小さな愛のものがたり 3話/全9話 | source message

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人生は素晴らしい! 世界はこんなにも美しい!!





どちらが先に落ちたか・・・



 



ふたりは初めて孤独というものを感じた。



 



共にいるべき存在を感じられない、



ふたりでいた頃には想像もできなかった、それは遥かに長い時だった。



 
ふたりでいる時には輝いていた世界も、ひとりでは色褪せて見えた。



ふたりでいた時には容易に信じられたことも、



ひとりでいると、信じること自体が難しく思えた。



それは苦悩の日々だった。そこには常に孤独が付き纏っていた。



探している愛を他から闇雲に求めても、ひとりでは満たされることはなかった。



でもだからこそ、なおさら信じずにはいられなかった。



ふたりがまた会えることを、信じずにはいられなかった。



 



間もなく、すべての葉っぱが落ちていった。



 



・・・



 



寒く厳しい季節が過ぎた。



 



温かい日差しが帰ってきた。



大地の上では様々な生命達が、陽を求めて姿を現し始めていた。



雪は溶け、小川は豊かに流れ始めていた。



鳥の歌う声が戻ってきた。花の涼しい香りが辺りを満たし始めた。



生命あふれる風が、この大地の上に帰ってきた。



 



世界はまた、生命の躍動を感じる季節となった。



 



種は大地から芽を出し、木々は己の体を緑の葉で纏い始めた。



その中にあるひとつの木の、ひとつの枝の上で、



他の葉と同様に、ある小さな葉がふたつ、



寄り添うように生まれるところだった。



 



あのふたりの、新しい目覚めがおとずれた瞬間だった。



 



ずっと信じ合っていた、ふたりの再会の時だった。



ふたつの葉はまた、ふたりでいる喜びを確認し合った。




すべてが満たされる、輝かしい日々がまた始まった。