渡瀬恒彦の映画 「まむしの兄弟 傷害恐喝十八犯」 渡瀬恒彦は、まむしの兄弟を狙うスナイパー! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「まむしの兄弟 傷害恐喝十八犯」

 

 

「まむしの兄弟 傷害恐喝十八犯」 予告編

 

1972年8月25日公開。

まむしの兄弟シリーズ第4作。

 

脚本:佐治乾、蘇武道夫

監督:中島貞夫

出演者:

菅原文太 、 川地民夫 、 渡瀬恒彦 、 北林早苗 、 待田京介 、 高宮敬二 、 天津敏 、 北村英三 、 殿山泰司

 

あらすじ:

 

獄中生活をつとめ終えた通称・ゴロ政の政太郎(菅原文太)は、“不死身の勝”の異名をとる兄弟分の勝次(川地民夫)とともに、服役中の仲間に託された言葉通り、鳥取県は米子の温泉町へとやって来た。

一家を構えるムショ仲間の父親と姉の力になるべく、対立する暴力団相手に大暴れ、チンピラやくざの心意気をとことんぶちまける!
 

 

コメント:

 

まむしの兄弟シリーズ第4作。

この作品はいつものやくざ映画とはちょっとおもむきを変えている。

菅原文太・川地民夫のまむしの兄弟がおかめ横丁にもまむしの兄弟と名乗る殿山泰司と北村英三がいる。

ははあ、ニセモノが出たね、と思っていると彼らは満州時代からこれを名乗っている。

主人公たちよりも先なのである。

まむしの兄弟は相変わらず下品で、下ネタばっかり。
そんな中で菅原文太の母親への思慕が描かれる。

やくざ映画でマザコンかいなと思うくらい、母親への想いが描かれるのはしばしばあるが、今回はこれを強調して描かれる。
元祖まむしの兄弟の殿山泰司は妻と幼い娘を捨てていったが、おかめ横丁に成長した娘がいることを知り、父親とは名乗らずにおかめ横丁にいるという設定だ。

菅原の母親への思慕と逆に父親の想いを描く。




出番は少ないが、アニキを殺された復讐で待田を狙う渡瀬恒彦が登場。

ダイナマイトで一人爆死する場面が印象に残る。

この役者は、どんな映画に出てもしっかり存在感を示している。

 

今回も政の出所シーンから始まる。

たまたま同時に出所した神戸矢東会の山崎がスナイパー(じつはリキ)に狙われる。

飯の種、とばかりにゴロ政たちは追いかけるが、スナイパーはバイクで逃げ去ってしまう。

 

トラックの荷台で今後の方針を考える政と勝。

刑務所暮らしで女性との接触がしばし絶たれていた政は「子宮にこむらがえしをおこさせちゃる」というかなりお下劣な言葉をはいて息巻く。

今回も冒頭からゲスの極みだ。

 

勝はアニキのために女性を用意しようと画策するが、うまい具合に見つからず、アニキに目隠しをさせて老婆を抱かせようとするが、目隠しがズレてアニキはイ○ポテンツに陥ってしまう。

素晴らしきアホアホな展開だ。

 

そんな中たまたま訪れた「おかめ横丁」というバラックの並ぶ歓楽通りのホルモン焼き屋からストーリーが展開しはじめる。

どうやらこの歓楽街は、アミューズメントセンターを建てようとしている東栄建設の持っている土地であり、住民は立ち退きを迫られている模様。

その手段が穏やかならば問題ないのだが、白紙委任状に無理やり判を捺させるという強引なもの。

三ヶ月ほど前にこの通りに住み着いたという辰と鉄という血気さかんなおじいちゃん二人が中心となって、立ち退き料を出すと口にはするものの、その実まったく出す気のない東栄建設の暴力社員に対抗する。

 

東栄建設は神戸のヤクザ・矢東会と深い繋がりがあります(どうやら元組員が立ち上げた会社らしい)。社長の東は、矢東会の山崎と結託して、「おかめ横丁」の地上げを進めようとする。

政と勝は東栄建設とひと悶着起こすが、金でうまく言いくるめられて東に雇われる。

 

昼食時にバキュームカーで乗りつけ、おかめ横丁の営業を妨害する政と勝。

辰と鉄という、かなり昔から同じように「まむしの兄弟」を名乗っているという二人と乱闘するが、お藤にとめられる。

 

今度はおかめ横丁側についた政と勝。

お藤の店の二階に住み着いている辰と鉄とともに憎まれ口を叩きあいながらも東栄建設+矢東会と戦うこととなる。

お藤からも横丁を守るために体をはる辰と鉄の面倒を見るように頼まれる。

 

工事が遅れることにいらだつ東。

山崎は、東栄建設をカタギの会社だと思わせるために矢東会から派遣されており、暴力や金のバラマキで住人を追い出すとマスコミや警察がうるさいため悪徳弁護士・片岡とともに新しい作戦を始める。

 

そんな中、例のスナイパー、リキと偶然知り合う政。

リキが復讐のために山崎を狙っていることを知るのだ。

リキは一人で山崎を撃とうとするが捕まってしまい、東栄建設内で凄惨なリンチを受ける。

 

「殺しは一人でやるもんや」と政に呟いていたリキ。

 

山崎の作戦は、土地を明け渡さない住人に対し、弁護士立会いのもと強制執行を行うというもの。

 

ショベルカーや水攻めで次々と家屋を破壊していく東栄建設。

政と勝はボロボロになりながらも粘りに粘るが、住居侵入及び威力業務妨害により捕まってしまう。

暴力追放宣言をしているらしいこの都市。

山崎と東は警察や新聞を結果的に味方につけることに成功したのだ。

 

辰と鉄、お藤たちはそれでも横丁に居座る。

その間に、お藤が鉄の父親であるということを辰から知らされる。

鉄は、自分からはいいだせなかったが、娘の姿を見たいと思い、やっとのことで居場所を突き止めたのだ。

母と二人で苦労した人生を思い返してお藤は複雑な様子だ。

 

その鉄が一人で山崎たちに会いに行く。

娘のことを考えて、東栄建設から金をひきだすためだ。

しかし、あっけなく刺し殺される鉄。

 

その鉄の葬式に、山崎たちが現れる。

警察の調べでは通りがかりのチンピラと喧嘩になった末に殺されたということだったが、もちろん辰やお藤はそう考えていない。

「本当にチンピラはこわい。 人を殺すことを屁とも思っていないんだから」と山崎。

そのあまりの態度に怒りを隠せない一同でしたが、面と向かって反抗することもできない。

山崎もゲスの極みだ。

 

さてまむしたちは片岡弁護士が身元引受人となり、警察から出てくる。

片岡はまむしたちに金を渡して、これでおかめ横丁の件から身を引けと言われる。

政はそのまま神戸・新開地に帰ろうとする勝を引きとめ、おかめ横丁の様子を見に行く。

そこにはすっかり変わり果てた横丁の姿があった。

 

 

この映画の注目人物は、何といっても、渡瀬恒彦が演じるリキだ。

アニキを殺されたことから山崎を狙う孤高の復讐者という役柄なのだ。

なんといっても革ジャンが似合っている。

渡瀬恒彦は今作に限らず、めっちゃ革ジャンが似合うのだ! 

だが、ダイナマイトでむなしくも自分一人だけ爆死するという壮絶な最期も凄すぎる。

 

 

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