ふたりの葉っぱは、いつも寄り添うように、
ふたりでいる時間をこの上もなく楽しんだ。
風が吹けば、ふたりで風にゆれ、
鳥が歌えば、ふたりの歌を合わせ、
夜空が見えれば、ふたりで星を眺め、
太陽が出れば、ふたりでいることをなおさら温かく感じ合った。
ふたりでいることが、ふたりのすべてであり、
ふたりでいれば、他にはなにもいらないようだった。
同じひとつの木には、他にもたくさんの生命ある存在がいた。
ふたりでひとつの葉っぱたちは、どれを見ても幸せそうだった。
ふたりでいるということが、なによりも幸せそうだった。
時間はあっという間に過ぎていった。
世界はいつのまにか、葉が落ち行く季節となっていた。
ふたりは初めて、別れを経験しなければならなかった。
それはいつも一緒だったふたりにとって、
まさに心がふたつに裂かれる思いだった。
他の生命ある仲間達も別れを迎え、みなそれぞれに落ちていった。
ふたりの別れも、変えられない運命だった。
それでもふたりは、信じようと決めた。
ひとつの生命を持つもの同士、
新しい葉に生まれ変わって、また会える時を信じようと。
ずっとふたりは寄り添い合っていた。
このふたつの葉っぱでいる、
最後の時が訪れるまで。