「REDリターンズ」
(原題:RED2)
2013年11月30日日本公開。
静かな引退生活を送る元CIAのスパイがかつての仲間とともに巨大な陰謀に立ち向かうアクション作品。
リミテッドシリーズ『Red』を原作とした2010年の映画『RED/レッド』の続編。
興行収入:$148,075,565。
脚本:ジョン・ホーバー、エリック・ホーバー
監督:ディーン・パリソット
キャスト:
- フランク・モーゼズ - ブルース・ウィリス
- マーヴィン・ボッグス - ジョン・マルコヴィッチ
- サラ・ロス - メアリー=ルイーズ・パーカー
- ヴィクトリア - ヘレン・ミレン
- カーチャ・ペトロビッチ - キャサリン・ゼタ=ジョーンズ
- ハン・チョバイ - イ・ビョンホン
- エドワード・ベイリー - アンソニー・ホプキンス
- イヴァン・シモノフ - ブライアン・コックス
- ジャック・ホートン - ニール・マクドノー
- カエル - デヴィッド・シューリス
- デイヴィス - ギャリック・ヘイゴン
- フィリップス長官 - ティム・ピゴット=スミス
- ウェイド - ミッチェル・マレン
- ブラックウェル - マーティン・シムズ
- マッケノン - ヴィアスタ・ヴラナ
あらすじ:
超極秘任務を担ってきた元CIAエージェントのフランク・モーゼズ(ブルース・ウィリス)は、引退後、恋人のサラ(メアリー=ルイーズ・パーカー)とともに憧れていたごく普通の生活を楽しんでいた。
そこへ、元相棒のマーヴィン(ジョン・マルコヴィッチ)が現れ、新たなミッションにしつこく誘う。
全く乗り気じゃないフランクはこの誘いを断った矢先、マーヴィンの車が爆発。
彼の葬儀に参列し悲しみに暮れる間もなく、フランクは突如FBI捜査官に連行される。
ナイトシェードという計画について問いただされるが、フランクはシラを切る。
そこへゴードン(ニール・マクドノー)ら特殊部隊がフランク抹殺のため襲撃を仕掛け、あわやというところを死んだはずのマーヴィンとサラに助けられる。
米ソ冷戦時代に核爆弾の部品を密輸し現地モスクワで完成させるという計画・ナイトシェードについての機密文書が機密情報公開サイト、ウィキリークスにアップされたらしい。
フランクとマーヴィンは当時ナイトシェード計画の責任者である物理学者エドワード・ベイリー博士(アンソニー・ホプキンス)の護衛にあたっていたが、博士は暗殺されてしまった。
フランクとマーヴィンは行方不明の核爆弾を奪った容疑者として国際手配され、各国の諜報機関から狙われていた。
英国諜報局MI6からも、韓国人の殺し屋ハン・チョパイ(イ・ビョンホン)と、2人のことをよく知るスナイパーのヴィクトリア(ヘレン・ミレン)のもとに命令が下る。
フランクはかつて深い関係にあったロシア諜報機関のカーチャ(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)の協力を受け、MI6によるナイトシェード計画の報告書を入手。
それによると、ベイリー博士は死んでおらず、25年にもわたり幽閉されているとのことだった。
ロンドンに到着した一行は、彼らの無実を信じるヴィクトリアを仲間に加え、ベイリー博士を救出。
しかし彼は認知症を患っている様子だった。
MI6の隠ぺい工作に疑問を持ったフランクらは、今もどこかへ隠されている核爆弾を探しにモスクワへ向かう……。
ネタバレ:
フランク(ブルース・ウィリス)はサラ(メアリー=ルイーズ・パーカー)と平穏な日々を過ごそうと努力していた。
しかしサラはフランクにもっと、前のような非日常に連れ出して欲しいと願っていた。
そんなある日、ホームセンターで二人が過ごしているとマーヴィン(ジョン・マルコヴィッチ)が突然現れ、フランクに危険が近付いていると忠告する。
サラはそれに喜ぶが、フランクはマーヴィンを煙たがるように追い払う。
マーヴィンは引き下がるが、去って行く彼の車が白昼堂々爆破されてしまう。
マーヴィンの葬儀がしめやかに行われる。
フランクは過去の経験から彼の死を信じていなかったが、手を針で刺し、反応が返って来ない事からマーヴィンの死を受け入れ、モルドバの市民と共に彼の死を悲しんだ。
その帰り道で、フランクはFBIに逮捕されてしまう。
彼は違法拘置されるが、その施設に男がやって来て、署員を殺害し始める。
フランクはナイトシェード計画に関して尋問を受けていたのだが、襲撃犯は署員を皆殺しにしてFBIの代わりに同じ事を聞く。
フランクは拘束されていた机を壊し逃走を始めた。
男は当初フランクの生け捕りを命じていたが、彼の腕前を見て直ぐに殺害に切り替えた。
襲ってくる男達を一人一人片付けつつ、フランクをマーヴィンが助けに来た。何と生きていたのだ。
蘇った彼の手助けでフランクは逃走に成功するが、そこにはサラもいた。
フランクは死を偽装したマーヴィンと、危険な所に来たサラを烈火のごとく怒る。
フランク等が知らないナイトシェードに関して、国防省の長官は機密が漏洩した事の対策として公表に踏み切ろうとする。
しかしそれを、将軍とフランクを襲った男、ゴードンが力尽くで止めた。
彼等は新たに刺客を送る事にした。
その暗殺者ハン(イ・ビョンホン)は一流の殺し屋で、フランクに対して深い恨みを抱いていた。
イギリスでもナイトシェードの件は問題となっており、MI6の人間が、ヴィクトリアにフランクの抹殺を命じた。
軍の幹部を誘拐していたマーヴィンは、ナイトシェードに関して聞き出す。
ナイトシェードとは冷戦時代に作れた核兵器のことで、モスクワに持ち込まれ消えたという。
それを作ったのはベイリーという科学者だが、その人物は昔、フランクが護衛の任に付いていた時に死なせてしまった人物だった。
フランク等が流出した情報を確認すると一つ手掛かりを得る。
その時ヴィクトリア(ヘレン・ミレン)から電話があり、フランク暗殺の依頼を受けたと言って来る。
そしてハンも殺しに行くと告げられる。
そのハンはアメリカにやってきたが、フランクに出し抜かれ、自家用機を奪われてしまう。
フランク達はパリに来ていたが、ホテルに入った途端囲まれてしまう。
その集団を指揮する女性はカーチャ(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)と言い、ロシアの諜報員でフランクの元恋人だった。
カーチャもナイトシェードを追っていて、フランクは彼女に協力を仰ぐ。
フランク達は、手掛かりを持っている通称・カエル(デヴィッド・シューリス)と言う男がマークする。
彼を見張るフランク達だが、サラが迂闊な行動をして監視がばれてしまう。
バイクで逃げるカエルを、フランクとカーチャ、サラとマーヴィンに別れて車で追う。
パリの路地を縫うように追い回すカーチェイスで、フランク組がカエルを捕まえることに成功した。
カエルの隠れ家でフランク達は拷問に出ようとするが、それをサラが止めて泣き落とす。
彼女はカエルから貸し金庫の鍵を預かった。
ホテルに戻り、フランクはマーヴィンから鍵を受け取る。
サラはフランクをディナーに誘うが、カーチャが横から彼をかっぱらう。
カーチャはディナーの席で昔話を始める。
それを聞いていたフランクの体は麻痺し始め、一服盛られた彼女にあっさりと鍵を奪われてしまった。
部屋に運ばれたフランクをサラがなじる。
そんな彼女にマーヴィンは、鍵は偽物だと告げた。
フランクのミスに対する腹いせに、サラはパリで買い物三昧に浸る。
そんな彼女を見送ったフランクとマーヴィンをハンが襲う。
命からがら逃げたフランク達は、銀行に向かう。
そこには、偽の鍵を使ってテロリスト扱いされているカーチャがいた。
貸し金庫からMI6の資料を見付けたフランク達は、彼等が何かを隠した事を知る。
そこに向かう先では、ヴィクトリアが待ち伏せしていた。
彼女は敵対するかと思いきや、フランク達の為に時間稼ぎの工作を手伝ってくれた。
何かが隠されているロンドンの精神病院に、フランクとヴィクトリアが侵入する。
するとその病院には死んだ筈のベイリーが監禁されていた。
思考を鈍らせる薬を投薬されていたようで、彼から爆弾の在り処を聞き出すのは困難と見たフランクは、彼と死んだ筈の場所であるロシアに向かう。
ヴィクトリアは時間稼ぎの為に残った。
ロシアに着いた途端、フランク達は軍隊に囲まれる。
その中にはイヴァン(ブライアン・コックス)がおり、彼に手引きを依頼する。
モスクワに入るとハンが襲ってきたが、何とか警察に相手をさせて、フランク達は逃げ出す。
フランクは昔の隠れ家に行く。
その頃にはベイリーの記憶も回復し、ナイトシェードへの案内もできるようになった。
そしてナイトシェードは、クレムリン宮殿の地下に隠されている事が判った。
フランク達はベイリーの案内で秘密の抜け道を使い、宮殿内に入る。
その頃MI6で尋問を受けるヴィクトリアは、ベイリーに関する真実を教えられ、フランクが嵌められた事を知る。
フランク達は無事クレムリンに侵入したが、侵入口をどうやって隠すかを考える。
そこにサラが見張りを志願する。
仕方なく彼女を残し、フランクとマーヴィンはベイリーの案内でナイトシェードの場所に向かう。
カーチャがフランク達がモスクワに居る事を知った頃、フランク達はナイトシェードを見付ける。
都市伝説と思われた液体核爆弾に驚愕するフランクだが、そこをカーチャに見付かってしまう。
フランクは、隠密性の高いこの爆弾をどの勢力にも渡せないと言い、カーチャにも協力を求める。
渋る彼女だったが、最後にはフランクの説得に応じる。
サラが色仕掛けで守った侵入口から脱出し、隠れ家で祝杯を挙げるフランク達だが、そこにMI6から脱出したヴィクトリアから連絡が入る。
彼女はベイリーが監禁されたのは、ナイトシェードを起爆させようとしたからだと伝える。
その時、銃口を向けているベイリーに気付く。
ナイトシェードの情報をネットに漏洩したのは彼で、フランクに脱走の手引きと爆弾の回収をさせるのが目的だったのだ。
ベイリーがフランクから爆弾を奪うと、ゴードン達が入ってきて、カーチャが撃たれ、息を引き取る。
ゴードンはフランクに濡れ衣を着せて去って行く。
ゴードンはベイリーを騙すように拘禁し、飛行機でロシアを離れる。
フランク達は処刑場に引き出されたが、そこをイヴァンに手引きされたヴィクトリアが救い出す。
ベイリーは飛行機内で拘束を解き、隠し持っていた神経ガスを使って機内を制圧する。
彼はゴードンだけは生かした。
ベイリーがロンドンのイラン大使館に駆け込んだ事をフランク達は飛行場で知る。
彼を追いロンドンに向かおうとすると、ハンが襲い掛かってきた。
激昂する彼にフランクは爆弾とベイリーの事を説明する。
ハンは、フランクに対して募る恨みを一旦横に置き、彼に協力する事にした。
ロンドンに到着し、大使館に侵入する作戦が始まる。
パブでサラはフランクと痴話喧嘩を装い、イラン大使とサラを接近させる。
彼女の身を案じるフランクだが、マーヴィンはサラは人に好かれる才能があると太鼓判を押す。
サラは、大使の隙を突いて毒を注射したと彼を脅迫する。
マーヴィン、ハン、フランク、そして大使に案内させサラが大使館に侵入する。
ベイリーは、大使館の一室で爆弾を売り飛ばしていた。
しかしそれは見せかけで、彼は買い手のイラン人達を皆殺しにし、爆弾の起爆タイマーを起動する。
そして、裏切りと冷戦の犠牲なった家族の恨みだと連れてきたゴードンに語り、彼を殺す。
サラが大使から鍵を盗んできてフランク達がその部屋を開けると、ベイリーはおらず、爆弾が起動している事を知る。
爆弾を持って外に出ようとするフランク達だが、サラがベイリーに捕まり拉致されてしまう。
ベイリーの追跡をハンとヴィクトリアに任せ、フランクはヘリを奪取してマーヴィンと爆弾の処理を模索する。
マーヴィンは、爆弾の解体を始めるが、切断する線を間違え、起爆が早まってしまう。
ベイリーを追うハン達は、空港に逃げ込むベイリーに追いつく。
そこに銃撃を受けコントロール不能になったフランク達のヘリが落下して来た。
墜落したヘリの中から無事脱出したフランクは、被害の少ない所で爆発させようとハンの飛行機に乗り込む。
しかしその飛行機にはベイリーも乗り込んでおり、サラを盾にしてフランクに鞄を持って飛行機を降りるよう促す。
飛行機はフランクとサラを残し飛び立って行く。
覚悟を決めたヴィクトリアはマーヴィンを抱きしめるが、マーヴィンは耳を塞いだ。
飛行機を操縦するベイリーは、奇妙な電子音に気付く。
調べてみると、起爆直前の爆弾を見付けた。
大爆発が起き、空を真っ赤に染める。
爆弾を抜いていた事を教えなかったヴィクトリアは怒り出し、飛行機を爆破されたハンは激怒し、飛行機とフランクの暗殺報酬の損害を要求する。
フランクはサラとの溝を埋めるようにカラカスの仕事に誘う。
彼女は嬉しそうに仕事に参加するが、無茶な行動を取るサラに、フランクとマーヴィンは憂鬱そうだ。
コメント:
大ヒット作の第2作。数々のアクション映画があって初めて成り立つ映画。
目まぐるしく展開するストーリーが観る者を混乱させる部分もあり、ネタバレなんぞを読んでも、何が何だか分からない人もいるだろう。
だが、この訳の分からない変てこな元CIAエージェントたちとイ・ビョンホンなどの若手たちとのドンパチが、この映画の面白さなのだ。
ぼおっと見ているだけで、どんどん日頃のストレスが解消されて行くのは間違いない。
ぜひご覧あれ!
本作に出演している芸達者たちは自由自在に化けるのだ。
それだけを観ても価値がある。
アンソニー・ホプキンスにいたっては冷戦時代のイカれた学者を演じ切っていて、ジョン・マルコヴィッチと狂気の競演を果たす。
これは芸術映画でもできないこと。
映像にはマジックがある。
破壊の極みであるはずの銃撃もカー・クラッシュも、音楽的なピア二ッシモで痛みを感じない。
機関銃バリバリが、リズムカルな打楽器と変化する。
イ・ビョンホンのキレのある動きも強烈なアクセント。
ヘレン・ミレンの狙撃と彼女の足に対するフェティシズムが同居するオカシサ。
ただの娯楽アクション映画とあなどっていたが、なかなかしたたかな計算を感じさせる。
(このコートの裏に仕込んだガンの数を見ただけで笑えて来る!)
やはりブルース・ウィルスの存在は、他の俳優とは異なる。
この役者がいて、この映画があるのだ。
この映画は、TSUTAYAでレンタルも購入も可能: