コーダル・モーダル chodal modal と新主流派 New mainstream | サックス・創意工夫|ジャズ・下学上達

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Nefertiti/Miles Davis

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「憂鬱と官能を教えた学校/菊地成孔・大谷能生」の中で
“コーダル・モーダル Chordal Modal”な曲の一例として挙げられていた
アルバム"Nefertiti/Miles Davis"に収録の
サックス奏者ウェイン・ショーター Wayne Shorter 作曲の"Pinoccio"です。

「コーダル・モーダル Chordal Modal」という言葉が
はたして一般的に通用する表現かどうかはわかりませんが

少なくとも自分にとってこの言葉を知ったことは
新主流派 New Mainstream と呼ばれた1960年代のジャズの演奏スタイルが

どういう考えに基づいて音楽を作り、ジャズの歴史の中でどのような意味を持つのか?
を明確にしてくれた画期的な概念でした。

ビ・バップ Be-Bop というスタイルによって全盛を極めた
ドミナント・モーション Dominant Motion を基調とする終止感を伴った響きを
転調によって連続的に展開していく重心移動的なコーダル Chordal な演奏法に対して

スケール Scale のみを指定することによって
ドミナント・モーション Dominant Motion による終止感を排して
ソリストにより自由なスペースを与えるためのものだった
モーダル Modal な演奏法が一気に発展して

まるでコーダル Chodal なジャズに見られる頻繁に転調を繰り返すコード進行のように
モード Mode を次々にチェンジするけれども

それらのモード Mode は相互に和声機能的には無関係で
無重力で浮遊感のある音世界が展開される。

1960年代当時のマイルス・デイビス Miles Davis や
ハービー・ハンコック Herbie Hancock
ウェイン・ショーター Wayne Shorter
ジョー・ヘンダーソン Joe Henderson
といった演奏家たちが行っていた試みである
ジャズにおける新主流派 New Mainstream という動きは

いわば近代から現代のクラシック音楽の世界に起こった
12音技法や無調音楽と同じ道をたどっとものである、と。

このことを明確に意識できてから今までほとんど興味がなかったクラシック音楽
Debussy ドビュッシーや Ravel ラヴェル、Satie サティ
などのフランス近代音楽外部へのリンクが特に面白く思えてきました。


▼ コーダル・モーダル Chodal Modal な曲に関する記事
本 Empyrean Isles/ Herbie Hancock ハービー・ハンコック
本 Juju/ Wayne Shorter ウェイン・ショーター
本 Inner Urge/ Joe Henderson ジョー・ヘンダーソン