市川雷蔵の映画 眠狂四郎シリーズ 第2作 「眠狂四郎勝負」 女難、剣難を乗り越える狂四郎! | 人生・嵐も晴れもあり!

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眠狂四郎勝負

 

 

 

1964年1月9日公開。

眠狂四郎シリーズ第2作。

 

 

 

脚本:星川清司

監督:三隅研次

出演者:

市川雷蔵、藤村志保、加藤嘉、高田美和、久保菜穂子、成田純一郎、丹羽又三郎、五味龍太郎、戸田皓久、浜田雄史、須賀不二男

 

 

あらすじ:

愛宕神社の階段で年老いた参拝者の後押しをして小銭を稼ぐ健気な少年。

少年の父は江戸で評判の武芸者であったが、道場破りの榊原に殺され、少年は境内の茶屋で寝泊まりしながら独り生きていたのだった。

少年を不憫に思った狂四郎(市川雷蔵)は、たまたま知り合った老侍(加藤嘉)を立会人に、道場破りを少年の父の流儀で打ち殺す。

その夜居酒屋で老侍と酒を酌み交わす狂四郎。

別れを告げて先に店の外に出た老侍は、赤座軍兵衛(浜田雄史)と名乗る侍に突然襲われる。

一向に風采のあがらないその老侍が、実は朝比奈という勘定奉行の職にあるだ男と聞いて、助けに入った狂四郎は興味を唆られた。

さらに狂四郎の耳には幾つかの興味ある事実が入った。

家斉の息女・高姫(久保菜穂子)は堀家に嫁ぎながら、早くから夫を失い奔放で驕慢な生活をしていること、そして、用人・主膳(須賀不二男)は札差、米問屋などに賄賂とひきかえに朝比奈の抹殺を約していること。

又、赤座も朝比奈を狙っていること等々。

ある日、朝比奈を警護していた狂四郎を榊原の弟が襲いかかる。

そこに遊楽帰りの高姫の列が通りかかる。

狂四郎はわざと高姫に榊原の槍が向かうように仕向けた。

屋敷に戻り怒る高姫に主膳が朝比奈の企みだろうと吹聴する。

そして朝比奈の命を奪えと命ずる高姫に策を講じていると告げる。

主膳の命によりすぐりの殺人者が揃った。

赤座、増子、榊原、海老名、それに、キリスト教の布教に囚われている夫を救うため、主膳の膝下にある采女(藤村志保)が加わっていた。

動機も武術も異る五人は、狂四郎の身辺に危害を加えようと立ち廻った。

ある日采女の妖しい魅力にひきつけられた狂四郎は飲んだ茶に毒を盛られ意識を失う。

狂四郎は両手を縛られ、高姫の褥の傍に据えられた。

動けぬ狂四郎を前に迫る高姫。

狂四郎は彼女を罵倒し、騒ぎに飛び込んできた増子の手裏剣を逆に利用して屋敷を逃げ出すのだった。

その後も手をかえ品をかえてせまってくる殺人者に対して、円月殺法で勝ち抜いてゆく狂四郎。

全てを失敗した主膳は、狂四郎と柳生但馬守との御前試合を計る。

狂四郎の刀に細工をし、抜けた白刃が朝比奈の胸を突くという計略であった。

試合当日、冷い眼をすえる高姫の前で、抜けた狂四郎の白刃が貫いたのは主膳の一味の大口屋の胸だった。

敗北を認める高姫の口から、思わず浪人狂四郎を慕う言葉がもれた。

だが、なおもあきらめない主膳は、采女を囮りに狂四郎を狙っていた。

殺気をはらむ武蔵野の枯野原を、対決の時は刻一刻と迫っていった。

十字架を模した木に縛り付けられている采女の元に駆けつけようとした狂四郎を矢が襲う。

それをくぐり抜け、采女を救い出した狂四郎を主膳たちと、赤座や海老名が襲う。

そして円月殺法によって彼らすべてを撃退した狂四郎に対して、駆けつけた朝比奈は落ち着いた生活をするように勧めるが、狂四郎は笑顔で断る。

生き残った采女をも残し、狂四郎は一人立ち去るのだった。

 

 

コメント:

 

円月殺法の素晴らしい殺陣を見せつける狂四郎を演じる市川雷蔵の面目躍如。

第2作となってますます狂四郎らしいニヒルさが増してきた。

やはり監督が、雷蔵と最も相性が良い三隅研次だと、雷蔵の立ち居振る舞いが違う気がする。

 

 

勘定奉行の朝比奈を演じる加藤嘉が、正義感あふれる良い味を出している。

江戸の世には、このような頑固一徹で人情味のある立派な武士が実際にいたのではないかと想像できる。

女優陣は、謎めいた藤村志保、純情な高田美和、妖艶な悪女・久保菜穂子と揃つている。

藤村志保は、島崎藤村原作の「破戒」(1962年)でデビューした時から何度も、雷蔵と共演を重ねている。

雷蔵は、彼女にとって最も信頼できる先輩だったのだろう。

 

 

円月殺法というのは、単なる剣術の流儀だけではなく、相手の心を迷わす一種の妖術でもある。

冒頭で、群衆の中から年寄りを見つけて、腰を押すことでその歩行や石段の昇りを補助している少年に狂四郎は出会う。

狂四郎と少年のシンパシーは、こうした野宿性や野良性にもあるようにみえる。

通常の暮らしから溢れてしまった者たち、暮らしに届かない者たちの感情が、狂四郎の神秘的な妖術を駆動させているのではないか。

そのように見ていくと、「眠狂四郎シリーズ」で出てくる、暮らしに困っている町民や、命を狙われるキリシタン信徒などは、円月殺法に深い関係があるのかも知れない。

 

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