「新選組」
1969年12月5日公開。
三船プロ制作の時代劇大作。
興行収入:1億2000万円。
脚本:松浦健郎
監督:沢島忠

キャスト:
- 近藤勇 : 三船敏郎
- 土方歳三 : 小林桂樹
- 沖田総司 : 北大路欣也
- 芹沢鴨 : 三國連太郎
- 伊東甲子太郎 : 田村高廣
- 河合喜三郎 : 中村賀津雄
- 山南敬助 : 中村梅之助
- つね : 司葉子
- お雪 : 池内淳子
- お孝 : 星由里子
- お梅 : 野川由美子
- 香織 : 北川美佳
- 清河八郎 : 御木本伸介
- 谷守部 : 中谷一郎
- 新見錦 : 内田良平
- 原田左之助 : 山崎竜之介
- 本命堂 : 信欣三
- 宮部鼎蔵 : 戸上城太郎
- 池田屋女中 : 戸田千代子
- 勝安房 : 中村翫右衛門
- 有馬勝太 : 中村錦之助
あらすじ:
文久三年一月。
武州多摩で然理心流の試衛館道場を開く近藤勇(三船敏郎)は、相談相手の土方歳三(小林桂樹)や、門弟・沖田総司(北大路欣也)らと浪士隊に応募し、京に向かった。
隊には水戸浪士・芹沢鴨(三國連太郎)らも参加していた。
江戸逆戻りの命に背いた近藤らと芹沢ら十三名は、松平肥後守御預けになり、同年三月、新選組が誕生した。
島原の大夫・お雪(池内淳子)とその妹お孝(星由里子)が近藤に心を寄せた。
近藤と共に実権を持つ芹沢の乱暴狼籍は、目に余り、遂に近藤は、土方、沖田らと、芹沢を暗殺した。
芹沢派の新見錦(内田良平)らも、次々と斬られ、新選組の実権は完全に近藤が握った。
新選組の名は洛中に鳴り響いた。
元治元年六月五日、政変で失墜した長州派の志士たちは池田屋に集っていた。
これを探知した近藤らは、僅か五名で、突入した。
乱闘二時間余り、凄絶な斬り合いの末、志士の即死七名、生補りなど二十余名を数えた。
新選組の圧倒的勝利だった。
以来、新選組は、幕臣の信頼を集め、羽振りも良くなった。
しかし幕府は衰亡の一途を辿っていた。
近藤は、幕府の危機を悟ったが、節を曲げず、最後まで幕府のために働くという初心を変えなかった。
近藤とはそういう男だった。
鳥羽・伏見の戦いに敗れた近藤らは、江戸へ帰った。
そして、甲陽鎮撫隊を率いた近藤は、戦い利あらずと、下総流山で官軍にくだった。
慶応四年四月二十五日、板橋の刑場で、近藤勇の首は胴を離れた。
コメント:
近藤勇を主人公に、浪士隊の結成(1863年)から、近藤勇の板橋の首討ち(1868年)までを描いたオールスター時代劇大作。
沢島監督はすでにできていた脚本を全面的に書き直し、勤王佐幕の混乱の時代に「誠」いちずを通した侍・近藤勇を描きたい、という思いでこの作品を撮ったという。
どんな相手にも真っすぐ正面から向き合う、義に厚い近藤勇を演じた三船敏郎が素晴らしい。
土方歳三を演じた小林桂樹、山南敬助を演じた中村梅之助の演技は光っている。
沖田総司を演じた北大路欣也も、颯爽として良い。

三國連太郎が演じた芹沢鴨が面白い。
酒に溺れ、乱暴狼藉を繰り返して暗殺される芹沢鴨役の三國連太郎の鬼気迫る演技はさすが。
怪優と言われた三國連太郎ならではの悪の権化のような姿はハンパない。
中村錦之助は、有馬勝太という官軍の侍を演じている。
映画終盤に登場するが、華があってパリっとしている。
官軍ではあるが、近藤勇の処刑に強く反対する。
正義を重んじる、錦之助にぴったりの役柄である。
この有馬勝太(ありまとうた)とは、実在の人物である。
薩摩藩の砲術師範有馬家の長男に生まれる。
小野郷右衛門に飛太刀流を学び、十九歳で師範代になるほどの腕前だったという。
特に抜刀術を得意としたという。
慶応4年(1868年)1月に戊辰戦争が勃発すると、4月に東山道総督府の斥候を命じられ、香川敬三率いる一隊に従軍して宇都宮へ向かった。
途中、流山に旧幕府軍が駐屯しているという報告を聞き、不意をついて甲陽鎮撫隊(新選組)の陣屋を包囲。
局長近藤勇に降伏を勧告し、これに応じた近藤を越谷まで連行することになった。
その後、結城城奪還など北関東の鎮撫にあたる。
一時江戸に帰還したが、板橋に拘留されていた近藤の処刑には強く反対したと伝えられる。
その後、前線に復帰後し、壬生城の戦闘で旧幕府軍に対して獅子奮迅の活躍をするが、数箇所に銃弾を浴びる重傷を負い、横浜の病院に送られた。
退院後、自分の知らないうちに近藤勇が4月25日に斬首されたことを知って、大いにその不当をなじったという。
弾正台、司法省官吏を務めて明治政府に出仕したが、明治六年政変で西郷隆盛が下野したときに辞職し、銀座煉瓦街で代言人の看板を立てる。ともに下野した。
明治10年(1877年)の西南戦争に際し、大阪で有志を募り、挙兵して、その功で西郷軍に加わろうとしたが、警察に仲間が摘発されて失敗し、有馬も1年ほど拘束された。
その後、民間企業に就職し、ついには満州に渡り、虎公園の管理人等をしていたという。
晩年、東京へ戻り、世田谷にて他界。享年88。
『維新史の片鱗』という著書を遺している。

つまり、西南戦争に参加できず、そのおかげで、88才まで長生きしたという人物なのだ。

この映画は、TSUTAYAでレンタルも購入も可能:



