名取裕子の映画 「首都消失」 小松左京のSF小説を映画化したパニック大作! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「首都消失」

 

 

「首都消失」 予告編

 

1987年1月17日公開。

小松左京のSF小説を映画化。

 

原作:小松左京「首都消失」

脚本:山浦弘靖、舛田利雄

監督:舛田利雄

出演者:

渡瀬恒彦、名取裕子、山下真司、夏八木勲、石橋蓮司、平淑恵、大滝秀治、丹波哲郎

 

 

あらすじ:

ある夏の朝、東京は濃い霧に覆われた。

TVリポーターの仕事をしている小出まり子(名取裕子)は夫と別れて幼い娘を育てるシングルマザー。

この日も娘を母・梅子に預けて、恋人で関西放送の報道マンの田宮洋介(山下真司)と駅で別れて、新幹線に乗り込んだ。

名古屋で北斗電機の技術開発部長・朝倉達也(渡瀬恒彦)も乗り込む。

仕事にかまけて家庭を省りみない彼と妻の由美(平淑恵)との間には溝が生じていた。

東京は霧に包まれてしまい、中に入ることはおろか、すべての通信がとだえてしまう。

朝倉は列車で会った高校時代の友人で目衛隊二佐の佐久間(夏八木勲)が呼んだ車に同乗。

まり子、大臣の秘書・三好(石橋蓮司)も乗り込む。

朝倉は厚木にある北斗電機の研究所に行く。

まり子も一緒だ。

そこには部下の安原、竹田、バイトの女子大生松永美恵子の他に、電子工学の権威である大田原教授(大滝秀治)もいて、物体0と名づけられた雲の究明に当ることになった。

田宮は川村報道部長に尻をたたかれ、小山カメラマンとともにヘリで東京へ向かい、上空にある巨大な雲を見て驚く。

田宮の友人で商社マンの浦部は、早速、建築資材などを買う交渉をする。

田宮はまり子と合流して取材に当たることになった。

三好は箱根で病気療養中だった保守党の前幹事長・中田(丹波哲郎)にとり入り、彼の擁立を画策する。

小室大阪府知事は全国知事会議を国政機関にしようと提案する。

朝倉は米軍機EP3Eに同乗するが、稲妻が機を襲い朝倉は重傷を負う。

雲に電磁気エネルギーを与えればすき間ができるのではという朝倉の提案で、電磁気砲が作られた。

台風下に砲を向けた朝倉は雲のために、負傷する。

代りに田宮が向かい、雲にトンネルをあげ、まり子と一緒に中へ。

二人はそこで犬を発見し喜びながら、さらに進んで行った。

 

 

コメント:

 

原作は、SF作家小松左京によって書かれた同名小説である。

大ヒットした『日本沈没』(1973年)の11年後の作品。

ブロック紙3社連合に該当する北海道新聞、中日新聞(東京新聞)、西日本新聞にて連載(1983年12月 - 1984年12月)された。

単行本は1985年に徳間書店のトクマ・ノベルズとして刊行され、同年のベストセラーとなった。

第6回日本SF大賞を受賞。

 

小松左京原作の『首都消失』は、「もし首都圏が、外部と完全に途絶したら?」という設定に沿って描かれた、シュミレーション・SFだ。
30年も前に書かれた物語だが、決して古びていない。

それどころか、福島原発事故による関東圏の麻痺状態を予知していた感さえもある。



突如、首都圏を覆った正体不明の“雲”によって、交通・通信・あらゆるインフラが途絶する。
雲の内部には物理的に入れず、あらゆる電波も通さない。

雲中の人々の安否は不明となるというパニック状態に。
政治・経済・軍事、全ての決定機関が首都圏に集中していたため、日本は国家として麻痺状態に陥ってしまう…。

『日本沈没』や『復活の日』もそうだったが、小松左京のこの種の物語はその特異な現象自体より、それによって人々や社会がどう動くかという描写に重きを置く。

その為どうしても説明の多い硬質な話になってしまうが、そこはまあ良しとしよう。

ともかく情報量が膨大なため、映画化にあたっては、どこを削り、どこを生かすかの脚色センスが問題となる。

本作は基本設定だけ生かして、大幅に“角川的脚色”がされて、全くの別作品へと改悪されてしまった感がある。

原作にない、名取裕子演じる女性キャスターを登場させたことで回転軸がぶれてしまった。

しかし、名取裕子のキャスター振りもなかなか魅力的で、彼女の新たな側面が見られる。

パニック映画に出演したことで、その後テレビで多くの刑事ものやサスペンス作品にも登場するきっかけになったかもしれない。

 

 

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