「不良番長 骨までしゃぶれ」

1972年12月2日公開。
シリーズ第16作(最終作)。
- キャスト
- 梅宮辰夫 (神坂弘)
- 山城新伍 (天草五郎)
- ひし美ゆり子 (虎尾月子)
- 太田美鈴 (北川奈美)
- 藤山律子 (バンビ)
- 安岡力也 (キック)
- 久保浩 (ロック)
- 鈴木やすし (サック)
- 渡辺文雄 (大竹東一郎)
- 花田達 (原)
- 八名信夫 (高田)
- 中田博久 (秋葉)
- 花田達 (原)
- 団巌 (記者)
- 由利徹 (虎尾太郎左衛門)
- 大泉滉 (新郎)
- 谷本小夜子 (女中)
- 丹下キヨ子 (新婦)
- 小林千枝 (先生)
- 植田灯孝 (土地の親分)
- 藤竜也 (虎尾鉄男)
- スタッフ
- 監督 野田幸男
- 企画 吉田達
- 脚本 松本功、山本英明

あらすじ:
暴力団大東睦会会長・大竹の妾の人気タレントを恐喝して、仲間のリーチを殺されたカポネ団・リーダーの神坂、キック、ロック、サックはリーチの供養と組織への仕返しに、天草五郎からの情報により見事三億円のダイヤモンド横領に成功した。
ところがこのダイヤを狙って大東睦は勿論、ビーバー、バンビ、お蝶の女番長三人娘と、謎の女奈美に追われる破目となった。
カポネ団は九州に逃亡。
五郎の旧友で熊本に住むダイヤ細工師の鉄男に、ダイヤを売り裁くべく交渉するが断われてしまった。
一方、大東睦会は、大竹自ら熊本に乗り込み、兵隊を大増員してきた。
カポネ団の窮地を救ったのは、以前知り合ったバスガイド・月子の父で槍術の名人・太郎左衛門であった。
月子は鉄男の恋人で、神坂たちを天草へと逃がせてくれた。
しかし、何処へ行っても神坂たちの前に現われる奈美を不信に思った神坂は、奈美を腕力で白状させようとしたが、逆に柔道で投げ飛ばされてしまった。
やがて、神坂たちは大東睦会の捜査網にひっかかり、ダイヤを強奪され海岸に逆さ十字に処されてしまった。
ところが、彼らを助けたのが思いがけなくも奈美であった。このまま引き下がるわけにはいかない。
阿蘇のハイウェイで大竹たちをとらえた神坂たちはオートバイを突走らせ、ダイヤを再び手中に入れた。逃げるカポネ団。追う大東睦会。オートバイからロープウェーに飛び移り、そして阿蘇山頂へとなだれ込む激しい追跡戦が展開されるうちに、サック、ロック、キックが倒れていった。
悪戦苦闘の末、噴火口にたどりついた神坂、五郎を待っていたのは大勢の部下を従えた婦警姿の奈美だった……。

コメント:
シリーズ最終作。
熊本、天草など九州を舞台にしたダイヤモンドの争奪戦。
最後になっても、ドタバタアクションの喜劇だった。
初期の頃菅原文太が演じた役柄を本作では藤竜也が務めたが、珍しく最後まで生き残った。
カポネ団の一員には鈴木やすし、安岡力也、山城新伍などお馴染みの面々に加え、前作にも出演していた藤竜也が宝石のデザイナーとして登場し、さらにはコレまた前作と同様に出演しているひし美ゆり子とお熱い関係だ。
八名信夫と(キャプテンウルトラの)中田博久も悪役のはずなのにどこかオマヌケな雰囲気だ。
意外とマジメな役割なのが余計にオカシイ由利徹(ひし美ゆり子の父親役)や、コチラは相変わらずスチャラカな大泉滉など、不良番長シリーズでは馴染みの面々も大活躍。
16作品のほとんどがギャグ・アクション+ピンク系という完全な脱力系娯楽映画という任侠映画とは対極の存在だった。
いかに東映が正統派路線だった時代劇と文芸映画を嫌った最先端を突っ走っていたかを象徴するシリーズだった。
この後、東映は、実録ヤクザ路線に突入する。
それを象徴しているのが、1973年1月13日公開の『仁義なき戦い』だ。
辰兄いも出演している。
本シリーズは、日本の映画界に多大な影響を与えたと評価されている。
池玲子の主演の女番長シリーズをはじめとするスケ番映画や、岩城滉一や舘ひろしなどを主役にした暴走族映画など、後輩たちがどんどん主役級で登場して来る新しい潮流が芽生えるきっかけにもなったのだ。
この映画は、