小さな愛のものがたり 2話/全9話 | source message

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人生は素晴らしい! 世界はこんなにも美しい!!




ふたりの葉っぱは、いつも寄り添うように、



ふたりでいる時間をこの上もなく楽しんだ。



風が吹けば、ふたりで風にゆれ、



鳥が歌えば、ふたりの歌を合わせ、



夜空が見えれば、ふたりで星を眺め、



太陽が出れば、ふたりでいることをなおさら温かく感じ合った。



 



ふたりでいることが、ふたりのすべてであり、



ふたりでいれば、他にはなにもいらないようだった。



 



同じひとつの木には、他にもたくさんの生命ある存在がいた。



ふたりでひとつの葉っぱたちは、どれを見ても幸せそうだった。



ふたりでいるということが、なによりも幸せそうだった。



 



 



時間はあっという間に過ぎていった。



世界はいつのまにか、葉が落ち行く季節となっていた。



 



ふたりは初めて、別れを経験しなければならなかった。



 



それはいつも一緒だったふたりにとって、



まさに心がふたつに裂かれる思いだった。



 



他の生命ある仲間達も別れを迎え、みなそれぞれに落ちていった。



ふたりの別れも、変えられない運命だった。



 



それでもふたりは、信じようと決めた。



 



ひとつの生命を持つもの同士、



新しい葉に生まれ変わって、また会える時を信じようと。



 



 



ずっとふたりは寄り添い合っていた。



このふたつの葉っぱでいる、



最後の時が訪れるまで。