どちらが先に落ちたか・・・
ふたりは初めて孤独というものを感じた。
共にいるべき存在を感じられない、
ふたりでいた頃には想像もできなかった、それは遥かに長い時だった。
ふたりでいる時には輝いていた世界も、ひとりでは色褪せて見えた。
ふたりでいた時には容易に信じられたことも、
ひとりでいると、信じること自体が難しく思えた。
それは苦悩の日々だった。そこには常に孤独が付き纏っていた。
探している愛を他から闇雲に求めても、ひとりでは満たされることはなかった。
でもだからこそ、なおさら信じずにはいられなかった。
ふたりがまた会えることを、信じずにはいられなかった。
間もなく、すべての葉っぱが落ちていった。
・・・
寒く厳しい季節が過ぎた。
温かい日差しが帰ってきた。
大地の上では様々な生命達が、陽を求めて姿を現し始めていた。
雪は溶け、小川は豊かに流れ始めていた。
鳥の歌う声が戻ってきた。花の涼しい香りが辺りを満たし始めた。
生命あふれる風が、この大地の上に帰ってきた。
世界はまた、生命の躍動を感じる季節となった。
種は大地から芽を出し、木々は己の体を緑の葉で纏い始めた。
その中にあるひとつの木の、ひとつの枝の上で、
他の葉と同様に、ある小さな葉がふたつ、
寄り添うように生まれるところだった。
あのふたりの、新しい目覚めがおとずれた瞬間だった。
ずっと信じ合っていた、ふたりの再会の時だった。
ふたつの葉はまた、ふたりでいる喜びを確認し合った。
すべてが満たされる、輝かしい日々がまた始まった。