「続・夕陽のガンマン 地獄の決斗」
1967年12月30日公開。
マカロニ・ウエスタンの巨匠セルジオ・レオーネの「ドル箱三部作」の第3作目。
興行収入:2億6652万円。
脚本:
フリオ・スカルペッリ
セルジオ・レオーネ
ルチアーノ・ヴィンチェンツォーニ
監督:セルジオ・レオーネ
音楽:エンリオ・モリコーネ
主なキャスト:
- クリント・イーストウッド - ジョー 役
- イタリア語の脚本でも「ジョー」と名付けられているが、劇中でのテュコからのあだ名は「ブロンディ」。
- 善玉(字幕版では「善玉」、吹き替え版では「いい人」)。
- リー・ヴァン・クリーフ - セテンサ 役
- 通称:エンジェル・アイ(字幕版では「エンジェル」、吹き替え版では「ハゲタカ」)。
- 悪玉(字幕版では「悪玉」、吹き替え版では「悪い奴」)。
- イーライ・ウォラック - テュコ 役
- 正式名:テュコ・ベネディクト・パシフィコ・フアン・マリア・ラミレス。
- 卑劣漢(字幕版では「卑劣漢」、吹き替え版では「汚ねえ奴」)。
あらすじ:
南北戦争末期の西部。
ジョー(C・イーストウッド)とテュコ(E・ウォラック)の二人はコンビを組んで賞金をかせいでいた。
テュコが人を殺し、賞金つきのお尋ね者となる。
そのテュコをジョーがとらえて賞金をうけとりテュコが絞首刑という寸前にジョーが救い出す、といった方法だった。
だが、この商売も次第にあぶなくなってきたので、ジョーはテュコを捨て、去っていった。
怒ったテュコは、ジョーを罠に落としてとらえ、砂漠の中で痛めつけた。
その時、南軍の兵士の死体をのせた馬車が疾走して来た。
その中に唯一人瀕死の兵士がおり、水を求めていた。
その兵士が墓地に隠した二十万ドルの在りかを知っているというので、テュコは水を取りに行ったが、戻ってくるとすでに死んでいた。
そしてジョーはその墓の名を聞いていた。
墓地の名をテュコが、墓石の名をジョーが知っているということで、二人は相棒になるしかなかった。
二人は南軍の軍服を着込み、救護所へもぐり込んだが、その軍服のために北軍の捕虜となり、収容所にぶち込まれてしまった。
その収容所には以前から隠した二十万ドルをさがしていたセサンテ(L・V・クリーフ)がおり、二人はさんざん責められた。
だが、ジョーがいくら拷問をかけても口を割りそうにない男だとみたセサンテは、同盟を結び一緒に金を捜すことにした。
だが出来ることなら金を全部一人占めにしたいと思うのが人情である。
三人は、それぞれに相手を出し抜こうと争った。
そしてまずセサンテが二人に射殺された。
残った二人はおめあての金を掘りあてたが、テュコはジョーの罠にかかってしまった。
しかし、ジョーはテュコを射殺することはできず、結局、また旅を続けるのだった。
コメント:
この映画の原題は、「The Good, the Bad and the Ugly」
その意味は「善玉、悪玉、卑劣漢」。
文字通り、メインキャスト3人の立ち位置を表わしているのだ。
善玉=クリント・イーストウッド、悪玉=リー・ヴァン・クリーフ、卑劣漢=イーライ・ウォラック。
三者三様、それぞれの個性とドラマがメリハリあって良い。
一応イーストウッドは善玉だが、どう見てもダーティ・アウトローなのはご愛嬌。
クリーフはやっぱりニヒルでクール。
“静”の二人に対してウォラックが唯一言動激しく、欲深くて人間臭い。
今回の一番美味しい役所かも。
金貨目当てから始まって南北戦争を挟むストーリー展開はスローながら3人の強烈個性が引っ張って飽きる事はなく、一発で決まるラストの決闘はこれぞ西部劇の醍醐味。
入り乱れた善玉、悪玉、卑劣漢の勝者は、薄汚い大悪党…?
マカロニウエスタンの最高傑作の呼び声も高い本作はなかなかの娯楽大作だ。
本作が特異なのは、南北戦争を背景にしているところ。
南北戦争という歴史的大事件の中にこの3人を置くことで、3人のアウトロー感が際立つ。
南北戦争をも利用して20万ドルへまっしぐらな3人の姿が滑稽であり、逞しい。
ラストの落としどころも痛快で、ここでも十分時間をかける溜めが効いている。
レオーネ監督の演出が素晴らしい。
場面を更に盛り上げるモリコーネの音楽も素晴らしい!
タイトルに「続」とついているが直接的な繋がりはない。
クリント・イーストウッドの名無しキャラくらいしか共通点はない。
善玉、悪玉、卑劣漢の三人の駆け引きが良いバランス。
クリント・イーストウッド、リー・ヴァン・クリーフ、イーライ・ウォラックの三者三様の立ち振る舞い、キャラが良く立っている。