「卒業白書」
(原題:Risky Business「危険なビジネス」)
1984年1月28日日本公開。
トム・クルーズ初主演の青春ラブストーリー。
ゴールデングローブ賞 主演男優賞ノミネート。
興行収入:$63,541,777。
監督・脚本:ポール・ブリックマン
出演者:
トム・クルーズ
レベッカ・デモーネイ
ジョー・パントリアーノ
カーティス・アームストロング
あらすじ:
17歳のジョエル(トム・クルーズ)は、シカゴ郊外のハイスクールの3年生。自由企業研究会に属して、大学でも経営学専攻を目ざす彼は、一流大学に入り一流企業で働きたいと望んでいたが、成績はいまひとつパッとしない。
若いエネルギーが、勉強することよりも他のことに興味をかきたてさせるのだ。
彼はいつもモヤモヤした気分で、白日夢ばかり見ていた。
そんな時、両親(ニコラス・プライア)(ジャネット・キャロル)が、休暇旅行に出ることになり、留守をまかされることになった。
広い屋敷の中で、父親のステレオでロックをがんがんかけて酒を飲み、父親の大切にしているポルシェを乗りり回すジョエル。
ところが、秀才ですでにハーバード大学行きが決まっているマイルズ(カーティス・アームストロング)が、勝手に電話で出前サービスの娼婦を頼んでしまい、その夜、ゲイの黒人がジョエルを訪れた。
あり金の75ドルで何とか引き取ってもらったものの、その黒人がメモに残していったお勧めだという女性ラナ(レベッカ・デ・モーネイ)に、つい電話してしまった。
現われた女性は夢かと疑ってしまう程のすばらしさ。
快感に酔いしれたジョエルは、そのまま朝を迎えた。
しかし、彼女が要求した金額は何と300ドル。仕方なしに、銀行に行き、おばあちゃんからプレゼントされた大事な国債を現金に換えて家に戻った。
すると、家にはラナはおらず、同時に母親の宝であるクリスタルの置物も消えていた。
あわてた彼はなんとか彼女の居所を調べ、マイルズと共にあるホテルで彼女に会った。
しかし彼女は、ポン引きのグイド(ジョー・パントリアーノ)と言い争いをはじめ、グイドから逃げ出しジョエルのポルシェに乗り込んできた。
一大チェイスの末、結局再び彼の家で一夜を過ごすラナ。
翌日、家に残したラナが再び何かを盗むのではないかと気が気ではない彼は、授業も身に入らず急いで家に帰るが、彼女は何と友だちの娼婦を家に引っぱり込んで商売をしていた。
その娼婦ら3人を乗せポルシェでドライブに出たジョエルは、桟橋から、あやまってポルシェをミシガン湖に沈めてしまった。
車の修理費が600ドル。
途方に暮れる彼にラナが提案した。
金持ちお坊ちゃんたちを集めて大乱痴気パーティーを開いたら、というのだ。
しぶしぶうなずいて催してみると、パーティーは大成功。
ジョエルの家には続々と坊ちゃん達が集まって来た。
そんな客と一緒にやって来たのが、彼が進学を望んでいるプリンストン大学の調査員。
はじめは、バカ騒ぎに呆れた表情を見せるが、可愛い娼婦たちに歓待されてニコニコ顔に変貌。
その日の明け方近く、ラナに地下鉄でのスリリングな愛に誘われたジョエルは言われるままにラナに従い、めくるめくような悦楽を味わった。
しかし、その間に家の中の家具が全て盗まれていた。
ヒモのグイドの仕業だ。
その日は両親が帰ってくる日だ。
慌てた彼は、稼いだ8 000ドルの金をすべてはたいてグイドから、家具を買い取った。
両親が家に着くまでには何とか間に合った。
しかし、クリスタルの置物にひびがあることを母親にとがめられガックリくるジョエル。
そんな彼に、父親が告げた。
「今プリントン大学からお前の入学を望んでいると連絡があった」と。
コメント:
トム・クルーズ初主演の青春ラブコメディ。
高校生のジョエル(トム・クルーズ)が、両親の旅行で留守をよいことに、自宅でバカ騒ぎや、娼婦ラナ(レベッカ・デモーネイ)の出張サービスを楽しんでしまう。
その後、父のポルシェを湖に沈めてしまい、修理代を稼ぐため、家はを娼婦の館にしようとする話。
ストーリー&演出がよくできた作品ではある。
トム・クルーズが、ワイシャツとブリーフ姿で、踊る光景が有名。
若かりしトムクルーズが主演するB級映画。
日本語タイトル「卒業白書」から想像すると、ダスティン・ホフマンの「卒業」を連想するが、全然違う。
ホフマンは「卒業」でゴールデングローブ賞新人賞を獲得しているが、トムはこの映画で ゴールデングローブ賞 主演男優賞にノミネートされた。
とにかくトムが出ずっぱりのはっちゃけ振り!
まあ良しとするか。
内容は、原題の「Risky Business」の方が合っている。
トップガン以降ハリウッドスターとなったトムでも、最初はこんなレベルの映画に初主演していたとは驚き。
あまり成績の良くない大学受験を控えた中産階級のぼんぼん高校生が負の連鎖で開催することになった売春パーティ?の成り行きを描く。パーティを共催するコールガールとのラブコメといえるのでしょう。
ただ、B級映画といっても、面白くない訳ではなく、ラブコメとしてみるとそれなりに面白い。
愛と友情を描いた青春グラフティと言えなくもない。
オチも気が利いている。
ぶっ飛んでいる青春もの。
ある評論家の評価によれば、この映画はトム・クルーズの全ての原点が入っている貴重な作品とのこと。
以下ご覧あれ:
トム・クルーズの出世作ではあるが、同時に現在のトム・クルーズ映画の原点とも言うべき要素が詰まった作品。
M:I-2でダグレイ・スコットにばかにされたニヤケ顔も、チャラそうに見えて実はウブなキャラ性もまったくそのまま。
とくに、トム・クルーズの出演作がトム様映画と揶揄される理由として、トム・クルーズ主演作品では他の映画にあるような、他者からの視点が殆ど無いことがあげられる。
最近の「コラテラル」や「ナイト&デイ」「M:I-3」こそ、それを逆手にとった演出もあるものの、基本的にはカメラはトムの行動を追いかけ、観客が知り得る情報はトムの見聞きしたものに限られる。
つまりはトムが主演した映画では基本的にトムが出ずっぱりになるということで、これはなかなか生半可な俳優にできることではなく、ほとんど初主演でそれをやってのけたトム・クルーズはやっぱりカリスマといっていいのだろうと実感させられたりする。
興味がおありな方は、YouTubeで有料視聴なら可能。
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https://tsutaya.tsite.jp/item/movie/PTA00007YDL9