渡瀬恒彦の映画 「殺し屋人別帳」 映画デビューにして初主演となった作品! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「殺し屋人別帳」

 

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「殺し屋人別帳」 予告編

 

1970年1月31日公開。

渡瀬恒彦の映画デビュー作にして主演作。

 

脚本:石井輝男、掛札昌裕

監督:石井輝男

主題歌:渡瀬恒彦

 

キャスト:

  • 流れ者の真一:渡瀬恒彦
  • 黒岩剛蔵:田崎潤
  • 浦波興業会頭:沢彰謙
  • 竜神統一:吉田輝雄
  • 竜神久美:藤田佳子
  • ナオミ:太田ナオミ
  • ミッチー:小川ローザ
  • 佐知子:賀川雪絵
  • 木口:中谷一郎
  • 秀:荒木一郎
  • 詩郎:伊吹吾郎
  • 徹:五十嵐義弘
  • 宇野木:小池朝雄
  • 大正琴の寅さん:嵐寛寿郎
  • 鉄:佐藤允
 
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あらすじ:

浦波興業会頭・浦波(沢彰謙)は殺し屋の黒岩と宇野木に金を積んで組長を消し、北九州一帯の組を傘下に修めた。

目的を達した浦波は用済みの二人を消そうとして逆に射殺された。

強欲な黒岩(田崎潤)は相棒の宇野木をも殺し、浦波の縄張りを手中におさめ黒岩組と改称した。

流れ者の真一(渡瀬恒彦)が長崎に現われたのは、黒岩組が竜神一家を潰そうとこの地に乗り込んで来たおりだった。

真一は船上で詩郎(伊吹吾郎)と出会う。

詩郎は過去に竜神一家を破門されていたが長崎に舞い戻ったのだった。

真一は長崎港の岸壁で車に接触して転倒した松葉杖の娘ナオミ(太田ナオミ)を介抱した。

この光景に感動した黒岩の娘ミッチー(小川ローザ)の世話で、真一は黒岩組の客分になった。

鉄(佐藤允)が組に草鞋を脱いだのもその頃だった。

やがて、黒岩は竜神一家の荷上げ作業妨害作戦に出た。

苦境に立つ竜神統一(吉田輝雄)は、その暴挙を責め、黒岩は一切を賽の目で勝負をしようと持ちかけた。

黒岩の仕組んだイカサマにより統一は勝負に敗けた。

統一の妻・久美(藤田佳子)は、自分の体を賭けて夫を黒岩に再挑戦させた。

統一はイカサマを見抜き黒岩に損害金の肩代わりと今後手を出さないことを黒岩に呑ませた。

いじらしい久美を見てイカサマに抵抗したた壷振りの美枝は竜神一家の木口とともに斬殺されてしまった。

ナオミも現場を目撃したことから黒岩組に捕われたが、彼女の面倒をみていた寅さんこと八人殺しの鬼寅(嵐寛寿郎)の機転で助けられた。黒岩は事の決着を急ぎ、竜神一家に喧嘩状を叩きつける。

竜神一家の元に詩郎が駆け付け凄絶な死闘が始った。

真一は苦闘する竜神一家に加担し、統一は黒岩を倒した。す

べてが終わった時、黒岩の客分・鉄が真一に向かった。

刃を交える二人。

相打ちに見えたが鉄は「手加減してやった」と言い残し倒れる。

正義漢・鉄が勝ちを真一に譲った一瞬であった。

手負いの真一は一緒に東京に行こうと約束したナオミの元に向かうが既に彼女を乗せた船は出航した後だった…。

 

殺し屋人別帳」 Killer's Black List (1970) : なかざわひでゆき の毎日が映画&音楽三昧

 

コメント:

 

鳴り物入りで東映の新たなエースとして登場した渡瀬恒彦のデビュー作であり、しかも初主演の記念作である。

この映画は、今でもDVDとしてレンタルされており、予告編の映像もしっかりYouTubeで観れる状態だ。

いかに東映が渡瀬恒彦の売り出しに力を入れたか、そしてその結果が期待通りであったことが分かる。

 

本作には、東映では新人だった伊吹吾郎も登場しており、渡瀬と同様に注目されていた。

この俳優は、1965年に日本映画テレビ演劇学院に入所、1966年第7期生東宝ニューフェイス入り、東宝俳優養成所に入所。1968年にフリーとなり、テレビドラマ『さむらい』でデビュー。

1969年、さいとうたかをの劇画を原作とするテレビ時代劇『無用ノ介』(日本テレビ)のオーディションを受け、主役に抜擢される。

さいとうは伊吹について「風貌があまりに劇画的」だったと語っている。

1969年7月、新国劇に入座し、同年10月、岡田茂東映映画本部長から「風ぼうがいい。時代劇と現代劇の両方に出てもらう。次世代の東映を担うに足るスケールの大きさを感じる」と惚れ込まれ、東映と専属契約を交わした。

東映移籍第一作は『五人の賞金稼ぎ』で、二作目がこの『殺し屋人別帳』だ。

本作は、渡瀬恒彦の主演デビュー作として知られるが、この作品は岡田と天尾完次の両プロデューサーが、渡瀬+伊吹のダブル主演によるバディムービーとして企画したものだった。

 

ギャング映画風なニオイのする任侠映画である。
話はなんということもないが、石井監督らしい遊び心満載で面白い。
渡瀬恒彦は、台詞に固さはあるものの、新人と思えぬ存在感でカッコいい。

佐藤充のキャラも存在感ありすぎて、いい傍観殺し屋コンビ。


血しぶき多く、中谷一郎のライターあぶりシーンや荒木一郎の石の叩きっぷりも石井監督らしい、ちょいグロ。
頭が痛くなると人を殺したくなる小池朝雄。

子守歌を弾くと人を斬りたくなる鬼虎親分を演じるアラカン。

 

殺し屋人別帳」 Killer's Black List (1970) : なかざわひでゆき の毎日が映画&音楽三昧


CMで一世風靡した小川ローザも台詞は下手だけど可愛い。

 

小川ローザ(Rosa Ogawa)「殺し屋人別帳」(1970) : 夜ごとの美女

 

渡瀬演じる主人公の名前は、なんと「橘真一」だ。

1965年スタートの「網走番外地シリーズ」で、高倉健が演じる主人公の名前とまったく同じなのだ。

東映がいかに渡瀬恒彦に期待していたかが理解できる。

 

渡瀬恒彦は、当時の岡田茂東映企画製作本部長から、線の太いマスクを惚れられスカウトされたものだが、鶴田浩二、高倉健、千葉真一など、当時の男性スター王国の東映にあって破格の主役デビューも岡田の肝煎であった。

渡瀬の売り出しに「人別帳シリーズ」として『殺し屋人別帳』を1970年1月に公開し、二作目『監獄人別帳』を4月に、三作目『悪党人別帳』(製作されず)を夏に公開し、立て続けに主演作を出して、渡瀬をスター・ダムに乗せようという作戦を立てていた。

新人スターを育てる手腕が見込まれ、監督には石井輝男が抜擢された。

 

冒頭から裏切りに次ぐ裏切りで、主要人物がバタバタ死んでしまう渦中に渡瀬演じる主人公が登場する。

途中からは『網走番外地 望郷篇』とほぼ同じ展開になり、見せ場が繰り出される。

冷酷狂暴な奴、紳士面した奴、負けを知らぬ不適な奴、そして女だけには弱い奴。

殺し屋人別帳に名を連ねたこれら殺し屋の名人たちが、それぞれ腕前を競って殺し合いの手口を見せる。

 

本作を始め、渡瀬との共演が多かった荒木一郎は、「最初は(荒木が先輩だから)渡瀬は俺に対して『荒木さん』と呼んだが、人気が出るにつれ、いつのまにか俺を『荒木』と呼ぶようになった」と話している。

 

この映画は、TSUTAYAでレンタルも購入も可能: