「必殺! III 裏か表か」
1986年5月24日公開。
「必殺シリーズ」の劇場版第3作。
キャッチコピー:
「人が人を殺す だが 今は、金が人を殺す」
「神も仏も頼みにならず この世の恨みはこの世で晴らす―仕事人一同」
脚本:野上龍雄、保利吉紀、中村勝行
監督:工藤栄一
キャスト:
仕事人:
- 中村主水
- 演 - 藤田まこと
- 同心・清原の死因を探り始め、その後、表の職場である奉行所にも見捨てられ、孤立無援の身で真砂屋との暗闘を繰り広げる。終盤では・・・
- 何でも屋の加代
- 演 - 鮎川いずみ
- 終盤で真砂屋の居所を突き止める大役を果たした。本作で一旦退場となる。
- 鍛冶屋の政
- 演 - 村上弘明
- 近所付き合いの仲であった彦松一家の心中が真砂屋の仕業であると憤慨し、主水に協力を求める。本作では最後まで生き残った一人。
- 組紐屋の竜
- 演 - 京本政樹
- 主水の危機を救うために登場。終盤の決戦において主水を真砂屋のもとへ行かせるべく囮となったが敢え無く惨死した。しかし完全に絶命した描写はなかった。
- 壱
- 演 - 柴俊夫
- 『激闘編』で主水たちと協力したはぐれ仕事人の一人。主水の危機を救うために真砂屋一味と戦うが、屋敷の斬り合いにおいて多勢の相手と刺し違え死亡した。
- 参
- 演 - 笑福亭鶴瓶
- はぐれ仕事人の一人。『激闘編』20話を最後に姿を見せていなかったが、江戸に残っており、加代の長屋に居ついていた。今回は眼鏡をしておらず直接ポッペンの殺しを見せることはなかった。真砂屋の本拠地に潜伏中、犬に吠えられたことで見つかってしまい呆気なく惨殺された上に主水への見せしめとして晒し首となった。
- 飾り職人の秀
- 演 - 三田村邦彦
- 自身が惚れた少女おゆみに逃げられたことで自暴自棄になり江戸へ帰郷したが、おこうとの出会いでお互い惹かれていく。終盤で主水と再会、真砂屋との戦いで共闘する。最後の斬り込みでは殺し道具の簪を折られたため、珍しく刀を取っての泥臭い殺し合いを演じた。
その他:
- 中村せん / 中村りつ
- 演 - 菅井きん / 白木万理
- 主水が何かに躓き苦戦していると悟り激励する。しかし主水には何の励みにもならなかった。
- 筆頭同心・田中
- 演 - 山内としお
- 口うるさい主水の上司。少女を自殺させたという冤罪から獄門に掛けられようとした主水を庇い立てていた。
- 六平
- 演 - 妹尾友信
- 主水の部下である小物。枡屋を召し捕った。
ゲスト:
- おこう
- 演 - 松坂慶子
- 本作のキーとなる人物で、同心・清原の妻。清楚で品のある女性だが、旦那が殺されてからは実家の両替商組合肝煎となる。秀を雇い入れお互い惹かれあう。
- 清原英三郎
- 演 - 川谷拓三
- 主水の同僚。裏では金の集りで悪行を働いていたが、両替商の枡屋にせびったことが原因で真砂屋の刺客に消される。
- おゆみ
- 演 - 野坂クミ
- 秀が惚れた少女。銭欲に流され真砂屋に雇われるが、主水の暗殺とは知らなかった。途中、主水の前で自殺を図ると脅迫して塔に登るが、その際に真砂屋に雇われた男に突き落とされ無残な最期を迎えた。
- 枡屋仙右衛門
- 演 - 成田三樹夫
- 真砂屋に仕える両替商人。清原を殺した人物の一人として主水にしょっ引かれ拷問を受けるが途中、主水が仕事から外されることとなり中断。その後姿を見せていないためどうなったのかは言及されていない。
- 加納平馬
- 演 - 織本順吉
- 与力。主水をだまして酔わせた隙に大量の刺客を連れて殺そうと企むが、秀たちの登場により失敗。最後の決戦では主水に命乞いをする始末だったが、斬り捨てられる。
- 彦松
- 演 - 岸部一徳
- 枡屋の勘定人。政の長屋の近所。自身の失態から家族と一家心中する。彼の自殺から主水の苦戦が始まるきっかけとなった。
- 真砂屋徳次
- 演 - 伊武雅刀
- 枡屋の代理人を名乗る悪人。圧倒的な刺客を自身の勢力に主水や秀たち仕事人の始末を企む。主水が駆け付けた際には既におこうによってその手に掛けられていた。
あらすじ:
ある日、南町奉行所同心・中村主水(藤田まこと)の同僚で隣家の主である同心・清原(川谷拓三)が殺された。
清原は舛屋なる両替商をゆすっていた。
清原の妻・おこう(松坂慶子)は、舛屋の代理人・真砂屋(伊武雅刀)を訪ね、彼が殺ったことを白状させる。
真砂屋は先代の娘おこうに自分たちの世界に戻って来て欲しいと告げた。
数日後、そんなことも知らず主水は、知り合いの後家・おしのに頼まれ、貯金の利息の取り立てに舛屋に出向いた。
そこで彼は、舛屋の言葉から清原殺しが舛屋の手によるものらしいと気付くが、退散せざるを得ない。
後日、舛屋の勘定人・彦松が自殺する事件が起き、主水は再度舛屋と対決するが軽く追い返されてしまう。
そして主水に刺客が迫るが、仕事人仲間に助けられる。
主水は真砂屋が仕向けた小娘・おゆみと親しくなり、妻の座を迫られた。
その挙句、おゆみは「中村主水は人でなしだ」と捨てぜりふを残して、五重の塔から投身自殺をしてしまう。
窮地に落ち、家でも役所でも身の置場がなくたってしまう主水。
さらに真砂屋に戻ったおこうに、彼らの絶対的な力を見せられる。
そんな時、秀が帰って来た。
秀からおゆみの自殺は真砂屋が仕組んだ殺しであると聞かされ、主水の怒りが爆発した。
ある夜、主水は加納平馬に誘われ小舟に乗り、刺客に襲われるが、集まって来た秀ほか、仕事人仲間の竜、政、壱、参に助けられた。
袋のねずみとなった彼らはそれぞれ身を隠すが、翌朝、参の首があがった。
主水たちは舛屋一味と闘う決意をする。
竜が殺られ、政が倒れと真砂屋のもとにたどりついたのは、主水と秀だけだった。
だが、真砂屋はおこうの手によって殺されていた。
コメント:
テレビの人気シリーズ『必殺』の劇場版第3作。
珍しく、金のために殺しをしないで、仲間の仇討ちのために殺しをする。
通常のシリーズと違い、仕掛け人はたくさん出てくるが、殺す相手(伊武雅刀)が意外な人物に殺される。
当時人気の出かかった川谷拓三を起用し、せこい色好みの同心をやらせている。
この妻がなんと松坂慶子。
この松坂の正体が一つの謎。
いろいろなエピソードからだんだん謎を解いていく主水だが、首謀者から逆に暗殺されようとする。
謎解きも面白いが、最後の締めの大乱闘は凄まじい結果に。
京本政樹とか柴俊夫などが死んでいく。
テレビでおなじみのメンバーがそろい踏み。
まじめに務めに励んでいる主水も描写されていて楽しい。
この映画は、TSUTAYAで「必殺! 劇場版 BOX」として購入可能。
これは、『必殺!』シリーズの劇場版『必殺!THE HISSATSU』から『必殺!主水死す』までの6作品を収めている。