「ニューヨーク・ニューヨーク」
1977年8月13日日本公開。
ニューヨークを舞台にしたサックス奏者と歌手のラブ・ストーリー。
デニーロとライザ・ミネリの共演。
興行収入:$13,800,000。
脚本:
アール・マック・ローチ
マーディク・マーティン
監督:マーティン・スコセッシ
キャスト:
- フランシーヌ・エヴァンス - ライザ・ミネリ
- ジミー・ドイル - ロバート・デ・ニーロ
- バーニス・ベネット - メアリー・ケイ・プレイス
- トニー・ハーウェル - ライオネル・スタンダー
- ポール・ウィルソン - バリー・プリマス
- フランキー - ジョージー・オールド
あらすじ:
1945年8月15日。
ニューヨークは、対日戦勝で沸いている。
摩天楼の月明りからマーティン・ブロックのラジオ・ショウが。
時はまさにビッグ・バンド・ミュージック最盛期。
その日、失業中のサックス奏者ジミー(ロバート・デ・ニーロ)は質屋にむかう途中、トミー・ドーシー楽団のビートにつられホテルのテラスに足がむく。
復員兵や、前線から戻った彼のバンド仲間がいた。
その中の女性フランシーヌ(ライザ・ミネリ)に彼は一目ぼれをする。
だが、友人から、彼女の電話番号を聞くのがやっと。
翌日、彼は部屋代の件でホテルの支配人に呼ばれている時、彼女と再会。
部屋代に困る彼をうまく支配人から逃がしてくれた彼女。
2人の間は急速に親しくなっていった。
2人はクラブのオーディションに合格するが、フランシーヌのマネージャーのトニー(ライオネル・スタンダー)は、フランキー(ジョージー・オールド)楽団と共に彼女を全国巡業させようと思っていたのだ。
ジミーに理由を説明する間もなく、旅に出されるフランシーヌ。
仕方なく彼女は昔の恋人ポール(バリー・プリマス)にジミーへの伝言を頼むが。
やがて、彼女は花形歌手として成功を重ねた。
だが、彼女を忘れられないジミーは彼女を追う。
場所は、ペンシルベニア州北東部に位置する都市スクラントン。
ステージで歌う彼女に彼は再会し、ジミーも彼女達のバンドに加わることとなった。
巡業中、彼は曲をつくる。
タイトルは「ニューヨーク・ニューヨーク」。
そして2人は周囲の祝福を受けて、ゴールイン。
やがて、リーダーが第一線を退くこととなり、ジミーは指揮を受けもつこととなる。
だが、ポピュラー調ボーカルの彼女と、バップ・ジャズの彼。
この2人の間には溝が出来つつあった。
ハーレムのクラブに入りびたりの彼。
2人の間に子供も出来るが、それは2人の別れの時でもあった。
数年が流れる。
フランシーヌは歌手として成功をおさめ、ジミーは2人の思い出の曲「ニューヨーク・ニューヨーク」の成功で一流レコード会社の副社長におさまっている。
そんな2人が、ある日の夕暮れ懐しのあのホテルで再会した。
ぎこちない会話、じっと見交わす目と目。
2人は通りを歩き出した。明日になれば再び別の道を歩むのを知りつつも、今この時だけは2人だけのものだった。
コメント:
ミュージシャンの恋を軸に1940年代のニューヨークのムードを描き出した音楽ラブ・ロマンス。
第2次大戦が終わった1945年夏のニューヨーク。
クセの強いサックス奏者ジミー(ロバート・デ・ニーロ)と歌手フランシーヌ(ライザ・ミネリ)が愛し合いながらも、やがて2人は別々の道を歩み、フランシーヌはスターとなる。
やがて二人は別れ、その後再会する。
「タクシードライバー」(1976年)のように、絶えず苛立ち、突然爆発する男をデ・ニーロが演じる。
だが、目を覆うような殺戮シーンなどはないので、デニーロのひょうきんなアクションで笑える映画になっている。
そのデニーロがサックス奏者で、ミネリが歌手。
スターとなったミネリが歌って踊るミュージカルの場面は素晴らしい。
歌唱力は世界一だ。
さすが、ライザ・ミネリは凄い!
デニーロがテナーサックスを器用に吹いている。
実際に彼自身で吹いているそうだ。
なんでも徹底したいデニーロは、この作品のためにサックスを完全にマスターしたというのだ。
これぞ、ロバート・デ・ニーロである。
固定ショットで明らかにセットである雪降るホームで、列車が動き出して、慌ててデニーロが乗ろうとして、列車を止めようとするが、引きずられていく場面が印象深い。
ミネリが鏡にうつるデニーロを見つけて再会する場面が二度あり、その二度目はミネリの目のアップが右半分を覆い、左半分がデニーロがやってくるという描き方は面白い。
スコセッシ監督の技がさまざま見れる楽しいラブロマンスの映画だ。