「源氏物語 千年の謎」
2011年12月10日公開。
「源氏物語」の新バージョンを映画化。
興行収入:14.8億円。
原作:高山由紀子『源氏物語 悲しみの皇子』
脚本:川崎いづみ、高山由紀子
監督:鶴橋康夫
キャスト:
- 光源氏(生田斗真)
- 藤壺中宮、桐壺更衣(真木よう子)
- 葵の上(多部未華子)
- 夕顔(芦名星)
- 六条御息所(田中麗奈)
- 桐壺帝(榎木孝明)
- 弘徽殿女御(室井滋)
- 王命婦(佐久間良子)(特別出演)
- 頭中将(尾上松也)
- 藤原惟光(若葉竜也)
- 左大臣(竹嶋康成)
- 紫式部 (中谷美紀)
- 藤原道長(東山紀之)
- 安倍晴明(窪塚洋介)
- 彰子(蓮佛美沙子)
- 藤原行成(甲本雅裕)
- 一条天皇(東儀秀樹)
- 藤原伊周(佐藤祐基)
- 式神(MariEri)
あらすじ:
絢爛豪華な平安王朝の時代。
一条帝の心を娘の彰子(蓮佛美沙子)に向けさせようと企む時の権力者・藤原道長(東山紀之)は、紫式部(中谷美紀)に物語を書くよう命じる。
その物語の題名は『源氏物語』。
主人公は今上帝と桐壺更衣(真木よう子)の間に生まれた光源氏(生田斗真)。
だが、帝の寵愛を受ける桐壺更衣は、嫉妬心に燃える帝の正妻・弘徽殿女御(室井滋)によって殺害される。
光源氏は宮中の女性たちの憧れの的だったが、桐壺に瓜二つの義理の母・藤壺(真木よう子:二役)への狂おしい思いを断ち切ることができずにいた。
その苦しさから逃れるため、正妻・葵の上(多部未華子)、艶やかな大人の色香を放つ六条御息所(田中麗奈)、はかなげでつつましやかな夕顔(芦名星)と、奔放に愛を求めて彷徨うのだった。
やがて、女の心の奥に潜む“嫉妬”という魔物に追いつめられてゆく光源氏……。
紫式部が綴る『源氏物語』は、たちまち帝の心を掴み、帝と彰子の間に男の子が生まれた。
これによって道長の栄華は確固たるものとなり、紫式部の役目は終わるはずだった。
しかし何故か紫式部は『源氏物語』を書き続ける。
そんな中、道長の友人で陰陽師の安倍晴明(窪塚洋介)は、物語に没頭する紫式部に不穏な気配を感じ始める……。
光源氏に心奪われる女性たちに深く嫉妬した御息所の修羅の心が、道長への思いを心に秘めた式部自身の心と重なり、生き霊となって現実と物語の空間を越え始めていたのだ。
愛と嫉妬と憎悪にゆがむ時空を超えた紫式部、道長、光源氏の運命。そして、陰陽師・安倍晴明がその生き霊を追う……。
コメント:
紫式部の『源氏物語』そのものではなく、高山由紀子の小説『源氏物語 悲しみの皇子』(文庫版では『源氏物語 千年の謎』に改題)の映画化作品である。
日本史上に残る恋愛小説『源氏物語』を、大胆な解釈で主人公・光源氏と作者・紫式部の恋を並行して描いた歴史絵巻。
『源氏物語』の作者である紫式部と時の権力者藤原道長が男女の関係にあったという設定の下、平安時代の式部の物語と、式部の書いた光源氏の物語が同時進行して交錯する。
光源氏のいる物語の中の世界と、紫式部と道長の現実世界とがうまく交互に織りなしている面白い作品である。
ラストには、光(空想)と紫(現実)がすれ違うシーンを用意するなど、興味深い演出になっている。
幼き頃に母を亡くしたことで愛に飢え、義母である藤壺の宮に想いを寄せながらも、幾多の女性と契りを交わす容姿端麗な源氏の君。
生田斗真が適役だ。
自分が女たちを修羅に変えてしまうほど八方美人であったのに、まるで悪びれていないところがまさに光源氏らしいところだ。
自業自得となったラストには、架空の源氏に、式部の恨み辛みが込められていることが伝わってくる。
主役・光源氏を演じている生田斗真は、映画デビュー2年目だったが、堂々とこの時代劇の主人公になり切っている。
ジャニーズ事務所出身のタレントの中でも、確実に俳優として実績を積み重ねている貴重な人物だといえる。
道長を演じた東山紀之のカッコよさ、中谷美紀の華麗さが際立っている。
藤壷と桐壷を演じた真木よう子の美しさも印象に残る。
田中麗奈の怨霊ぶりも最高。
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