「顔役」
1965年1月3日公開。
豪華俳優陣によるヤクザの東西対決を描いた作品。
脚本:笠原和夫、深作欣二、石井輝男
監督:石井輝男
出演者:
鶴田浩二
佐久間良子、藤純子、三田佳子、江原真二郎、アイ・ジョージ、長門裕之、待田京介、曽根晴美、安部徹、内田朝雄、遠藤辰雄、曽我廼家明蝶、天知茂、大木実、高倉健
あらすじ:
関東一帯のやくざ組織“関東城政会”の幹部会は、大産業地帯指定埋立地の整地権の獲得と、関西やくざの“関西同志会”の東京進出阻止について討論を行っていた。
大幹部花岡の報告の後会長・檜山(安部徹)の指名で大幹部の中神(鶴田浩二)、幹部の早見(高倉健)、宮田(江原真二郎)、染谷(待田京介)、桑原(アイ・ジョージ)、安積(曽根晴美)がこの役についた。
早速埋立地に事務所を置いた中神たちは、関西同志会傘下の甲田組の手段を選ばぬ妨害にあった。
そんな時、中神は旧友で、やくざの足を洗いバー“ナポリ”を経営する柏田(大木実)から元鳴海一家三代目、今は漁業組合長で土地の顔役小杉(曽我廼家明蝶)に紹介され、助力を頼んだが断られた。
中神の態度にじれた早見は、市長吉川の弱味を握って単身脅迫にのりこんだ。
そこで、早見は、柏田の妹でかつての恋人真弓(三田佳子)の姿を見て動揺したが、脅迫は効を奏して工事権は中神の手に落ちた。
工事も三分の二程終えた頃、中神は、酪農地としての整地が、いつの間にか住宅地の整地にすりかえられていると柏田から聞かされ、上京して真実を檜山に尋した。
真弓からこの話を聞いて後を追った早見の留守に、甲田組が工事現場を襲撃した。
安積らの防戦も虚しく、ダイナマイトを使用した甲田組の手で、工事現場は多大の損害を受けた。
その頃東京では、中神が檜山と会い工事のやり直しを主張していた。
檜山は欲に目がくらんで東日開発社長山脇の住宅地建設に協力したのだった。
そして地元では花岡(天知茂)の罠にかかった桑原、染谷、安積、宮田らが拳銃の乱射を浴び、全滅してした。
一方東京では関西同志会の手で檜山会長が殺害され、事態の収拾に関東城政会幹部が会合していた。
花岡がわがもの顔で采配を振るうのを快く思わない親分衆は、中神を会長代理に推した。
だが花岡の子分の、「早見が山脇を脅迫して書類を奪った」という知らせで、中神は自分の手で早見を仕末しようと、拳銃を手に対決した。
だが、二人の死骸を関西側との和睦の取引道具に使おうとする花岡が二人を襲ってきた。
事態を悟った二人と花岡一家の銃撃戦のあと二人は身体を張って、関西同志会と対決した。
その間書類は真弓の手を通して柏田に無事渡った。
一触即発の重苦しい空気がただよう東西両やくざ対決の場に、死をかけた仲裁を決意した二人は、両陣営の見守るど真中で向かい合って拳銃を撃った。
この仲裁が成功したことを知って二人は笑って死んだ。
コメント:
外見はギャング映画で、中身は任侠映画という不思議な感じの作品。
石井輝男らしいといえば石井輝男らしい。
豪華キャストが出演していて、ギャングアクションあり、恋愛ありと盛り沢山。
重要登場人物もバッタバッタとたくさん死んでいくという、何が何だかわからぬ展開ではあるが面白い。
昔堅気やくざの鶴田浩二と盲目の妻・佐久間良子が良い雰囲気を出している。
短気な健さんと三田佳子の話も良い。
待田京介と可愛い藤純子の恋愛ストーリーが心を和ませる。
この映画で「網走番外地」を高倉健が口ずさむところが印象に残る。
この映画の後、「網走番外地」が作られたのだ。
石井監督がテレビで受刑者がこの歌を口ずさむのが印象に残って使ったというが。
もうこの映画を撮影するときには「網走番外地」の映画化の話も出たのだろうか。
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