「網走番外地シリーズ」第3弾「網走番外地 望郷篇」 | 人生・嵐も晴れもあり!

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「網走番外地 望郷篇」

 

網走番外地 望郷篇 予告編

 

1965年10月31日公開。

興行収入:2億4780万円。

(1965年度興行収入第4位)

 

 

監督・脚本:石井輝男

出演者:

高倉健、桜町弘子、杉浦直樹、田中邦衛、嵐寛寿郎、安部徹、由利徹、待田京介、東野英治郎、砂塚秀夫、中谷一郎、石橋蓮司

 

 

 

あらすじ:

橘真一(高倉健)は、彼が服役中に死去した父の墓参も兼ねて久方ぶりに長崎に帰郷した。

橘がまだ十七、八のころ、旭組の若い衆の一人であった橘は、組長・旭(嵐寛寿郎)のおとなしいのをいいことに、旭組の縄張りをもぎとろうと悪業の限りをつくす新興勢力安井に腹をたて、単身安井組になぐりこみ、安井を刺し大怪我をさせた。

旭はそんな橘をかばい、そっと東京に逃がしてくれたのだ。

橘にとって長崎は、そんなホロ苦い思い出のある町だったが、今も旭組は、横暴を極める安井組のために、仕事をとられ苦しい毎日が続いていた。

そんな時に橘が帰ってきたのだ。

今は中風を病んで力衰えた旭統一とその息子で、安井組に闇打ちされて負傷した猛(中谷一郎)、それに橘に想いをよせながら猛と結ばれたルミ子(桜町弘子)が、橘を喜び迎えた。

そんなある日、旭組に外国船の積荷を下ろす大掛りな仕事がまいこんだ。

だが、この仕事は、短い時間内にやりとげねばならない難しい仕事だ。

仕事を任された橘は、安井組の妨害で集らない人手を見越して、網走での仲間中田(田中邦衛)らを長崎に呼んだ。

一方の安井組も、なんとかこの機に旭組を叩き潰そうと、用心棒に人斬り譲次(杉浦直樹)をやとい、街の愚連隊に旭組の仕事を妨害させた。

しかしこの譲次が、組を思う橘の男気にホレて身を引き、旭組の仕事は無事終了した。

だが、なおもあきらめきれない安井は、旭組が積荷を下ろした倉庫を爆破して、網走の前科者たちに罪をきせようとした。

このため中田は殺され、これを知ってかけつけた病身の旭は重傷を負い、旭の片腕ともいうべき田所(砂塚秀夫)は殺された。

橘は、この事件を目撃していた混血の娘エミーから聞き、単身安井組になぐり込んだ。

橘の怒りに燃えたすさまじい剣に、安井組は四散し、唯一人ふみどまって橘と相対した譲次も紅に染った。

やっとのことで探しあてた母親のもとに帰る、エミーを見送る橘の顔は爽やかだった。

 

 

コメント:

 

蹴られても踏まれてもじっと耐える男の辛抱。

最後に立ち上がるのは「男が怒るのは生涯で一遍だけだ」というセリフで単身敵の組に乗り込む高倉健。
ワンパターンだが、時代劇に通じるところがあって、最後は敵の雇った殺し屋と一騎打ちというのも湧かせる場面。

 

キャストがいい。

悪どい親分の用心棒役の人斬りのジョーの杉浦直樹が、肺病病みなのにクールに口笛を吹きながら登場して楽しい。

ラストには黒澤の「用心棒」を彷彿とさせるような、健さんとの対決シーンもある。

健さんの弟分には一癖も二癖もある待田京介、懐かしきお姫様女優・桜町弘子、網走仲間の田中邦衛や由利徹など個性ある脇役がそれぞれに持ち味を発揮している。

そして圧巻は嵐寛寿郎。男気のある沖仲仕の組長を演じてさすがの貫録だ。


網走番外地シリーズは、昭和残侠伝や日本侠客伝のシリーズとは違って、コミカルなタッチもあって、前半は軽い感じも受けるが、ラスト近くから、ひとりで敵地に斬り込んでいく場面になるとあの主題歌も流れて、さすがの迫力となる。
やっぱり健さんはいい。もうこういう俳優は出てこないだろう。