谷中にある全生庵の坐禅会に先日初めて行ってきました。

 

このお寺は幕末の志士の一人、山岡鉄舟が開祖したお寺であります。

彼は本当に「ラストサムライ」と言われた人で、無論、勝海舟と西郷隆盛の江戸無血開城会談を取り持ったことで歴史に名前を残していますが、剣の達人であるとともに禅と、そして書の達人でもあったと言われています。

 

このお寺では毎週末、坐禅会が開かれており、また平日朝の坐禅会にも参加できます。

 

 

このお寺の坐禅会には、中曽根康弘元総理も通っていたとのことで、中曽根さんの揮毫した額が掲げられていました。

以前、ここの住職にお話を伺ったことがあるのですが、中曽根さんは総理就任前からここの坐禅に通われており、就任後も変わらず定期的に来ていたそうです。

 

 

私自身は、坐禅は初めての体験でした。

 

まずは副住職からオリエンテーションを受け、座り方、警策の受け方などの作法を教わります。20人ほどの初参加者がいました。

警策とは、例の「パシっ!」と長い板のようなもので肩を叩かれるやつです。

あれは、お坊さんが勝手に「おぬし、たるんどるな」とか言って叩いてくるイメージがありますが(笑)、このお寺の作法では、こちらからお願いするシステムになっています。自分がそろそろ叩いてほしいな、と思えば合掌し、頭を下げて肩を出すと、叩いてくれるようになっています。

邪念が入ったり、眠くなったりしたときに叩いてもらえばよくて、受けなくてもいいし、何回受けてもいいそうです。

 

オリエンテーションの次は、一般の人に混じって、坐禅会が始まります。50〜

60人もの人が所狭しと座っていて、休日の夜にこんなに坐禅をする人がいるんだなと驚きました。

といっても、まだ坐禅は始まりません。

まずは般若心経などを読経します。その次に、住職のありがたい説法を拝聴します。

1時間ほどたって、やっと坐禅の時間です。

 

25分の坐禅を小休憩をはさんで2回やったのですが、始まってみると、時間は意外とあっという間でした。

坐禅の場合、目を閉じずに半眼で1mほど前の床を見つめ、姿勢を正して、呼吸の数を数えます。

ただただ、数を数えながら自分の呼吸に集中し、他のことを考えないように、頭を真っ白にします。

 

といっても、最初のうちはいろいろと考えてしまい、「頭を真っ白にする」ということがなかなかできませんでした。

 

しかし、やっているうちに、最初はつらいと思っていた姿勢も、だんだんと心地よい緊張感に変わり、完全に楽な姿勢で時間を過ごすよりも濃密で清廉な時間を過ごしているような気持ちになりました。

 

例の警策も3回ほど受けてみました。

「めっちゃ痛いんじゃないか」と少し怖かったのですが、受けてみると程よい痛さで、結構病み付きになりそうでした(笑)。

 

計50分の坐禅の最後のほうには、体の硬い私は足が痺れてしまい、痺れのために集中できなくなってきてどうにも困りましたが、終わってみると、程よい緊張感の余韻が残り、すごくスッキリしたような気持ちになっていました。

 

またぜひ坐禅の会に行ってみたいと思います。