あさひのブログ -123ページ目
「(新版)水滸伝」第十五集「智取生辰綱」23分あたりから。
生辰鋼(奸臣が民から搾取した不義の財)強奪を目論む晁蓋、呉用、劉唐ら七人。呉用の知り合いの男・白勝を仲間にして計画に必要な酒桶を運ばせていたが、賭博好きの白勝は酒桶を担保に賭けて負けてしまい酒を取られてしまう。その夜白勝は酒桶をこっそり奪い返そうと胴元の店に忍び込むが見つかって袋叩きに。それに気づいた呉用らがとりなしてなんとか酒は返してもらったが、劉唐は白勝の行為に憤懣やるかたない。

* * * * *


「あの白日鼠め!大きな敵の前で全ての賊が火のついた部屋の(から逃れようと)壁の上に登って子供らは井戸のふちに腹這いになってるっていうのに(→要するにこんな大事な時にという意味)、あいつはなんとまだ博打してやがる!俺たちの計画は酒売りが頼りだというのに、あいつはよりによってその酒を賭けて負けやがった。もし俺達が(気づいて)早く出て行かなかったら、(酒を調達するため)戻らないといけなかった。
兄貴、こういう人を(計画に)使ってはいけないだろう、きっと悪いことが起こる。」


「ちょっと声を抑えて。劉唐君、君は青面獣の楊志が誰か知っているかね?」
「知ってるさ。以前花崗岩運搬に失敗した楊制使だろ。今年東京の街頭で刀を売って牛二と闘って殺した。(※1)
「よろしい。では君は彼の武芸がどれほどのものか知っているかね?」
「…彼は楊家の子孫だ、武道の実力は当然悪くないだろう。」
「青面獣の楊志は大名府で、非常に名高い急先鋒の索超と対等に戦った。君は大名府から来たのだから索超の腕前は知っているだろう。劉唐君が索超と何合打ち合えるかは自分で解るはずだ。」
「俺たちは人数が多い!大兄貴(晁蓋)と公孫先生、阮(ゲン)三兄弟がいる(※2)。まだ奴(楊志)に勝てないと心配するのか?」
「いいだろう。私はもう一度君に問おう、梁中書が送る生辰綱の価値はいくらだ?」
「十万貫だ。」

※1 楊志は花石綱の指揮官だったが任務に失敗し失職、路頭に迷った彼は伝家の名刀を売ろうとしたが、ならず者の牛二が刀を奪おうとしたため抵抗するうちにうっかり切り殺してしまった。罪人となり流刑になったが北京大名府の梁中書に拾われた彼は汚名挽回のために誰もが嫌がる生辰綱運搬を引き受けた。
※2 呉用を人数に含めないのは、当然、彼は戦力にならないからである。


「もし君が梁中書なら、君は老いた病弱な者を護送に派遣させるだろうか?(いや、させない。)それらの(護送を命じられた)人の手足の動きは楊志には及ばないにしても一人ひとりが皆選りすぐりの精鋭のはずだ。」
「あんたのその話だと、俺達が強奪できる勝算がないじゃないか。いっそのこと帰って計画しなおそう。」
「劉唐君、そう急くんじゃないよ。私の話をちょっとゆっくり聞きなさい。我々七人がもし力ずくで奪うなら、仮に優勢を占めることができてもきっと1,2名が命を落とすだろう。賢弟は私が我々七人の中の一人でも命を失ってもよいと思っていると?」
「この劉唐なら命を失ってもいい!」
「私が先に言ったように生辰綱は強奪できない。必然的に知力をもって取るしかない。力では敵わない。」
「それがあの白日鼠とどう関係あるんだ?」


「知力をもって生辰綱を取る事の、成功失敗は全てあの白勝の身にかかっているのだ。楊志は今回罪の上に功を立てる(功績を立てて過去の罪を帳消しにする)ため、絶対に手を抜くことはない。なので絶対行き来する人に対して厳しく警戒の壁をつくるだろう。もし見知らぬ人が近づいてきたら、楊志は必ずいつもよりもさらに厳しく警戒するはずだ。楊志に(一度)警戒させてしまってはその警戒心に勝つことはできない。すべてはあの白勝にかかっている。
私が作った知力をもって生辰綱を取る計画は、全てその時(以下に述べる時)にかかっている。酒を天秤で担いで売る人が楊志に近づく、これは酒売りに扮した人で、むろん(怪しまれないよう)控え目にするが、楊志はきっと酒売りを注意深く探り、その言う事や顔色を観察し、必ず疑うだろう。では楊志が白勝のような人物に会ったら?絶対疑いは持たない。(なぜなら)白勝には鼠っぽい素質があり、賭け事が妄信的に好きではあるが骨も肝っ玉も鼠の如く小さく、表面上に英雄豪傑の雰囲気がみじんもないからだ。」

* * * * *

これはオリジナルエピソード。物語は第二回からの続きだがかなり時間が開いているのであらすじを整理してくれている。ここは漢字の羅列だけでも大体内容が解る。


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「ハッピー・フューネラル」 (2001年 原題「BIG SHOT'S FUNERAL」 監督/フォン・シャオガン 主演/グォ・ヨウ)
100分
ハッピー・フューネラル [DVD]/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

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フォン・シャオガン(馮小剛)監督の、中国アメリカ合作の映画。
長生きし大往生を遂げた人を「喜葬」にするという中国の文化にまつわる、コメディらしいが…。

――世界的に有名なハリウッド映画監督タイラーは新作を撮るため中国に来ていた。映画の撮影と同時にメイキング映像を撮るためタイラーの助手ルーシーは中国人カメラマンのヨーヨーを雇い入れる。ヨーヨーは英語が話せずただ側でタイラーの様子を撮影するのみだったが、中国人の思想に興味があるタイラーはヨーヨーを気に入りかわいがった。ヨーヨーから中国では70歳以上生きたら大往生なのでそのお葬式は喜葬といって盛大に盛り上げると聞いたタイラーは、喜劇のようなお葬式(コメディ・フューネラル)だと思い込む。
タイラーはアイデアに詰まり撮影は遅々として進まず、ついにスポンサーからタイラーを含めスタッフを降板させるようにと宣告される。その直後、タイラーは脳梗塞で倒れ意識不明に。ヨーヨーに自分が死んだら喜劇葬式を挙げてくれと言った直後の事だったので、ルーシーはヨーヨーに彼のために喜劇葬式を仕切って欲しいと頼む――

[-------ここからネタバレ
ヨーヨーは世話になったタイラーのために盛大な葬式を挙げてやりたいと思い、知り合いの敏腕プロデューサー・ルイスに葬式の企画を提案するが、ルイスはショービジネスとしての依頼だと思い込みさっそくド派手な演出を考え葬式の準備はトントン拍子に進んでいく。だがその資金を誰が出すのか…ヨーヨーはタイラー側が支払うとばかり思っていたがルーシーは彼は無一文だと言う。
今更引き返せないヨーヨーとルイスは、葬式に広告主を募ることを思いつく。会場のいたるところに商品などの広告を並べるのだ。ルーシーは葬式を金儲けの材料にするなんて不謹慎だと怒る。ところが、タイラーは山場を乗り越え意識を回復。ヨーヨーが自分のために奔走して葬式を挙げようとしておりさらに葬式に広告主を募っていることを知って、まさに葬式の喜劇だと面白がる。
有名監督の葬式に広告は殺到しその手法はどんどんエスカレート。ついにルーシーは怒ってタイラーが回復したことをヨーヨーに告げてしまう――

--------ここまで]
あらすじは最後までは書きません。これは実際に見た方がいいし、文章では簡単には説明できないので。

ええと、これは大笑いするようなメジャーな意味でのコメディではないしどっちかいうと玄人好みの地味な映画だけど、冒頭からドキュメンタリーを思わせるメタな作りで最後まで見るとその複雑な構成に唸ってしまう。これはTVドラマでは不可能でまさに映画ならではの作品になっててすごい。この監督は元々こういう巧妙に伏線張るの得意だったんだなぁ。作品遡って見てきてるけど一番凝ってる。何気ないシーンが後からつながっていくミステリのタネ明かしのような爽快感。凝ってる分ポピュラリティには欠けるけど…。
コメディとしての側面は、大げさにしすぎずシニカルさを含んだやんわりとしたもの。爆笑ではなくクスッと笑う感じの。でも笑いはあくまでエッセンスであって、やっぱりこの人が撮りたいのは人の心情なんじゃないかなぁ。ただタイラーのために何かしてあげたいと思う気持ちだけのヨーヨー、西洋人の感覚で中国人は金儲けしか考えてないと見てしまうルーシー、いつでもどこでもアーティストとして物事を捉えるタイラー。みんながそれぞれの思い込みですれ違ってる。本人たちはみんな真剣で、だからそれが他人から見るとコメディ。そう思うとこの世の中の出来事はみんなコメディかもしれない。
ラストは気持ちよく終わっててほんわかした気分になれる後味の良い"喜劇"です。

タイラーはアメリカ人なので英語、ヨーヨーは中国語。でもおかげさまで中国語も結構聞き取れたのでこの映画は私的にはけっこう真意がわかって楽しめました。中国人が喋る英語は日本人の英語みたいに簡単だし、あとスポンサーとして日本人が出てきてルーシーと話すシーンでは、日本人役の人がもう本当に日本人のカタカナ英語で喋ってて大笑い。この俳優さんは多分日本人ではないと思うけど、いかにも日本人ぽい平坦な英語で。そんでなぜキモノ着てるの?ってw(←ワザとです。コメディとしての演出)



TSUTAYA DISCAS
2枚ずつしか借りられない。そしてひと月に4枚借りねば損…。
3勝2敗。




長いものに巻かれろ
「(新版)水滸伝」第二集「石碣村七星集義」40分あたりから。
呉用の説得で生辰鋼(奸臣が民から搾取した不義の財)強奪計画に参加の意を表明した阮(ゲン)三兄弟の元に、作戦のリーダーである晁蓋と仲間の劉唐、公孫勝もやってくる。さっそく宴会が開かれた。

* * * * *

「阮(ゲン)の三雄の名に偽りはなく、まさに英雄好漢だな。」
「我々七人の機縁がうまく合い義のためにここ石碣(セッケツ)村に集った、(これが)どうして天の意志でないだろうか(、いやそうである)。
昨夜私は北斗七星がまばゆく白く光り、この屋根に落ちた夢を見た。それからひしゃく(北斗七星)の上に別の一粒の小さな星が白い光となって流れて行ったのを見た。今日我々七人は義挙を行うため集った、(これは)天が(我々に)応じて運命をもたらしてくれたといえないだろうか(、いや、そうに違いない)。」
「先生酔ったな。ここの俺達は七人だ、北斗七星(の生まれ変わり)の七人が義のため集ったんだよ。」
「では白い光に変わった小さな星とは…?」
「(俺達は)きっと星なんだ、まだちょっとしか飲んでないじゃないか(もっと飲みなよ)、さあさあ。」


「ちょっと待て、道長のその夢はただごとではない。小生(わたくし)は丁度一人の知り合いがいる。黄泥岡の東十里にある安東村という名前の村の、白日鼠の白勝と呼ばれている暇な男だ。生辰綱を奪取しようとするなら、この人がまさに役に立つ。」
「北斗の上の白い光は、その人のことか。まるでこれは我々が本当に義に集う(北斗)七星だと告げているかのようだ。道長は本当に神(のよう)だ。この場で異姓兄弟(義兄弟)の契りを結ぼうではないか。」
「それはいい!」
「いいでしょう。七人の中では保正が最年長ですから、当然兄貴と呼ぶべきですね。」


「この三滴の血をもって誓いとする。一滴は天に、一滴は地に、そして一滴は人に(捧げる)。我ら托塔天王の晁蓋、」「智多星の呉用、」「入雲龍の公孫勝、」「赤髪鬼の劉唐、」「立地太歳のゲン小二、」「短命次郎のゲン小五、」「活閻羅のゲン小七。」
「我ら七人は今日義兄弟の契りを結び、以後生死を共にし、我ら七人がもし私心を隠しもつなれば天罰が下ると、神に誓い戒めとする。」


* * * * *

本当は晁蓋宅に集うはずだが…そして北斗七星の夢を見るのは公孫勝ではなく晁蓋なのだが、まぁそれはそれとして。
ドラマではこの話はここで一旦終了、しばらくは他の人のエピソードが続く。


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「(新版)水滸伝」第二集「石碣村七星集義」34分あたりから。
呉用は石碣(セッケツ)村の漁師、阮(ゲン)三兄弟に会いに行った。久しぶりの再会を喜び食事を囲むが、ゲン兄弟は近年税の取り立てが厳しくなったのと梁山水泊に集う山賊のせいで自由に漁ができなくなったと不満をくすぶらせていた。生辰鋼(誕生祝いの宝物。奸臣が民から搾取した不義の財)強奪に参加するよう説得に来た呉用はこれは好都合だとほくそ笑むのだった。

* * * * *

「(・・・この兄弟は三人ともやる気がある。私は彼らをゆっくりと誘引しどうやってゲン氏三兄弟に不義の財である生辰鋼を奪取するよう心動かすか、試してみよう・・・。)
ちょっとちょっとこちらへ。
小生(わたくし)はこの幾年か晁保正の村の近くで書を教えているが、最近彼がある財宝を持って行くのを待っているという事を特別に聞いた。なので今日は特別に何人か(→あなた達の意)と相談するためにやってきたのだ。私たちが晁蓋より先に行って彼のその財宝を奪取しよう。」


「なんでそんな事をするんだ?」
「かの晁蓋は弱きを助け不正と戦い、義を重んじ財を軽んずる好漢だから、彼がする事は忠義の事だ。俺達兄弟の誰かがもし彼の素晴らしい行動をだめにしたら、どうして(天罰として)頭にできものができ脚底は膿に冒され全身が悪くならないことだろうか(、いや必ずそうなる)。俺達がどうしてそんな人(晁蓋の行動を邪魔する人)だろうか(、いや違う)。」
「彼がもし助け合う人を必要としてるなら、我々兄弟は皆死んでも行くつもりだ。」
「よかった。まさにこれほど三兄弟の心意気は堅く義侠心に篤いとは。
私はあなた達とと本当の話をしよう。晁保正はずっとゲン三兄弟の名声を聞き及んでいて、今日特別に小生(わたくし)をやって来させたのは、実際にとある仕事があってあなた達に手伝ってほしいということをあなた達三名に説明させるためなのだよ。」
 ゲン三兄弟は顔を見合わせる。


「おっとっと、この呉用は今酔っ払ってつい酔話(酒の上での話、でまかせ)を口にしてしまった。ゲンの三兄よ、どうかくれぐれも私のこの酔話はもらさないでおくれ。そ、そうでないとこの呉用と晁天王は本当に大変なことになる。」
 ゲン小七は小刀を呉用に差し出す。
「あんたがもし俺達兄弟を信じられないのなら、この刀を持っていっぺんに俺達兄弟を殺して三人の口を封じるがいい!俺たちは絶対に嫌がってやり返したりはしない(抵抗はしない)。殺さないのなら、俺達を怨むことはできないぜ。あんたが信じるなら信じられるし、信じなければどうしようもない(そちらが信用してくれなければこちらは成す術はない)。
俺達兄弟三人はみんな本当にちょっとした嘘をつく人間も許せないんだ(→冗談で言ったわけじゃないだろう、の意)、もしあの晁保正が本当に兄貴に手を煩わせてここに来させたんだったら、俺達兄弟三人には協力する気があるんだ。」
「俺達三人がもし彼を助けるために命を捨てられなければ、この残りの酒にかけて誓う、俺達三人は皆(天罰として)酷い事故に遭い、悪病に身を蝕まれ、非業の死を遂げると。」
「俺達兄弟の体の中のこの熱い血を、(あんたたち)目利きに売ってやるよ。」


「呉学究よ、あんたの話の晁天王の財宝というのは、俺が推測してみるところでは、ある話のことではないかと思う。この件は来年の事だろう。」
「その通り。」
「その財宝とは生辰鋼だな。」
「この生辰鋼の報せは、入雲龍の公孫道長があなた達にあらかじめ伝えておいたものだ。」
「学究、じゃあ俺達はいつ行くんだ?」



「だがこの財宝はもし取っても、自分たちの物にはできない、困窮した人々に贈らねばならない。」
「そのためでなければ、俺達兄弟は行かないさ。」
「その通りだ、俺達がそうしないわけがない。」
「死ぬ前にこんな義挙を行えれば、良い男として終わっても(死んでも)この人生無駄じゃない。(※)
「学究は書を知る、どうして財を愛しようか。阮氏の男は漁を楽しむ、またのんびり揺られているなぁ。ただ不義の金珠が(通って)行くことが、群雄の義侠心を集わせるのだ。」

※昔の中国では人は死ぬと生まれ変わりまた次の人生を生きると信じられていた。好漢としてこの業を成せれば今回の人生は充分満足だという意味。

* * * * *

ここはかなり原作に忠実な場面。阮(ゲン)兄弟の義侠心の強さと同時に晁蓋がいかに人々に慕われているかを印象付けるシーン。兄弟の台詞がすごく古典らしい大仰さで個人的に好きなのです。ただこの兄弟の喋りは速くてまったく聞き取れない…orz

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「(新版)水滸伝」第二集「石碣村七星集義」17分あたりから。
地方の名士・晁蓋は浪人の劉唐から生辰鋼の話を聞き、正義のためにこれを強奪することにした。塾講師の呉用と、やはり生辰鋼の話を持ってきた道士・公孫勝を加えた4人で黄泥岡へやってきた。

* * * * *

「ここが呉学究の言う黄泥岡か。」
「生辰鋼を強奪したいなら、ここが最も良い場所です。生辰鋼は必ずここを通って行きます。」
 劉唐は剣を抜いてシミュレーションしてみせる。
「その生辰鋼を置いて行け!おぬしらは通りがかっただけだ(恨みあって襲われるわけではない)、もし絶対歯の隙間からでも一言も話さないなら(決してこの事を他言しないというなら)、俺が刀を振るうかどうか、殺すかどうかを決めよう(→命だけは助けてやろう、の意)。」
「(その様子では)赤髪鬼は生辰鋼を奪取できないでしょうね。」
「去年梁中書は生辰鋼をとられている。今回はきっと防犯のために、おそらく腕っぷしの強い者を護送に出すだろう。」


「この仕事は人が多いとできないし、人が少なくてもできない。村のあの食客でもだめでしょう。今は保正と劉唐と小生(わたくし)の三人しかいない(※)。保正と劉兄さんが拳法ができるといっても手に負えないでしょう。この仕事を行うには7・8人の好漢がいればいい。多くてはいけないし多くはいらない、少なくてもやはりだめです。」
「先生はこの仕事を成功に導くことのできる好漢に心当たりがあるようだな。」
「三人います。義侠心を持ち武芸に秀でて、たとえ火の中水の中、生きるも死ぬも同じくとする…。」
「加亮先生、それは石碣(セッケツ)村の、漁船で竿さすあの怒涛の勢いの人ですか?」
「その通り。」

※呉用が公孫勝を人数に含めてないのはまだ信用してないからである。


「一体誰なんだ?公孫先生までご存じとは。」
「その三人は三人兄弟で、済州の梁山水泊の近くのセッケツ村に住んでいて、普段は漁師を生業としてます。姓を阮(ゲン)と言い、親を同じくする三人兄弟です。一人は立地太歳のゲン小二、一人は短命二郎のゲン小五、一人は活閻羅のゲン小七と呼ばれてます。(※1)
「この三人を得られれば、事は必ず成功します。」
「セッケツ村まではここから百十里も離れていない、私が行って彼らと相談しよう。」
「保正どのが行く必要はありません。三兄弟は返事はしませんでしたが(※2)保正が参加するなら彼らもついていくような事を言ってました。彼らの本当のところの思惑はわかりませんがね。」
「こうも都合よく、彼らも私を求めているとは。」

※1 小二、小五、小七は田舎ではありふれた名前で二郎、五郎、七郎のような感覚。ただし親戚中の子供たちの中で生まれた順に番号がつけられていくので、彼らは決して七人兄弟なのではなく小二が長男、小五が次男、小七が三男である。
※2 公孫勝は晁蓋に会う前に阮兄弟に会って生辰鋼強奪を勧めた。


「まだもう一つ(言っておくことが)あります。保正と三兄弟に会う前に、私は鄆城(ウンジョウ)県の宋押司に生辰鋼の事を提案してきました。彼はこの件(生辰鋼奪取)をしないばかりか貧道(わたくし)を捕まえて役人に会わせに行こう(役人に突き出そう)としましたが、私は幸いにして逃れたのです。」
「宋押司ならすでにここ(私の元)に来たぞ。」
「彼は私より先にここへ来たのですか。」
「彼とウンジョウ県の盗賊を捕える部門の都頭、挿翅虎の雷横の正四処が貴公を捕えにきた。だが(間違えて)唐を捕えたのだ。」
「俺は眠りこんでなければ、刀を持って行かれなかったし絶対捕まらなかったぞ!」
「宋江は、私が公孫先生の言う天罡地煞(テンコウチサツ)とかいうものを真に受けて生辰鋼奪取をそそのかされてはいけないと私に言い聞かせていった。」


「阮三兄弟の所へ行ってはいけません。」
「行ってはいけない?」
「私が学舎にいて劉唐と雷横が争うのを見た時、その直前に早馬が来て、(早馬に乗ってきた)県の衛士が都頭の朱仝(シュ・ドウ)がセッケツ村に潜んで待ち構えてると言ってました。(その時)阮三兄弟が公孫先生と会った事を知ったようです。その(集団の)中の一人の色黒で背の低い人が急いで駆けて行ったが、(私は)まだこの人を知らないがおそらく宋江でしょう。
おそらく今セッケツ村はすでに大亀を釣るための旨い餌(のようなもの)でしょう。阮三兄弟はまさしく旨そうな餌で、我々が(セッケツ村へ)行くことは自ら罠にはまりに行くことに他なりません。
かの宋江は馬に乗って行ったので陸路を行くに違いありません。城を通り抜けなければならないからまだセッケツ村には着いてないはずです。私が急いで行って彼がゲン氏三兄弟に会う前に彼ら(三兄弟)を説得してきましょう(※)。もし彼が先にあの三兄弟に会ってしまったら、彼の"及時雨"の人望でもっておそらくあの三人は生辰鋼をとらないようにと説得されてしまうでしょう。」

※防犯のため夜間は主要道路の関所の門が閉じられている。これは早朝の話なのでまだ門が開いていない。セッケツ村へは船で行った方が早いので呉用が先乗りできる算段である。


「あそこは罠なのだろう、先生が行くことはできるのか?」
「かの宋江と雷横、朱ドウは皆私の意図は知りません。私は一介の書を教える先生ですから、彼らが私に何かするわけがありません。」
「そういう事なら遅れてはいけない(急ぐべきだ)。」

* * * * *

これもオリジナルエピソード。呉用が阮(ゲン)兄弟に会いに行くまでをひとつの事件としてスリリングに描くため作られたシーンの一つ。原作では何の妨害もなく会いに行くけど。

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