鬼瓦である。
にしては、リアの印象が薄い。
顔がでかい分、車体が小さく見える気がする。これでもヴェゼルとほぼ同じ大きさだ。
WR-Vは安い。しかし、意外や上質な乗り味なのである。エンジンは静かでトルクフル、CVTもシャープな制御で好感が持てる。WR-Vに乗ると、これで十分という気になる。高い値付けで最新のタァーボやらハイブリッドやらを買うのが馬鹿らしくなってしまう。
スティアリングは軽めの手応えだが、どこかジムニーのボールナット式のような無骨さがあって、なおかつ滑らかなのだ。車体は1230kgと軽く、1.5リッターの118馬力でもわりあい力強く加速する。アクセルを踏み込むと、CVTがトルコンATよろしくステップ制御に切り替わり、小気味よいサウンドを奏でながら軽やかに吹けるエンジン。こうなるともう気分はよろしい。
セールス氏「四駆があれば、もっと初期受注取れたはずなんですけどね」
そうだ、WR-VはFFのみの設定であった。四輪駆動、今風に言えばAWDは走破性を高めるだけでなく、SUVのタフで自由なイメィジを高めるためにも有用である。しかし、コストが嵩み、燃費は悪化する。
あのキューベルワーゲンだって二輪駆動じゃないか。なによりこの軽快さが失われるのは惜しい。打てば響く、胸がすく。簡素であるがゆえに、その素性の良さがじわっと沁みるのである。これでいいのだ。
図1.二輪駆動のキューベルワーゲン
ところで、二列目用のベンチレーターであるが、こいつは要らぬであろう。こんなところにカネを掛けるくらいなら、もっと安くしてもらいたい。WR-V203万円~。1998年にデヴューしたHR-Vはご先祖様のようなものだが、価格は129万円~と遥かに安かった。もちろん、言い分は色々あるだろうけども、クルマの楽しさは値上げ分相応に進歩しているだろうか。
ユーノスロードスター170万円也。あれから30年で290万円。
何かにつけて、昔はヨカッタ。物価ばかり上がる割に、過去最高益を更新とか言ってやがるからいけすかぬ。私の財布を見てごらんなさい、すっからかんですぞ岸田総理。
微妙な顔でセールス氏「そうですかぁ。それなら維持費の安い軽自動車をおすすめします…」