「虎に翼」は苦手 | 野中宗助の日常

野中宗助の日常

漱石「門」の主人公の名前を拝借

朝ドラ「虎に翼」は一二度、観ただけだ。

 

正直、観ようという気にならない。

 

ドラマとしての出来云々ではない。

 

あの手の内容が苦手なのだ。

 

戦前に女性がひたすら差別を受けるという内容が。

 

主人公のモデルは実在の、女性初の弁護士らしい。

 

しかし時代は昭和13年。

 

男尊女卑に加え、軍靴の足音が聞こえた時代である。

 

そんな時代に女性弁護士として活躍したことに敬意を表するが、差別まみれ、偏見まみれであっただろうことを考えると「みる」に忍びない。

 

実際にドラマを観ていないので言い切れないが、差別や偏見が露骨に描かれることに強い拒絶感がある。

 

いくらやわらげられて表現されても、今風に描かれてもやはりだめだ。

 

差別や偏見が「ある」とわかっているのにわざわざそれをみせられること、みなければならないことが嫌だ。

 

これまでの朝ドラの多くが女性への差別と偏見を描いてきたことはわかっている。

 

しかし「虎に翼」が扱う法曹界は特別に酷く、救いがないと思う。

 

そもそも大日本国憲法がダメ。

 

旧民法は法律の体をなしていないとも決めつけている。

 

そこには自由も自立も公平もない。

 

ドラマは現在の視点からそれらを求めるだろうが、自分はなにをどう考えても戦前の法律に「期待」など少しもできないし、いくら頑張って描いても戦前の法の枠内ではなにも得られないとも決めつけている。

 

出口がない。

 

窓もない独房に閉じ込められるような気分に陥ってしまうだけだ。

 

もちろんそれでも闘うのが本来の自由、自立、公平だとわかっているが、その闘う相手があまりにも旧弊で野蛮すぎるためにみる気、知る気がしない。

 

闘う価値すらないと思えてしまう。

 

みる気がしないのには実は自分が男だという負い目があるのかもしれない。

 

男女差別の当事者の一人だという思いだ。

 

自分個人が差別をしなくても「男」がそうしてきたという愚かさ、無念さがある。

 

観る前から女性に申し訳ない、という気持ちがある。

 

食わず嫌いのような言い訳しかできないが、今回の朝ドラはパスしたい。

 

観ないお前も差別主義者の一人だと言われそうだが、それでも観たくない。