「ビブリア古書堂の事件手帖」
古本屋に行くことは趣味の一つである。といっても神保町に終日入り浸るというようなマニアではないし、古本市に出かける程の熱意がある訳でもない。古本は好きでも、古本との距離感は結構大事なのではないかとも思っている。
本書は軽い読み物仕立てではあるものの、情報量はかなりのものである。本シリーズで開陳される各種の本の話が正しいのかどうかは僕には到底判断はつかないのだが、そういう時は素直に作者を信じてしまうほうが楽である。上手に騙されるというのも人生の知恵ではあるのだ。
「軽い読み物仕立て」と言ったわけだが、実はそこにビブリアシリーズの味噌があるのかもしれない。扱われる本の面々を見ていると、これが「重い小説」だったとしたら中々読者がついてこないのではないかと思ったからだ。そもそも古本に興味がある方は凄く多い訳でもない。その中で更に「読者を選ぶ」ような「重さ」があったら、読者は限定的になってしまったであろう。あのエーコも古本を扱うにあたって、探偵小説自体にしたことも思い出す。「薔薇の名前」は、哲学者エーコが書き上げたミステリー娯楽小説であると僕は思っている。