淀川長治が選んだベスト映画100本 「ラストエンペラー」 ハリウッド主導の異色中国映画! | 人生・嵐も晴れもあり!

人生・嵐も晴れもあり!

人生はドラマ!
映画、音楽、文学、歴史、毎日の暮らしなどさまざまな分野についての情報やコメントをアップしています。

「ラストエンペラー」

(英: The Last Emperor、中: 末代皇帝、伊: L'ultimo imperatore

 

映画|ラストエンペラーの動画をフルで無料視聴できる配信サイトまとめ

 

「ラストエンペラー」 予告編

 

1987年11月20日公開。

清朝最後の皇帝の生涯を描いた大作。

興行収入:$43,984,230

 

脚本:ベルナルド・ベルトルッチ、マーク・ペプロー

監督:ベルナルド・ベルトルッチ

 

キャスト:

愛新覚羅溥儀:ジョン・ローン

婉容:ジョアン・チェン

レジナルド・ジョンストン:ピーター・オトゥール

西太后:リサ・ルー

文繍:ウー・ジュン・メイ

乳母:イエード・ゴー

甘粕大尉:坂本龍一

イースタン・ジュエル:マギー・ハン

 

ラストエンペラー』|感想・レビュー - 読書メーター

 

あらすじ:

1950年、ハルビン駅では次々と中国人戦犯たちが送りこまれていった。

800人を越えるその人の中には“清朝最後の皇帝”--愛新覚羅溥儀(ジョン・ローン)の顔もあった。

彼は人目を避けてトイレに入り手首を切った。

様ざまな過去が彼の脳裏をよぎった。

--まだ何もわからぬ幼少(リチャード・ヴゥ)の頃、光緒帝は帰らぬ人となり、実質的支配者だった西太后(リサ・ルー)は、溥儀を紫禁城に迎え、皇帝にと考える。

紫禁城での生活は、外へ出ることは禁じられ、心の支えは乳母(イエード・ゴー)だけだった。

7年後、溥儀(タイジャ・ツゥウ)は、中国全土に革命の嵐が吹き荒れる中で、孤独だった。そ

んな頃、家庭教師としてやって来たレジナルド・ジョンストン(ピーター・オトゥール)から数学やテニスなど西洋の文化を学ぶ。

やがて15歳になった溥儀(ワン・タオ)は17歳の婉容(ジョアン・チェン)を皇后に、文繍(ウー・ジュン・メイ)を第二の妃に迎えた。

1924年、中華民国の軍人である馮玉祥のクーデターで、溥儀は紫禁城を追われ、ジョンストンが、婉容、文繍、女官らと共に英国大使館に保護することになる。

一方、戦犯管理所センターでは、罪の告白が続く。

溥儀は、日本の甘粕大尉(坂本龍一)との日々を思い出していた。

天津の租界地でプレイボーイの生活を楽しんでいるころ、蒋介石率いる国民党が上海を攻略。

溥儀の身を案じた甘粕は、日本公使館へ逃亡するように指示する。

民主主義に日覚めた文繍は離婚を申し出、溥儀の元を去り、かわりに日本のスパイであり婉容の従姉のイースタン・ジュエル(マギー・ハン)がやってきた。

やがて友人のジョンストンも帰国したが、1932年、全世界の非難にも関らず溥儀は、日本の“傀儡政府”である満州国の執権になり、2年後皇帝となった。

溥儀が東京を訪問中、婉容が運転手と誤ちを犯し身寵ってしまう。

運転手は射殺され、子供は秘かに始末された。

中国主要都市を制圧した日本軍だが、1945年、ソ連が宣戦布告、同年8月15日、日本は無条件降伏する。

玉音放送を聞きながら、甘粕はピストル自決を遂げた。

日本へ脱出しようとした満州国皇帝は、長春の空港でソ連軍の捕虜となる。

1959年、10年の収容所生活を経て、溥儀は特赦される。

皇帝溥儀は、一市民に生まれ変わったのだ。

そして、庭師として北京で暮らす溥儀は、あの懐かしい紫禁城を訪れる……。

 

ラストエンペラー の映画レビュー・感想・評価 - Yahoo!映画

 

コメント:

 

この映画の主人公は、清朝最後の皇帝にして満州国の皇帝で、紀元前以来から続く中国王朝の最後の皇帝たる「ラスト・エンペラー」、すなわち、愛新覚羅溥儀である。

 

ラストエンペラー】溥儀 〜戦争に翻弄された数奇な人生〜 - YouTube

 

「溥儀が皇帝だった時代を描いた場面」と「罪人として逮捕・尋問されている場面」が並行して描かれている。

冒頭では1950年に中国とソ連の国境付近で戦争犯罪人が逮捕される場面、時代が1908年に遡って皇帝逝去に伴って3歳で皇帝に即位した溥儀の場面となる。溥儀はまだ子供。
皇帝と言っても、自分の城内から外部へ出ることが許されない立場。自分の乳母が去る時も乳母はひっそりと去って行く。
そして、少年になって、ジョンストン先生(ピーター・オトゥール)の指導を受けて、結婚して……という場面が詳細に描かれる。
溥儀は妻と第二夫人と共に、とうとう城を出て天津に行く。1927年の天津で、日本大使館の甘粕(坂本龍一)と出会う。
更に、1934年には満州に移動して、満州国の皇帝となった溥儀。皇帝に返り咲くが、妻はアヘン中毒者となっている。

そして、溥儀は「日本と満州国は対等」と唱えるが、結局は日本側のいいなりにさせられてしまう。

この辺り、戦時中の力関係が背景にある。
皇帝溥儀は妻がアヘン中毒だから夫婦の営みを避けていたのだが、妻が妊娠した。

溥儀の運転手が父親であり、運転手は射殺される。妻が産んだ子供も薬剤で殺されたが「死産」ということに…。
そして、日本軍の実写映像(白黒映像)が挿入されて、日本敗戦へ。甘粕は拳銃自殺。
皇帝溥儀は日本行きの飛行機に乗ったところをソ連が攻めて来て降ろされる。
その後、戦犯処理の描写が続き、1958年に10年服役して出所する溥儀。
1967年の自転車で溢れる北京にいる溥儀も自転車に乗っている。

(もともと自転車はピーター・オトゥールの自転車で乗れるようになったようだ。)
そして年老いた溥儀は自分が幼き日に過ごした城に行って、見物する。勝手知ったる城なので過去を振り返るあたりで城全体が映って[THE END]。


「溥儀は、3歳で即位して、1967年に亡くなりました」の文字を見た時に、観客の感動が湧き上がるという仕掛けになっている。

丹念に溥儀という男の一生を描きながら、戦時中の出来事の数々、戦後の風景なども見事なシークエンスで描いた傑作と言われている。

 

第60回アカデミー賞受賞作「ラスト・エンペラー」_王座の誇りを、垣間見る?|ドント・ウォーリー|note

 

北京の故宮で世界初のロケーションを行われたことが公開前から大きな話題を呼んだ。

観光名所として一日5万人が訪れる故宮を、中国共産党政府の全面協力により数週間借り切って撮影が行われた。

色彩感覚豊かなベルトルッチの映像美は圧巻の一語に尽きると高い評価を受けた。

特に故宮太和殿での即位式の荘厳、華麗なシーンは映画史に残る有名なシーンとなった。

 

だが、興行成績を見てみると、ハリウッド映画の大ヒットというレベルには達していない。

たったの43百万ドルだ。

 

第60回アカデミー賞 作品賞・監督賞、第45回ゴールデン・グローブ賞 ドラマ部門作品賞を受賞している。

 

一方で、他にも中華人民共和国で同じテーマの映画やテレビドラマが作られた上、当時は同国政府による外国映画の上映・放映規制が現在より厳しかったこともあり、映画の舞台となった中華人民共和国での知名度は高くないようだ。

 

監督をつとめたベルナルド・ベルトルッチは『ラストタンゴ・イン・パリ』などで知られるイタリアの映画監督だ。

 

ピーター・オトゥール、坂本龍一以外は、香港や上海など中国出身のハリウッド俳優だが知名度は高くない。

 

 

さて、この映画を日本人としてどう見るか?

 

日本にとって第二次世界大戦への参戦のきかっけとなったのは、日本による満州国の建国だった。

そのことを中国、米国、西欧諸国がどう認識しているかがうかがい知れる格好の映画こそ、この「ラスト・エンペラー」だと言って良い。

 

中国という国は、あへん戦争をきっかけに米英やソ連などの列強によって蹂躙された。

にもかかわらず、第二次大戦における敗戦国・日本だけがアジアでの最大の戦争犯罪国とされてしまい、中国での侵略行為を徹底的に弾劾される結果となった。

南京大虐殺などという実際にはありえなかった事件まで創り出され、世界一残酷な民族は日本人だというレッテルを張られてしまったのだ。

これは、日本人として悔やんでも悔やみきれない最悪の結果なのだ。

 

日本は二度にわたって原爆を投下されたあげく、戦勝国による一方的な東京裁判によって多くの日本人が犯罪者となり、その後も米国の植民地となり、米国のシナリオで憲法も変えさせられ、屈辱の数年間を送ることを余儀なくされた。

 

本当に日本だけが世界から非難されるような侵略行為をしたのか。

 

いつの日か、日本に着せられたこの汚名を晴らすべきであろう。

 

日本人としてのプライドを持っている人なら、そんな想いを感じる作品である。

 

昨年後半の当ブログにおいて、「戦争を知らない子どもたち」というタイトルで、いかに日本が外国との戦争について無知で幼稚だったかを特集した。

 

 

 

東京裁判のA級戦犯となった人たちの悲しき運命の裏で、米国という悪の権化のような国がいかに上手く立ち回ったかを忘れてはならない。

絶対にこんな国をのさばらしてはいけない。

 

実に忌々しい限りだ。

 

 

映画自体を楽しむのは良い。

 

だが、世界の80%の人気映画がハリウッドで作り出されているといわれる今日。

まさに現在の映画産業は米国一辺倒の時代になっているのだ。

 

実は、もっとすばらしい映画が西欧、東欧、インド、中東などで制作されている。

 

この「淀川長治が選んだベスト映画100本」シリーズを通して、世界に存在する多くの映画作品を紹介しているのも、ハリウッド一辺倒となっている映画界への警鐘を鳴らさんという想いからである。

 

このシリーズを終了後、さらに突っ込んだ企画をお届けする予定だ。

 

この映画は、以下のサイトで動画配信中: