ヨセミテ周辺の旅 *updated* | 私の回想録 

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レミニセンス - 回想録。
過去の記憶を呼び返しながら、
備忘録として残したい。
記事が長いが何とぞご容赦ください。

~2013, 2015年 メモリアルデーの旅~

 

アメリカでは5月の最終月曜日が、メモリアルデー(戦没者追悼記念日)として休日となる。仕事柄、続けて休みを取りづらい環境であったが、毎年ここで貴重な3連休を取り、旅にでていた。気候の良いアメリカ合衆国西部でも、この時期は特に安定した天気に恵まれ、快適な旅が可能となる。カリフォルニア、アリゾナ、ネバダ、ユタと、この季節まったく雨が降ることを考える必要はない。

2013年と2015年のメモリアルデー連休はヨセミテ周辺への旅をした。

 

 

ヨセミテ渓谷へは車を運転して、セコイア、キングスキャニオン国立公園経由で行った。早朝にレドンドビーチの自宅を出発し、フリーウェイ I-5** を北上し、ベーカーズフィールドを経由して先ずセコイア国立公園への山道を登る。( ** I = Interstate - 州間高速道路  I-5 = 5号フリーウェイ) 

セコイア国立公園はシエラネバダ山脈の南部に位置し、カリフォルニア州のちょうど真ん中となる。ここではジャイアントセコイアと呼ばれる巨木に圧倒される。山道を登っていくと、木がだんだん大きくなっていき、ある標高から突然今まで見たこともない大きさの木が出現し、その巨木の森、ジャイアントフォレストになる。全世界の体積の大きい巨木10本のうち、5本がここに存在するということだ。ここには、高さ83.8m 幹の最大直径 11.1m、世界一の巨木として有名なシャーマン将軍の木、General Sherman Treeがあり。写真をみればその大きさは一目瞭然である。車をパーキングに止めて、現物をみればこれまた感動ものだ。周りには同じような大きさの木が沢山あり、まさに巨木の森である。

 

 

ルートはほぼ一本道で、キングスキャニオン国立公園につながっているが、ちょうど昼時、中間地点あたり、雰囲気のいいWuksach Lodgeのレストランで昼食を取った。一見高級な感じがするが、値段はリーズナブルで、パニーニサンドイッチが美味しい、穴場レストランだ。余談だが私はアメリカに赴任してきてから、カリッとした堅いパンのサンドイッチを好むようになった。日本ではふわふわの柔らかいパンばかりで、堅いパンはバケット、バタール以外、提供しているベーカリーが少ないのが残念と思う。

 

 

続くキングスキャニオン国立公園には、セコイア同様に巨木の森があり、世界2位の大きさのグラント将軍の木 (General Grant Tree)がある。こちらも見事な大きさと枝ぶりの巨木である。

 

一方、セコイア国立公園の中には240以上の鍾乳洞があり、唯一一般観光客の観察ができるのがクリスタルケーブ- Crystal Caveだ。2015年は、ここを探索するため、前日にべーカーズフィールド- Barkers Field に宿泊し、早朝、セコイア国立公園のビジターセンターに向かい、先着順の受付を行い、鍾乳洞観察が叶った。全長5.5km の洞窟の一部のコースだけであるが、出発前にグループ分けされ、それぞれにガイドが付いたツアーで、そのグループで花崗岩の奇岩の中を探索した。規模、美観的には日本の鍾乳洞、例えば岩手県の龍泉洞の方が上だが、暗さを強調したツアーで、アメリカ人旅行者にとっては鍾乳洞への導線にある大きな滝を臨む景色から、見事な自然が作り上げた鍾乳洞の景観と静寂な雰囲気は、とても珍しいものではないかと思う。

 

 

ヨセミテへ向かう前日は1泊する。できれば公園の中のヨセミテロッジが最高なのだが、この時期の予約は極めて困難だ。公園の外、入り口の町のマリポサでも宿が取れない。フレスノの北のMerced (マーセド)という町に泊まり、朝6時に出発した。8時にはヨセミテビレッジに到着できた。

 

この時期ヨセミテ渓谷では雪解け水が豊富で、いくつもある滝の豪快な瀑布を楽しむことができる。渓谷に入る前の道の脇にも、豊富な水量のマーセド川やその支流(Creek)が流れている。シエラネバダの雪解け水はロサンゼルスなど南カリフォルニア地域にも送られ、人々と乾燥した大地を潤している。しかし近年は積雪量が少なく、毎年危機的な水不足が続いている。

ヨセミテ周辺は、木々も美しく、さらに進んでいくと巨大な崖の深い渓谷となる。左手には上下2段の大瀑布、ヨセミテフォールが現れる。有名なハーフドームはもっと奥に 入るか、高く登るかしないとよく見えない。

        バーナル滝、ミストトレイル

 

2013年は、ヨセミテ滝を下から楽しみ、そして公園内無料周遊バスにのって、登山口に向かい、バーナル滝、その水しぶきを浴びながら、滝の脇を登るミストトレイルに挑戦した。ネバダ滝がよく見えるあたりまで登り、別のコースから下山した。ヨセミテはトレッキングが何よりの楽しみといえる。

 

 

2015年は、渓谷の上部、渓谷が上から一望でき、ハーフドームの景観も素晴らしいグレーシャーポイントGlacier Point へ専用バスで登り、景観を十分楽しんだ後は、正面にヨセミテフォールを見ながら、渓谷へひたすら下る4マイルトレイルから下山した。それよりタフなコースとして、Glacier Point からハーフドーム方面に向かい、様々な角度からハーフドームの景観を楽しみ、ネバダ滝、バーナル滝を下るパノラマトレイルを健脚たちは下っていく。次の機会があれば私も挑戦していたと思う。

 

 

       上下2段の大瀑布、ヨセミテフォール

 

Glacier Point までのバスは非常に混むので、事前にネットでチケットを購入しておいた方がいい。更にヨセミテロッジからGlacier Point までは一時間以上かかるので、早め早めの行動が必要となる。

もう一泊ビレッジの中で泊まれば、様々なプランを楽しめたと思うが、2013年、2015年ともに4時頃にはヨセミテビレッジを出て、渓谷の上部、これまた違った景観の素晴らしい道をドライブして、モノレーク方面に向かった。

モノレークは真ん中に島のある大きな湖で、それを正面から眺めながら右折する。宿は、両年ともマンモスレイクスキー場の高級スキーロッジ、Juniper Springs Resortに泊まった。キッチン、ダイニングや、大型ソファー、さらに1~2ベッドルームがある高級風スイートルームではあるが、この時期は既にオフシーズンとなっており、一泊一部屋 $200++ で宿泊できる。マンモスレイクマウンテンはカリフォルニアで有数の大規模な、素晴らしいスキー場で、これまで何回か頂上3,300mからの滑走を楽んだ。

 

           

マンモスマウンテン 山頂です。

 

臨めば山頂付近には未だ雪が残っているが、もう5月末なのでスキー場の営業は既に終了している。ダイニングキッチンがあるので夕食は、周辺のレストランを選んで、おいしい料理をTo Goした。無論ワイン、ビールは持参してきている。結構歩き、長い距離をドライブしているので、今宵はほろ酔いでそのままぐっすりだ。朝は軽く朝食を済ませ、ホテルの屋外ジャグジー、プールでリフレッシュし、帰路に向かう。

 

途中、Bishop という町を通るのだが、有名なベーカリー、Erick Schat’s Bakkery (スペルミスではない) があり、こんな田舎町で大繁盛している。マンモスレイクにも支店があり、ランチはいずれかで購入するのが恒例となっていた。例により堅いパン(カンパーニュ)で、パストラミサンドイッチを注文し、さらにお土産にハラペーニョガーリックチーズブレッドを買って帰った。これは丸く大きめでそれほど堅いパンではない。でも日本ではお目にかからない美味しいパンといえる。

 

 

行きは、シエラネバダ山脈の西側のルートI-5、99を通ってきたが、ヨセミテでシエラネバダを横断したので、帰りはシエラネバダの東側のルート395、I-14をひたすら南下する。途中、第二次世界大戦中、1万人もの日系アメリカ人を収容したマンザナー強制収容所の史跡がある。宮武東洋の記録写真により、当時の貴重な収容所の暮らしや実態が残されている。マンザナーを描いた記録映像や、小説もあるので、一度は視て読んで、歴史を学んでいただけたらと思う。

以降、道路は混むことはないので、ランカスターからスムーズにロサンゼルスに帰ることができる。このように、ヨセミテとその周辺は、この最高の季節に3日間という短い旅でも欲張りに楽しむことができるのである。

                                                                       了