昨日の「ダムが決壊したように。」を参照の事。
昨日思いついた小説をアップ途中。
妙に変なのは気にしない。
---------------
森の壁は厚く、深い。
雨の後のジトジト感がこもっている。
蒸発しない水が、地面にぬかるみを作っている。
汚したら・・言い訳を考えなければいけない。
言い訳は得意だ。病的に。
考え事をしながらも、坂道を登る。
引き返したら遅刻は確実。
近所を通じて学校へ連絡される・・そういう最悪のシナリオも考えられる。
獣道・・・きっとこの先に「SUG」はある。
「SUG」。学校で知らないものはいない。
SUG―スッグ―の由来。
それはもう、簡単だ。その門を通ると「すぐ」学校へ行ける。
だからスッグ。英語に表しても―Ura は英語では無い様な気がするが―凄い性能がある。というのが解るだろう。
でも、その門を使ったとされる人は聞いたことが無い。
ウワサのせいだろう。ウワサ。
『「SUG」を使った者は別世界へ行ってしまう。』
何故今日まで受け継がれてきたのか。花子さんと同レベルじゃないか。
だが、コレについては俺も詳しくは知らない。
いつか、アキヒトにでも聞いたような気がしたが・・・
きっと、今、覚えてないって事は、大して相手にもしなかったんだろう。
森の壁も終盤に差しかかる。所要時間は3分も懸らなかっただろう。緑色の網目フェンスが目に入る。
森一帯を囲っている緑の網目フェンス。
汚いが、「立ち入り禁止」とラミネートされた紙がふにゃふにゃに折れ曲がっている。ラミネートについたコケみたいな緑色は、遠くからも見て取れる。
そして、もうすぐ夏の森と同化した様に。緑の。門。
フェンスでできた門。「SUG」
フェンスでできた門「SUG」を越えると、すぐ学校。
とてつもない短縮だ。
噂話など俺には関係ない。
今が大事だ。今が。
とりあえず、この窮地を脱出だ。それ以外、何がある?
俺は、「SUG」を乗り越え、先へ急いだ。
出口―学校―からの向かい風が吹く。涼しい。
7時55分
5分でついた。今までの登校は何だったんだろう。
これからは、わざと2度寝をして、あの門を使わせてもらおう。
幸い、近くには先生はいない。
見つかる前に、早く、教室へ。
雨が降りそうだ。
---------------
後編へ続く。続くさ。