あさひのブログ -122ページ目
「(新版)水滸伝」第十七集「火併王倫」12分あたりから。
晁蓋達を捕り逃がした何涛(カ・トウ)は阮(ゲン)三兄弟を捕えるべく宋江と共に石碣(セッケツ)村へ。だがゲン兄弟の家はもぬけの空だった。彼らが葦の生い茂る湖へ逃げたと知り兵を引き連れて船に乗る。葦の迷路のような水路を行くと、前方から誰かの歌が聞こえてきた。

* * * * *

「魚っ子はタデの窪みも恐れない。青苗を植えず麻も植えず、汚い官吏をみな殺しにして、忠心で趙の皇家に報いてみせる。(※1)
 ゲン小五が歌いながら前方に現れた。
「早く、奴を捕まえろ!奴を捕まえたら褒美をやる!」
「早く、早く漕ぎなさい。」
「あんたみたいな貧相なお役人には、おじいさま(俺様)を捕えに来る勇気もないだろ(※2)。おじいさまはここだぞー、ここでお前らを待っててやるよ、来いよ、おじいさまはここにいるぞー!」
 何トウらが小五の船にやっと近づくと、小五は湖に飛び込んで姿を消してしまった。すると今度は後ろから別の歌が聞こえてきた。

※1 自分たちは危険を恐れないぞ、田んぼを耕すよりも汚職にまみれた官吏を皆殺しにした方が皇帝(皇帝の姓は趙という)のお役に立てるのだ。
※2 中国では年長者を絶対的に敬う風習があり、祖父は一家で最も敬われる存在。俺はお前より偉いんだという意味で「自分はおじいさまだぞ」と言っている。


「おじいさまはかの石碣(セッケツ)村に暮らしている、生まれた時から人殺しが好きで、まず何トウ巡検の首を刎ね、それから州府にべったりの鳥あたま野郎を殺ってやる。
やる気のある奴はかかってこいよ!おじいさまはここでお前を待っててやるぜ!」
「大胆な賊め、なんととち狂ったことを口にしおって。お前をとっ捕まえてぶち殺してやらなければだめだ、奴を捕まえろ!」
「早く早く死にに来いよ、ほら早く!」
 何トウらが小七の船に近づくと、やはり小七も湖に飛び込んで姿を消してしまった。


「皆の者、水の中に下りて賊を捕えて来い!」
「何さま、ここの水道はとりわけ複雑で、ましてあやつらは皆泳ぎが達者です。やはり我々はまず(一旦)隊を引いて戻り、再度作戦を練った方がよいでしょう。」
「宋押司どの、賊はまさに目の前におるのですよ、どうして引き返せましょう。早く、水の中へ下りろ、下りろ。」
 だが兵士たちが飛び込む前に船はぐらぐらと揺れ始め、兵士は次々と水の中へ落ちていく。さらに何者かに水の中へ引きずり込まれ溺れていく。とうとう何トウも船から転落する。
「何さま!」
「助けて、助けてくれ!」
 しかし何トウも水の中に引き込まれ、やがて辺りは静まり返る。
「好漢よ!何さまの命は助けてやってくれ!」
 そこへ姿を現したのは晁蓋ら一味だった。
「宋押司の仁義に免じて、何トウに命を手放させる(何トウの命を奪う)のはやめにしよう。宋押司、それでいいだろう?」
 するとゲン三兄弟が勢いよく水の中から飛び出てきて何トウを船の上へ引き上げた。


「お前(何トウ)は済州の百姓から搾り取りやがる一匹のミミズ野郎だ。俺は本来はお前の屍を粉々にして万段にも積み上げてやるところだが、済州に帰って担当の阿呆のまぬけ野郎に言うんだな。俺達セッケツ村のゲン氏三雄と、東渓村の天王晁蓋を怒らせるなよって。」
「鄆城(ウンジョウ)県の宋押司よ、今日は運が良かったな(※)、お前たちは命だけは助けて、報告するために帰らせてやろう。」
「何トウ、お前は済州に戻って知府に言え、宋江、お前はウンジョウに戻って県令に言え!俺はお前の城へ食い物を借りに行くことはないから、お前も俺の村に来てぶち殺されるような事はするなと。もし俺様の目が(お前らがやって来るのを)見たらすぐさま、お前のようなちっぽけな府尹や県令はいうまでもなく、蔡太師が俺達を捕えに人を差し向けるどころか蔡京自らやって来るって時には、俺はそいつに(剣突き差し)2,30個の透明な穴(風穴)を開けてやるぜ!」
「今日の所は帰してやる。だが済州の府尹に俺がお前を殺す度胸がなかったと笑われるのはしゃくだ、(殺す度胸があるという)証拠にするためにお前の耳を置いて行け!」
 小七は何トウの耳を切り取った。何トウはのたうち回る。
「何さま!」
「行くぞ、(自分たちの)船に乗れ!」

※晁蓋らは元より恩人の宋江に危害を加えるつもりはないのだが、何トウが聞いているので、気まぐれに助けてやっただけだと言っている。

* * * * *

宋江が同行してる事を除けばほぼ原作通り。最後は残虐に見えるけどどこの国の昔話でも悪者はとことん悲惨な目に遭うのが常識。でも何観察はそんな悪い人でもなく結構可哀相な人なんだけどなぁ。


インデックス



水滸伝 DVD-SET1/チャン・ハンユー,フー・ドン,リー・ゾンハン

¥19,440
Amazon.co.jp
「(新版)水滸伝」第十六集「宋公明私放晁天王」35分あたりから。
済州府の役人・何涛(カ・トウ)は府長から三日以内に生辰綱強奪の犯人を捕らえるよう命じられ、兵を率いて鄆城(ウンジョウ)県へやってきた。だが知事は不在で逮捕状を提出できず、茶店の給仕に教えてもらった当直の職員に相談する。

* * * * *

「わたくしは済州府緝拿(シュウダ)観察の何涛(カ・トウ)でございます。おそれながら押司さまのご尊名をお伺いします。」
「わたくしめは何観察さまを拝見したことがなく(お偉いお役人であることを存じ上げず)大変失礼致しました。わたくしは姓を宋、名を江と申し、この鄆城(ウンジョウ)県庁の第一押司でございます。」
「宋押司の名声は以前からお聞きしておりました。(今まで)お知り合いになるきっかけがございませんでしたが、今日ようやくお会いできて嬉しく思います。」
「観察どのにそのように礼を尽くされてはこの宋江は大変恐縮致します。さあお座りください。」
「押司どのもどうぞ(お座りください)。」
「観察どのが当県にいらしたのは、どのようなご公務なのでしょう。」
「実際嘘偽りなく申しあげましょう、私が貴県にやって来たのはある重要人物を逮捕するためなのです。」
「とすると泥棒や強盗といった件のご公務でしょうか。」
「実はここに公文書(の入った封書)があるのです、押司どののお手を煩わせますがご作成下さい。(※)
「観察どのは府庁から派遣された方です、この私がどうして真摯に対応しないでしょうか。でもどんな賊に関するご公務なのかわかりませんな。」

※上奏書などを定められた様式に則って記述し提出するのが押司の仕事らしい。司法書士みたいなものか?ここではおそらく公文書を知事に渡すだけだと思うが…。


「押司どのは当案件に関わる(記録する)人になるのですから、話しても差し支えないでしょう。五日前、黄泥岡で八人の盗賊が、北京大名府の梁中書が派遣した蔡太師へ送る生辰綱の軍隊15人をしびれ薬を用いて倒れさせ、11個の金銀財宝その価値にして十万貫を奪っていったのです。」
「その事件は耳にしたことがあります。でも本当のことがどうかはわかりませんが。」
「本当なのです。今済州府は白勝という真犯人の一人を逮捕し、彼は残り七人の真犯人がまだウンジョウ県にいると供述しました。そこで太師府は(事件を)処理させるため特使を派遣され、我が府でこの事件を公務として立件されたのです。なので押司どのには早く調査(に取り掛かる手続きを)していただきたいのです。」
「その白勝という者は知りませんが、供述した(仲間の)七人の名前は何というのでしょう。」
「押司には包み隠さずお話しましょう。貴県の東渓村の保正、晁蓋が首謀者です。(残りの)六名の手下の賊の名前はまだわかりません。(氏名が不明なので)お手間をおかけ致します。」
「晁蓋?人々が托塔天王と呼ぶ晁蓋の事ですか?」
「そうまさにそやつです。」
 宋江は内心動揺するが平静を装い茶を勧める。


「さあ、お茶をどうぞ。晁蓋という奴はずる賢い顔役で、本県ではみんな誰一人として彼を悪く言わない者はいませんよ。もし本当に彼がそのような事をしたのなら、倒れ叫ばせてみせましょう(目にもの見せてやりましょう)。」
「この事件では押司にはお手数をお掛け致します。」
「問題ありません。これはたやすいことです。甕の中のすっぽんを手で捕まえるようなものです。この公文書(の入った封書)ですが、観察どのが役所に提出していただく必要があります。そうすれば逮捕のため人を差し向けるよう命令が下されます。わたくしが(封書を)勝手に開封することはできません。この事件はただことではありません、万が一にも機密が漏れないように。」
「押司どのの立派なご意見です(→ごもっともです、の意)。お手数ですが(公文書提出に)一緒に行っていただけますか。」


「この公務(公文書提出に同行すること)は当然のことです。しかしわたくしは今朝ずっと忙しくて、疲れた顔をしているでしょう。ちょっと家へ帰って、家の用事の手配を済ませてから戻ってくるのをお待ちください。観察どのはここでちょっとの間座ってて下さい。知県さまがご登庁されるのを待って、私が戻ってきてから知県さまにお願いに行きましょう。」
「(押司が行って戻って来ることについて)わかりました。小弟(わたくし)はここで押司が行って戻って来るのを専ら待つといたしましょう。」
「ええ。給仕よ来てくれ!このお方の茶の代金は全て私につけておいてくれ。
では観察どのはちょっとの間座っててください、わたくしはちょっと行ってきてすぐ戻って来ますから。」
「押司どの、どうぞ行ってきてください。」
「お見送りは結構です。」
 茶店を出た宋江は思案する。


(・・・あの晁蓋は私を心から兄弟のようにもてなしてくれた人だ(※1)。彼は最近に前代未聞の大罪を犯したのか。私が彼を助けなければ、彼は必ず捕まり府庁へ連行され死は免れないだろう。しかし私がもし彼を助けたら、朝廷の法に違反することになる・・・)
 だが宋江は馬を走らせ東渓村の晁蓋の屋敷へ向かった。
 晁蓋は屋敷で仲間らと酒を飲んでいたが(ここの劉唐の台詞は物語に関わらないので割愛します)、宋江がやって来たと聞いて驚き出迎える。
「宋押司どの、今日はどうしてか時間があってのんびりしておられ、我が村に遊びに来られたんですね。さあ(上がってください)、酒を飲みましょう。」
「お兄さん、事態は急を要します、話をするのに一歩お借りしたい(ちょっと外でお話したい)。」
「…行こう。」
 二人は外へ出る。
「兄さんはとうとうやってしまったんですね。」
「"やってしまった"、か。」
「では今後どうするつもりですか?」
「どうするとはどうすることかな。あなたが私を衙門へ引ったてていってもいいぞ。私は絶対に抵抗しないし、押司どのに功を取らせて差し上げようではないか。(※2)

※1 晁蓋は義侠心に篤い好漢として名高く、宋江が早朝に突然晁蓋宅を訪れた際にも嫌な顔一つせず御馳走を振る舞ってもてなしてくれた。
※2 もちろん宋江がそんなことはしないとわかっているので冗談である。


「兄さんは知らないでしょうけど、この宋江は命を捨ててあなたを救いに来たんですよ。
こないだの黄泥岡事件で白勝はすでに済州府の大牢の中に閉じ込められてます。彼はあなた達七人の事を供述しました。済州府は何観察という人に、十何人かの拿捕人をつけて、太師の釣書と本州(済州)の文書を持たせて派遣しました。天はちゃんと見ているのです(悪事は必ず発覚する)。
何観察達がウンジョウに到着した所に私が出会ったものだから、私はただ急ぎの仕事があるからと言って、何観察を茶店に待たせてます。私は馬を飛ばして兄さんに前もって報せに来たんです。
兄さん、こうなった以上は、三十六計逃げるに如かずです(早く逃げてください)。」


「賢弟よ、難しい報せ(危険を顧みず知らせてくれた事)に感謝する。」
「兄さんはただ逃げ道を探して下さい。わたくしはこれで失礼します。」
「お送りせずすまない。」
 ただならぬ様子を心配した呉用が尋ねる。
「何事ですか。」
「宋押司から恩義を受けた。彼は我々に非常に関わりのある報せを持ってきてくれた。白勝が事件と、我々の事を全部自供した。今我々七人に危機が目前に迫っている。」

* * * * *

地味だけど物語全体から見ると重要なシーン。本来なら主人公の宋江はここで初登場。

インデックス



水滸伝 DVD-SET1/チャン・ハンユー,フー・ドン,リー・ゾンハン

¥19,440
Amazon.co.jp
「鴻門宴伝奇」で皇帝の衣装を纏った姿がステキすぎだったレオン・ライ(黎明)の出てる時代劇を探したのだけど、この人香港スターだから地味な時代劇なんかには出てない…あっても基本アクション映画ぽい。で、やっと見つけたのがこれ。

「エンプレス」(2008年 原題「江山美人」 監督/チン・シウトン 主演/ケリー・チャン)
95分
エンプレス ~運命の戦い~ [DVD]/ポニーキャニオン

¥4,104
Amazon.co.jp

ちょっと嫌な予感がするタイトルなんだが…(´Д`;)。

――戦乱の十国時代。燕国の国王は趙国との争いの中で胸に矢を受け重傷に陥る。国王は自ら鍛え上げてきた孤児の雪虎将軍に王位を託すと告げる。だが国王の甥・胡覇将軍は国王亡き後、跡継ぎは自分だと主張する。雪虎将軍は血縁を主張するなら後を継ぐのは公主(姫)の飛児だと言い出した。国王たるものは武勇に優れてなければならないという胡覇に対し、飛児公主は雪虎将軍に鍛えてもらって強くなると宣言。
そして飛児のつらく厳しい修業の日々が始まった――

[ここからネタバレ-------
胡覇は公主を亡き者としその責任を雪虎になすりつけようと計画し、飛児に刺客を差し向ける。必死に逃げる飛児。すると一人の男が森の中に仕掛けたいくつもの罠で暗殺者たちを仕留めた。背中に毒矢を受けて倒れた飛児を男は自分の家へ連れて帰り治療してやる。
男は段蘭泉と名乗り、この森で一人で住んでいるという。飛児は早く帰りたいが背中の傷が癒えず仕方なく蘭泉の家に滞在する。
蘭泉は変わった男で、大きな布を縫い合わせて巨大な灯篭をつくり、それを空に浮かべると言う。はじめは妄言かと思っていた飛児だが彼の話にだんだん惹かれ、いつか自身の名のように燕の如く大空を舞えたらと思うようになった。だが天灯が完成する前に傷が癒えたため城に戻ることに。蘭泉は森の外まで送っていくが、そこで待っていたのは雪虎将軍率いる燕国の兵士達。飛児を公主と呼ぶ彼らを見て彼女の正体を知り、彼女に密かに思いを寄せていた蘭泉は傷心する。

城に戻った飛児を待っていたのは趙国軍の来襲だった。胡覇将軍はわざと出陣せず燕国は窮地に立たされる。飛児は自ら出陣し、陽動作戦を成功させ趙国国王と王子を捕捉する。だが飛児はどちらの命を取ることもなく、終戦させることを条件に二人を帰した。

終戦後、蘭泉の事が忘れられない飛児は国を雪虎将軍らに託して森へ。蘭泉の天灯は完成し二人で大空へと舞い上がった。
二人で幸せに暮らし始めたが、その間に燕国では胡覇将軍がクーデターを起こし王位を乗っ取る。危機を感じた雪虎将軍は単身森へ向かい、蘭泉に飛児公主を連れて遠くへ逃げろと告げる。蘭泉から燕国の危機を知った飛児。そしてその時公主を亡き者にしようと胡覇の差し向けた刺客が現れる。二人でなんとか暗殺者は撃退したが飛児は急ぎ国へ戻ることに。

雪虎は部下を殆ど失い、追ってきた胡覇将軍の兵士達にたった一人で挑む。荒神のごとき猛闘ぶりをみせるが最後には力尽き倒れる。そこへ飛児がかけつける。あざ笑う胡覇に飛児は一騎打ちを挑む。力の差は歴然であっという間にねじふせられてしまうが奇跡的に胡覇の首を貫き勝利する。それを見た兵達は飛児に忠誠を誓う。
急ぎ森に戻った飛児だが、蘭泉は暗殺者から受けた毒矢によって既に息絶えていた。飛児は天灯に彼を乗せて飛ばし空葬にする。

城へ戻り国王に即位した飛児は、憎しみを生むだけの戦はもうしないと宣言するのだった。(終)

------ここまで]

よくよくあらすじも見ずに借りたら宮廷ものではなくばりばり戦乱ものでした!そしてレオンは皇族どころか貴族でも将軍でもない一介の民草でした!!orz。くそーでもかっこいいから許す。主人公の相手役でだいぶオイシイはずなんだけど、どうもスカッとせんなぁ。この人はもっと何か引き出しありそうなのに発揮されてない感が。
最初随分と地味なのに後半グイグイ存在感を増してくるお兄ちゃん役のドニー・イェンもすごかったけど、やっぱり主人公を演じるケリー・チャンが私的にはかなり、かなり、素敵でした!こんなに美人なのに勇ましくかっこよくて、でも心の脆さみたいな女性らしさも魅せられて。モデル系女優のようなベタベタしたところがなく自然体な表情が本当に素敵。中国では古代から女傑ってのは存在しててそこが日本人の感覚からはまず新鮮なわけだけど、偽物言うてもそれなりに重さのある甲冑を来て剣を降り回し続ける殺陣をこなすのは大変だったろう。序盤体を張るシーンが続くし。

物語としては、複雑な陰謀もなくてわかりやすく、男性が好むような迫力のアクション・合戦シーンと女性が満足するラブロマンスの配分も絶妙で、気軽に楽しめるエンターテイメントとして完成度高いなって感じ。ザ・香港映画。
映画だからセットに金かかってるのは当然としても、段蘭泉の隠れ家はちょっと凄い。ジブリ映画に出てきそうw あんな凝ったセットを惜しげもなく壊しちゃうのがまたザ・香港映画☆って感じ。気球も、あれは合成なのか何なのか…空高くは飛ばしてないにしても本当に浮かせるくらいはしてるのかなー。

正統派娯楽映画。笑いはないけど万人に好まれるようなベタで良い作品です。



TSUTAYA DISCAS
2枚ずつしか借りられない。そしてひと月に4枚借りねば損…。
4勝2敗。




長いものに巻かれろ

「(新版)水滸伝」第十六集「宋公明私放晁天王」冒頭から。
楊志率いる生辰綱(誕生祝いの品の運搬隊)は黄泥岡で晁蓋扮するナツメ売りの商人に会う。さらに白勝扮する酒売りがやってくるが、楊志は実は彼らが仲間で盗賊なのではないかと疑い、酒売りを切り付けようと刀を抜いて振りかぶる。白勝は恐ろしさの余り失禁する。

* * * * *

「(見ろ、)もらしたぞ、もらしたぞ。」
「(笑いやがって)お前ら殺してやる、お前ら殺してやる!このやくざ者め!」
 晁蓋らが白勝を助けようとしなかったことと白勝の気の小ささにようやく疑いを解いた楊志は刀を収める。戻ってきた楊志に都管は言う。
「あなたという人はまったくもって無礼で、人をもいじめるのだな。」
 兵士たちは再度白勝に交渉する。
「あいつ(楊志)は口に出せないだけで、強盗に見えない奴に失神しおかしくなるような(恐ろしい)脅しをされることを誰よりも恐れてるんだ。あんたがどうして彼(盗賊)と同じに見えるっていうんだろうか。(※)(それよりも)俺達に一桶売ってくれよ。」
「売らねぇ!天が割れてもおいらは売らねぇ!こんな燃えるような暑さの天気だ、しびれ薬(入り)でも飲みたいってやつが買いに来るさ。しっしっしっ、あっち行け!」
 頑固な酒売りに兵士たちは諦めて戻る。すると今度はナツメ売りがやってくる。

※ここの訳はよくわからない。もしかしたら「あんたがどうして彼(楊志)の考える人(盗賊に見えない盗賊)と同じだというんだろうか。」かもしれない。


「兄ちゃん兄ちゃん、怒りなさんな。この辺りは強盗が出没するところ。よそへ出掛ければ用心は万年船を走らせることができる(用心深いほど安全に過ごせる、用心に越したことはない)。だからな、私の言う通り怒りを収めなさい。」
「あいつは一振りの長刀を持って、腰にはまた別の一振りの短刀を下げてやがる。おいらにはあいつはまさに強盗に見える。」
「兄ちゃん、我々もな、ちょうど酒か水を飲んで渇きを癒したいと思ってたところなんだ、あんた我々に一桶売ってくれ、どうかね?」
「売らねぇ売らねぇ売らねぇ!おいらの酒はな、おいらが村の中まで(驢馬を)引いて売りに行く。(そうすれば)人さまに汚れ水としてぶちまけられずに済むからな。」
「あんたが本当の事が解ってないことを説明してやろう。彼ら(楊志たち)はあんたを罵ったが、我々はあんたを罵りはしないぞ。あんたはどのみち(酒を)持って行って売るつもりなんだろう、(それなら)我々に一桶売ったらどうだね。あんたはちょうど茶湯を恵むようなものだ。こんな暑い日で我々は喉が渇いて、渇いてみんなすぐ死んでしまいそうだ。まさに俺達の命を救ってくれる(方法だ)、そうだろう?」
「あんたらに一桶売ってやって、頑なになるのはやめにしよう。肝心なのは酒を飲むための柄杓や碗をおいらは持ってない、どうするんだい?」
「いや悩むことはない、我々は自分の柄杓を持っている。ちょうど酒を汲むためのものだ。」
 ナツメ売りらは酒桶を一桶運んで行って、うまそうに酒を飲み始める。そうしてすっかり飲み干してしまった。



「今回あんたの計らいで我々七人の命が救われた。暑さがおおかたひいていったよ。兄ちゃんまだあんたに聞いてなかったな、この酒はいくらで売るんだ?」
「一桶五貫ちょうど。ひと担ぎ(→天秤で担ぐので二桶のこと)十貫だ。まからないよ。」
「言う通り五貫やるから、もう一杯おまけしてくれないか?」
「おまけはできねえ。これは小商いで利益はほんのちょっとの好意的な値段にしてるんだ。だからもう値下げはできないよ。」
「いいだろう。あんたの言う通りにしよう。」
 晁蓋が金を支払っている間に劉唐が驢馬のところへかけよって、もう一つの桶から一杯すくって飲む。
「お前酒を盗んだな!?何してんだこのやろう、酒を盗んだな!」
「返事せずあんたに金払っただろう。」
「まからないって言ったろ!」
 さらに呉用まで一杯飲もうとするのを白勝は怒って止めさせる。
「あんたまで何してんだ、あっち行け!酒どろぼうめ!!」
「お前本当にけちだなぁ。」
「行こう行こう、飲まないよ飲まないから。」
 その様子をずっと見ていた運搬兵が都管に言う。


「都管さま、あなたが楊志の奴によく言い聞かせてやってくださいよ、ナツメ売りは酒を買って飲んだが、ふらふらして倒れた者は誰もいなかった。俺達も一桶買ってのどをちょっと潤したい。この、この天気では暑いし喉が渇く。この丘の上には水の代わりになる飲み物は他にないんだともう一度(楊志に)言ってください。」
「この老人(わたくし)もひどく喉が渇いている、ちょっと言ってみよう。」
「それがいい、それがいい。」
「楊制使よ。」
「都管どの、(話があるのなら)話されよ。」
「あのナツメ売り達は既に一桶買って、私は別の一桶も彼らが一杯飲むのを見たが、彼らは倒れることなくぴんぴんしている。この酒はおそらく(薬など入っておらず)きれいに違いないだろう。やはり人々(我々)にこの一桶を買わせていい加減にこの暑さをしのがせてやってくれ。どうだろうか。」
「都管どのがそう言うのなら、じゃあ買うがいい。飲み終わったらすぐ出発だ。」
「よかったよかった、酒を買いなさい、早く酒を買いに行きなさい!」
 兵士たちは喜んで白勝の元へ駆け寄る。


「あの酒を買う金はまだ俺が持ってるぞ。さあ、金はある、俺達に一桶売ってくれ。」
「おまえらまた何しに来やがった?」
「俺達に一桶売ってくれよ。」
「おいらの酒の中にはしびれ薬が入ってる、飲めないぜ。」
「兄ちゃん、どうしてそんな言い争いをしようっていうんだ、俺達は喉が渇いてもう死にそうだ、俺達に一桶売ってくれよ。」
「売らねぇ、売らねぇ!」
 酒売りが頑なになっているのを見て呉用が助け船を出してやる。
「兄ちゃん、あんたって男は生真面目だなぁ。あんたみたいな大の男が、どうして彼らとの言い争いをやめないんだ?いっそのこと酒を彼らに売ったら、人助けになっていいし、また街や村まで(驢馬を)引いて行って売り歩きに行く必要もなくなる。そうだろう?」


「(怒るのは)やめた。この桶の酒は、あんた達に売ってやるよ。だけどあんたらは酒を飲む道具はあるのかい?」
「心配するな、よそへ出掛けたらみんな、やった方が都合がいいことを(敢えて)しないだろうか(、そんなことはない)。さあ、彼らに柄杓を二個貸してやりなさい。」
「ありがとう、ありがとう。」
 兵士達は大喜びで酒を飲み喉を潤す。一人の兵が楊志にも柄杓を差し出す。
「楊提轄(テイカツ)、この酒を飲んで、喉の渇きをちょっと癒してください。」
 楊志ははじめ気が進まなかったがあまりの暑さについに柄杓一杯の酒を飲み干す。
 ほどなくして、兵士たちが次々とふらつき倒れて行った。異常に気付いた楊志も足元がふらつき視界がぼやける。振り返るとあのナツメ売りや酒売りらが自分たちを見て笑っている。
「はやく見ろよ、ほら見ろよ、倒れた、倒れた。」
「いけないねぇ、あれはもうだめだねぇ。」
 楊志は刀を抜いて彼らに切り付けようとするが体がうまく動かない。
「さあ来いよ!」
「本当に来たぞ。」
「こっちだこっち!うしろうしろ!」
「倒れるぞ、倒れるぞ、倒れろ・・・!」
 そして楊志は意識を失い倒れこんでしまった。

* * * * *

原作にも忠実だけどすごくハラハラさせる演出で、結末がわかっていても何度も見たくなる。
どうやって酒にしびれ薬を仕込んだのか、そのタネ明かしはドラマを見てください。


インデックス



水滸伝 DVD-SET1/チャン・ハンユー,フー・ドン,リー・ゾンハン

¥19,440
Amazon.co.jp
「(新版)水滸伝」第十五集「智取生辰綱」33分あたりから。
かんかん照りの中、楊志率いる生辰綱(誕生祝いの品の運搬隊)は黄泥岡に差し掛かる。盗賊が出没するこの地域をさっさと通り過ぎたい楊志だが運搬兵達は暑さに耐えられず勝手に木陰で休み始めた。楊志は怒って兵達を叩く。
そこへ数台の荷車を引いた商人らがやってきた。楊志は剣を抜いて商人らの前に立ちはだかる。その商人とはナツメ売りに扮した晁蓋ら七人であった。

* * * * *


「あなたは誰ですか、なぜ我々の行く道を阻むのです?」
「俺がちょうどお前に聞こうと思ったところだ、お前達はどこから来てどこへ行くのだ?」
「我々兄弟七人は濠州から来ました。我々は収穫した荷車何台分かのナツメを東京へ行って販売するつもりなのです。荷車には何も金になるようなものはありませんし、我々も金銀を身に着けてはいません。大王さまがもしこの話が信用できないとおっしゃるなら、荷車を調べてもかまいませんよ。わたくしどものすることは小商いですから、あなたさまの目にとまるようなものはありません。」
「俺は通りがかりを切るような山賊ではない。俺はお前達と一緒だ。この十幾つの荷物を担いで東京へ運んで販売するのだ。人が来るのを見て、悪人だと思って調べに進み出てきたのだ。」


「我々兄弟はずっとこの辺は強盗が横行してると聞いてたので、今さっきあなたを見て、我々兄弟の幾人かは怯えて胆をつぶしましたよ。」
「怯えて胆をつぶした?俺にはそうは見えないが。俺にはむしろお前は強盗に遭遇しても平然と笑って話せると見えるが。お前達は大きい路を行かずに進路を変えてこんな林の中に入ってきて何をする気だ?」
「この男(あんた)のいう事は全く理にかなってない。この林はあんた達の家の営業するところじゃないだろう、なぜあんた達はそこで涼んで暑さをしのいでよくて、なぜ俺達はだめなんだ?」
「(劉唐に向かって)無茶をいうんじゃない。」
「弟はがさつなもので(すみません)。(あなた達)勇士がここで休んでおられるように、我らはこの丘の上の方へ上ってこの熱気をしのごうとしたまでです。我々兄弟の幾人かとちょっと相談して、どのみち七人にはこの数台のナツメの荷車以外いいものもないし、おそらく悪人も我々に危害を加えないでしょう、なのでこの林の中でちょっと休憩しようと相談して決めたのです。空が暗くなって熱気が消えたらすぐ行きますので、勇士どの、どうかちょっと都合つけてください。」
 楊志は車の積荷を検め本当にナツメが積まれていることを確認する。
「外へ出掛ければ用心するのは当然だ。君らの勝手にすればいい。」
「ありがとうございます。よしよし、全部の荷車(を引く驢馬)を繋ごう。」


「なんだ(ここを)通り過ぎる商人だったのか。」
「楊制使は賊がいると言ったのに、なんで賊を殺さないんだ(賊じゃなかったじゃないか)。」
「悪人だと思ったら、ナツメ売りの一団だったのか。」
 安堵した運搬兵らは楊志にあてつけるように笑う。
「何もよかったことはない、お前らはまだ揉め事を起こそうというのではあるまいな(※)。さしあたってはお前らをちょっと休ませてやろう。少し涼しくなったらすぐ行くぞ。」
※ナツメ売りが来る直前まで兵士達は休ませろと騒ぎ楊志と揉めていた。

遠くから歌い声が聞こえてくる。酒売りに扮した白勝である。


「熱く燃えたぎった太陽はめらめらとして火事のよう、田畑の稲も焦げて半分枯れた。農夫の心は煮えたぎった湯のよう、(なぜなら)王侯貴族の子孫らは扇を揺らして(優雅に涼んでやがるからだ)。」
 やってきた酒売りをいぶかしんで楊志とナツメ売りは互いを指し声を張り上げる。
「お前達の仲間か!?」
 それを見て酒売りもびっくりする。
「なんだお前ら仲間同士じゃないのか!おいら死ぬほどびびったじゃねぇか!」
 酒売りは樹に驢馬をつなぐ。驢馬の背には二つの桶がくくりつけられている。


「兄ちゃん、あんたのその桶の中は何が入ってるんだい?」
「これか?これはおいらン家で醸した米酒だよ。」
 酒と聞いて運搬兵らは白勝に群がる。
「お、おまえら、な、なにするつもりだ!?」
「俺があんたに話してやるよ、えらく肝っ玉の小さいやつだな(そんなにびびるなよ)。俺らは悪党強盗じゃない。まず聞くがこの酒を(驢馬に)積んでどこへ行くつもりなんだ?」
「この黄泥岡は強盗がとっても多いから、おいらすっかりひどいめに遭うかと思ったよ。この酒はおいらの村の小屋から荷車で引いてきて、道々売り歩くのさ。決まったところ(目的地)はない。」
「あんた、この酒は一桶いくらだね?」
「五貫ちょうどだ。」
「五貫ならみんなで金を持ち寄ればいい。」
「一桶買って暑さをちょっとしのごうぜ。」
 運搬兵達は大喜びで金を出しあうが楊志が棒で叩いて止めさせる。


「誰がおのれらに酒を買わせろと!?(誰が買っていいと言った!?)」
「俺達は(自分の都合で)酒を買って暑さを和らげようっていうのに、あんたは何するんだ!?」
「まだ俺達をむち打つのか?」
「このような緑林で強盗がやる手口を、お前たちは知っているか(、いや知らないだろう)。どんな偉丈夫でも一杯の麻酔薬で痺れひっくり返る、わかったか。」
「酒を仕入れるのに奴(楊志)の説く道理なんて必要ない、俺らは一桶(自分たちで)買う。俺達は人を探して(誰か選んで)ちょっと飲んでみよう、結局(本当に)痺れるのかどうか。」
 怒った楊志は再度兵達をむち打つ。
「あんたらお役人のお客さんが話してた話からすると、おいらのこの酒はやっぱり売らない方がいいようだな。(売らなければ)あんたらが飲んで酔っ払って、おいらがあんたらにそんなしびれ薬をやったなんて言われずに済む。(どうやって)売るかはおいら、売らないかもおいらが決めるんだ!」
「俺はちょうど怒りのはけ口が見つからぬ所だ。今俺がお前を殺せば、酒を売る者はいなくなり、こいつの口舌や考え(へらず口)に手間をかけられずに済む。」
 楊志は刀を抜き白勝を切ろうと構える。白勝はびっくりして逃げまどう。
「だんな、お許しください、だんなさま命ばかりはお助けを!!」

* * * * *

この強奪シーンがとにかく面白い!原作にも忠実だけどすごくハラハラさせる演出で、結末がわかっていても何度も見たくなる。さすがに長いので二回に分けました。

インデックス



水滸伝 DVD-SET1/チャン・ハンユー,フー・ドン,リー・ゾンハン

¥19,440
Amazon.co.jp