久々の室町時代創建時の龍安寺ジオラマ製作 |  Kyotoから創造するARTBOX45°

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 歴史的建造物の模型・ジオラマなど当時の情景を蘇らせることに日々励んでいます。

宗秀斎です。

 

立春の季節ですね。

苦手な寒い季節も終えようとしています。ほぼ自宅に篭りきりで製作ばかりしている日々を送っているせいか、運動不足(汗)

少し暖かくなったら散歩がてら市内の寺院仏閣をサイクリングしたいと思うこの頃。

現在、ある漫画家さんの個展開催に向けて微力ながらお手伝いさせて頂く機会があり、それに必要な何点かのジオラマ製作のご依頼で製作に追われているという日々が続いてます。

 

これまであまり経験したことのない内容のモチーフなので新鮮な気持ちで楽しませて頂いてます^^

4月中には何かしらお知らせできるかと思っていますのでよろしくお願いします。

 

そんな中、2年ぶりに室町時代の創建の姿を再現した石庭で有名な京都龍安寺を木材によるスクラッチ製作に臨みました。以前の記事でも創建期について資料を元に検証してその過程について触れていましたが、ざっくりおさらいを含めてご紹介したいと思います。

龍安寺は室町時代の武将、細川勝元を開基として1450年に創建。昭和に入りイギリスのエリザベス2世も拝観した世界でも枯山水石庭を備えた有名な寺院ですね。現在まで応仁の乱など幾度の焼失で創建当時の資料は少なく、現在龍安寺に保存されている創建時に描かれたとされる古図を元に検証したものです。上記の古図を確認すると現在の方丈と繋がる庫裏部分は描かれておらず、方丈部分中心に勅使門があることが分かります。江戸時代に入ると再建を繰り返し、徐々に形を変えつつ現在に至りますが、方丈や石庭の位置は創建当時と変わっていないという印象があります。

江戸期の絵図を確認すると現在の油土塀と少し違って柱のある築地塀が確認できます。石庭に入って鑑賞を楽しむ人々の様子が描かれています。江戸時代の鑑賞風景が甦りそうな絵図ですね。

 

現在の龍安寺実測図と現地撮影した写真、立面図を参考に作成した方丈部分から現在の方丈と石庭を照らし合わせながら、おおよそスケール1/150で進めました。

 

絵図に見られる築地塀部分。時間の経過を意識したジオラマにしたいので、経年劣化した漆喰部分を表現していきます。一つ一つ1mm角の角材を切り分けて貼り付ける作業が延々と続く‥。いつもながら地味な作業ほど忍耐が必要^^

 

龍安寺方丈。

柿葺き屋根の質感はまずまずといったところでしょうか。木材の質感をフルに生かし、屋根の微妙な反り具合など一番神経の使う箇所が難題とも言えます。江戸時代初期に龍安寺近くにある西源院から移築された現在の方丈を代用しています。さすがに創建当時の姿を描写した方丈の絵図は残っていないのですが、現在の方丈は1606年建立で当時の姿に割と近い姿ではなかったか?と推測しています。

 

小石が並べられた溝部分も一つ一つ小石を並べる作業。

こちらも手芸感覚に近い細かい作業が続き、眼球疲労になります(汗)

 

勅使門と石庭

龍安寺実測図からメインとなる15個の庭石から構成された石庭部分をトレースし、庭石や面積などほぼ忠実に配置していきます。

ここで最も強調したいのは枯山水石庭の風景^^

 

最後に植樹。

樹木の配置のバランスを考え、特に方丈部分は樹木で隠れないよう配置は控えめにして広い敷地内にまとめていくと安定感あるジオラマに。この微妙な本数や大きさの調整などジオラマ製作において重要だったりします。

ようやく古刹の風景を描いた龍安寺ジオラマが完成!

 

 

恒例の屋外撮影。

 

 

いかがでしたか?

室町創建の古刹の風景を描いた龍安寺方丈と石庭ジオラマ。

古刹の姿を再現することで往時の風景が蘇る…そんなジオラマになればと思っています。当時の風景を思い描きながら龍安寺に拝観するとまた違った景色が見えるかもしれません。

 

暖かい時期が訪れる際に一度、歴史を感じながら癒しのひとときに春の龍安寺を楽しむのも良いかもしれません。

これにて室町創建龍安寺ジオラマ製作は終了でございます。