「早射ち犬」
1967年5月27日公開。
犬シリーズ第8作。
脚本:藤本義一
監督:村野鐵太郎
キャスト:
- 鴨井大介:田宮二郎
- 木村刑事:天知茂
- 山本玉子:坂本スミ子
- 常さん:藤岡琢也
- 山本五郎:小沢昭一
- 咲田勇作:財津一郎
- 宮本文子:江波杏子
- 宮本エミ:嘉手納清美
- 白井金造:伊達三郎
- 原:成田三樹夫
- 良子:橘喜久子
- 神谷天心:北城寿太郎
あらすじ:
鴨井大介(田宮二郎)はギターを片手に流して歩いていた。
その美声は界隈の評判で、キャバレーの社長が是非ステージにと頼みにくるほどだった。
しかし、大介は競輪予想屋の常さん(藤岡琢也)や、運転手の山本五郎(小沢昭一)と、ボロアパートで暮しているのが好きで、そんな話を断っていた。
その頃、もとやくざの九十九会組長・白井金造(伊達三郎)が、五郎を運転手に雇って関西までドライブに行った。
五郎にとって、白井から貰った五万円は女房・玉子(坂本スミ子)の出産費用にあてるものだった。
一方、大介は出産間近い玉子の世話をしていたが、その頃、大阪で三千数百万円の強奪事件が起こった。
そして五郎の運転していた車が大破炎上し、身元確認の困難な焼死体が残された。
身につけていた物から大阪府警は死体を白井と認め、白井が強盗事件に関連していることから、五郎を強盗殺人犯として指名手配したのである。
東京でそれを聞いた大介は驚いてしまった。
この事件を担当する木村刑事(天知茂)は大介とは顔なじみで、二人は協力して事件を究明することにした。
大介は木村からクラブ「ハバナ」が麻薬と関係がありそうだと聞かされた。
大介は「ハバナ」と新興宗教の天心精霊会の関係が麻薬で結ばれていることをつきとめた。
そんな時、大介は五郎が生きていることを知った。
五郎は白井に身替り犯人にされそうになり逃げ回っていたのだった。
また、焼死体は白井でなく天心であり、白井は頭巾を被って天心に化けていたのである。
すべてを知った大介はハジキ片手に精霊会に乗り込んだ。
それを見た白井たちは必死に防戦につとめたが、大介の敵ではなく、大介の見事な曲射ちの前に倒れてしまった。
その頃病院の一室では、玉子が無事に出産した。
その周りで、強盗殺人犯の容疑の晴れた五郎や、常さんたちが喜びの声をあげていた。
コメント:
田宮二郎主演の「犬シリーズ」第8作。
シリーズものは、ネタ切れで後半ダレるものが多いが、ラスト前の本作はなかなか楽しい仕上がりになっている。
共演陣には藤岡琢也や財津一郎、天知茂の木村刑事も登場してそれぞれ楽しませてくれる。
ヤクザの資金源が麻薬で、その麻薬を捌いているのが事実上のフロント、新興宗教というのが効いている。
田宮二郎の妻を演じている阪本スミ子が実に笑える。
この人は、歌手より女優の方が向いていた。
田宮二郎は、とにかく銃が好きだったようだ。
当たり役となったこのシリーズでのガンマニア役の役作りのために、自宅の書庫に保管していたモデルガンとガンホルダーを使いモデルガンを回す練習をしていたという。
また、大学在学中に空手初段を取得しており、その切れのある動きはアクションシーンで遺憾なく発揮された。
日本酒「大関」のCMに永く出演していたが、田宮本人は下戸だったため妻の藤由紀子から日本酒の飲み方を教わって、その後臨んだ収録では水を飲んでの演技だったという。
こちらの歌は田宮本人。
CM以外にも5枚もシングルを出していた本物の歌手でもあった。
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