これは隠れた名作!!本格歴史ドラマ。
「大秦帝国」(2008年 監督/ホアン・ジェンチョン、イエン・イー 主演/ホウ・ヨン、ワン・ジーフェイ)
全51話
大秦帝国 DVD-BOX/エスピーオー

¥14,700
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※DVDはダイジェスト版しかありません。全編は配信でご覧ください。
タイトルからして始皇帝の話かと思ったら違った。
同名の原作が秦が覇権を手にし全国統一を果たすまでを描いた全六部の歴史長編大作らくて、これはその第一部を元にしたドラマ。原作者の孫皓暉氏が脚本も手がけてる。ドラマ自体も既に第二期、第三期も作られているようで、区別するためにこの第一期の作品は原作の副題から「黒色裂変」と呼ばれているみたい。
戦国時代、弱小国だった秦国が法家の商鞅(衛鞅)を迎え入れ改革を行い、強国へと生まれ変わらせていく過程を描く。
――戦国時代、諸侯の一つ秦は内乱で国力は衰え隣の新興国・魏に攻め入られ領土を奪われ小国と成り下がっていた。
長く続く魏との戦い。秦の君主献公の長子嬴虔(エイ・ケン)は先陣を率い、次子嬴渠梁(エイ・キョリョウ)は後方支援部隊を率いて魏軍を迎え撃つ。キョリョウは敵の指揮官である公叔座を生け捕りにすることに成功。だが献公が毒矢を受け負傷したため撤退を余儀なくされた。間もなく献公は亡くなり、遺言によりキョリョウが跡を継ぎ虔は大将軍として弟を補佐し尽くすことを誓う。
魏は公叔座を奪還した上で敗将の責を取らせて処刑することを決める。公叔座の弟子・衛鞅(エイ・オウ)は、師を救うため単身秦へ向かいキョリョウとの面会を望むが相手にされない。衛オウは面会できるまで動かないと雪降る寒空の下、陣門の前でひたすら待ち続けるのだった――
モデル系イケメン不在、お世辞にも華やかとは言えない画面、そして迫力の合戦シーンから始まるこの物語。戦乱ものは女子にはつまんないかと思いきや、戦争の非情さや国民を思う君主の心情を仔細に仔細に描いてて引き付けられる。序盤は秦に容赦なく襲い掛かかってくる災難に追い詰められた国民が上から下まで団結して危機に立ち向かう、その必死さに胸を締め付けられる。人の情の強さと大切さを訴える。そして中盤からは逆に、大義のために情を抑え耐えねばならない苦悩を描いていく、法治制度の源を描いた物語。
この作品は迫力というよりもリアルさを重視してて、合戦シーンもCGは極力控えてワイヤーアクションはなし(命綱の役割でのワイヤーは使ってるけど)。大量のエキストラに揃いの衣装や鎧甲冑を着せたシーンの多さには目を見張る。[ここからネタバレ含む------
特に第33話、韓が魏に攻められるがかろうじて持ちこたえ、塞の内外に隙間なく兵士の死体が折り重なっている…その光景を見た韓王が死んだ兵士達が起き上がり怨みを吐く幻影を見るシーンは鳥肌もの。------ここまで] 馬の数もハンパないしその扱いも付け焼刃的でなく慣れたもの。河辺のシーンで駆けつけた将軍の馬が無様に足を滑らせても撮り直さず役者らも顔色ひとつ変えず芝居を続けてるところなんか凄くリアル!
毎回涙なしには見られないドラマティックな脚本、沈黙のシーンにこそ深い心情の推移が見られるベテラン揃いの繊細な芝居。笑いはなく超真面目な話だけど、すごく面白い…!映画みたいな本気のドラマ。
中国TV業界の本気を見た!!(°∀°)b
物語をドラマティックに盛り上げるのに一役買っているのがこの音楽。オーケストラの壮大なテーマ曲や秦国民歌が耳について離れない。終盤ともなると音楽だけで涙腺が緩んでしまうパブロフの犬状態に。
戦国時代の各国の状況も解りやすく描いた歴史・戦略ものであり、君主と臣下、君主と国民の固い絆を描いた仁義ものでもあり、爽やかな恋愛要素も含んでて、これは万人におすすめ!
主人公の衛オウは冒頭からいかにも主役ぽい風体で、諸子百家らしい奇人変人ぶりも魅力充分。でももう一人の主人公エイ・キョリョウ(演:ホウ・ヨン/侯勇)は、この人
まさかの主役だったの!??という大変に地味な、下っ端にしか見えない登場ぶり。お兄ちゃんがまた目立つガテン系の男前だから対比して余計に…。でもこの地味な人が君主になってじわじわと王の手腕を発揮していくさまはそれはもう恰好良い。これといって突出した才能はないけど責任感が人一倍強く、国を思う心で時に押しつぶされてしまいそうになる…一見頼りなさげで国を引っ張ってくリーダーには不向きに見えるけど、ブレない信念と人の話を素直に聞き入れる度量を持つ。これはまさに中国の古典が語り続けてきた理想の君子像。気が付けば衛オウよりもずっとずっと主人公然とした確固たる存在に。[ここからネタバレ含む------
キョリョウが亡くなるとテンション下がって続き観るスピードが一気に落ちたし、物語自体も落ちる一方…(でもこれは史実だから仕方ない)。衛オウはいくら善く描かれててもクセのあるキャラだからいまいち同情できないというか、この人では泣けないよなぁ。------ここまで] キョリョウだけでなくエイ公家の人々は皆素晴らしい人格者として美化されてるんだけどそれもまたよし。(特にお母ちゃん!泣ける!) でもだからといって敵の魏国が典型的な悪としては描かれてなくて、各々の使命や重責を負って行動・決断している。全ての戦いは大切なものを守るためとして描かれ、合戦ものなのに反戦と人命尊重を強調しているのが、広く人々に視聴してもらうドラマとして素晴らしい演出だと思う。
衛オウ役のワン・ジーフェイ(王志飛)、この人の話し方(演じ方)は特徴的で、普段は聞き取れないくらいボソボソと平坦に喋ってるけど、人を説得するシーンでは言葉にものすごーくアクセントつけるのね、唾が飛んできそうな勢いで。それがもちろん説得力あって良いんだけど、なんせ原語がわからないのでもどかしい。どの言葉を強調して言ってるのか解ればもっとグッとくるんだろうなぁと。なのでやっぱり中国語字幕版で見直してます。
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Quick China「大秦帝国 主題音楽録音」
サントラかと思って買ったら、これ第一期、第二期の音楽を集めたコンサート録音。
第一期エンディング曲が入ってないのが残念…。