代で老け役を演じている。

他の60人余りの老男優・老女優たちは実際の「老」俳優たちだろう。

 

名優のマルニーはかつて最愛の妻シモーヌをプレイボーイのサンクレールに奪われて以来会わず、妻は狩りで事故死したとなっている。

マルニーがモンテカルロから帰ってきたサンクレールに詰め寄る:

「会うのももう最後だ。妻の死因を教えてくれ。自殺じゃないかとずっと・・・。妻には幸せになって欲しかった、君とでも。恨んだりしない。事故だと誓ってくれ!何に誓う?」

サンクレール:「母に誓う。シモーヌは幸せだった。事故だった」マルニー「君から受けた苦悩は消えたよ」

プレイボーイのサンクレールに手紙(香水つき)が毎日のように届く。

養老院にいる老女がサンクレールに言う:

「今日の手紙も同じ香水ね。茶番はよしなさい。白紙でしょ。自分で送った手紙でしょ」

サンクレールは開封し、読む:

「あなたが恋しい」

老女が中を見て:

「ヴェニス1912年。古い恋文よ。出した女性も笑うわよ」

見ていたシャベール夫人が映る。

かつて彼女が送った手紙なのだ(手紙の内容から)

→サンクレールにじわりじわりと精神的な抑圧が響いて来る。

経営難で老人たちは、それぞれフランス各地の「公立の養老院」への転院を余儀なくされる。

35年間連れ添う夫婦(老俳優)は結婚していなかったので(俳優仲間の結婚・離婚を見すぎたので式をあげなかった)、別々の養老院へ行くことになる。

「夫婦なのに同じ養老院じゃない」と「ここで仲間の前で結婚式をあげたい」と教会で結婚式を行い、老俳優仲間たちが出席する。

このシーンがなかなか良い。

2人の子や多数の孫たちがいる。

世論に押されてパリの新聞社から各社10万フラン合計100万フランの寄付が集まって、養老院は存続できることになり、感謝を込めて老俳優たちによって舞台公演が行われる。

演目はロスタンの戯曲『鷲の子』。

これは、歌劇『鷲の子』のことをいっている。

これは、ナポレオン二世を描いた作品で、エドモンド・ロスタンによる1900年の戯曲をもとにして1937年に初演されたという。

 

この映画は、レンタル、動画配信ともに見当たらない。

DVD購入は、アマゾンで可能。

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