「新喜劇之王」(2019年 監督/周星馳 主演/鄂靖文)
91分

※日本語版はまだありません。
――女優をめざす如夢はバイトをしながら映画やドラマの群衆役や顔の映らない身代わり役を演じている。映画マニアの母は応援してくれているが父はいつまでも叶わぬ夢を追っている娘に怒りながらも、彼女に冷たく当たるスタッフに怒鳴り込みに行ったりと心配している。
新年に放送する白雪姫のドラマのオーディションに行くことにした如夢は友人の小米の勧めで特殊メイクをしていくことに。西洋モデルのような顔立ちになっていけば採用されるはずだ…そうして必要以上に鼻を高くアゴをとがらせた顔で行くと即刻採用され、女優が殴る蹴るの暴力を加えられるシーンの身代わりとして出されただけだった。
この白雪姫のドラマは、魔法の林檎を食べたせいで体が男になってしまったという設定で、往年の人気俳優・馬可が男になった白雪姫を演じるのだった。だが彼はプライドが高く威張り散らし監督の指示に文句をつけ自分の演技を押し通そうとする――
[ここからネタバレ-----
監督はわがままな馬可を懲らしめてやろうと休憩中の彼にドッキリを仕掛けた。以前馬可が散々にこき下ろし殴りつけた端役の女優が自殺したと告げる。そして赤い服を着た如夢が幽霊のように彼に近づく…馬可は驚きすぎて腰を抜かし失禁した。その姿その表情をカメラにおさめた監督はしたり顔だが、ドッキリだったと知った馬可は心底憤慨し監督につかみかかる。役を降りると怒るが、だが監督は辞めればいいと逆ギレ。お前のせいで撮影がちっとも進まない、他の人をあたるからさっさと辞めろと降板を突きつけた。馬可は往年のようなスターではなく、辞めれば他の仕事はなかった…馬可は監督に詫びるが監督が前言を撤回することはなかった。
如夢は小さい頃馬可の出ている映画を見て俳優に憧れたのだ、あのスターがとぼとぼと去っていくその姿を複雑な気持ちで見送る。
よく一緒に群衆役として同じ現場で演じて来た仲間が俳優を辞めるという。彼は俳優は趣味でやっていただけで実は大企業の息子だった。親の仕事を手伝うことになり渡米することになったというのだ。彼から告白された如夢だが既に恋人がいるからと断った。
小米は女優志望でもなんでもなかったが道端でスカウトされて有名な陳監督の映画に出ることになった。それを偶然知った如夢は陳監督にどんな役でもいいから自分も出してほしいと売り込むが、鏡を見てから言え、お前なんか永遠に女優にはなれないと突きつけられ追い出された。
その後まもなく如夢は恋人が二股をかけていた事を知らされた。女優にもなれない、恋人との結婚もただの夢だった…。
その後端役などで細々と食いつないでいた馬可だが、彼が白雪姫の監督に撮られたドッキリの動画がネットで拡散し、皆が彼の無様な姿に大笑いした。馬可はひどく傷つくが、却って顔と名が知られることになり彼の姿を見つけた人々は大喜びで一緒に写真を撮ってくれとせがんでくる。次第に悪い気がしなくなってきた。そして間もなく彼は人気タレントとしてテレビを賑わすようになった。
女優の道を諦めウエイトレスとして働いていた如夢。彼女の家に馬可が訪ねて来た。自分がまた人気者になれたそのきっかけを作ってくれたのは君だと感謝する。そして今度の周監督の新作映画のキャスト候補のリストに如夢が載っていると知らせる。だが如夢はもう女優はやめて堅実に生きることにしたのだと答えた。馬可は、諦めなければいつかまた成功する、それを君が教えてくれたのに、とても残念だと言って帰っていった。
もう一度…そう言いだした途端、父母は直ぐに飛行機で行きなさいと如夢を後押しするのだった。
オーディションには様々な特技を持つ人々が集まっていて、如夢はとてもアピールできそうにない。演技審査で如夢は詐欺師役を演じてみせた。それは彼女を騙していた恋人をそっくりそのまま真似たのだった。だがその真に迫った演技が監督の心をつかみ、彼女は採用された…。
そして一年後、如夢は見事最優秀女優賞を獲得した。
彼女のいる現場には熱心なファンが駆け付けるように。そのうちの一人の女が駆け寄って来た。「ずっとファンなんです、実は私も女優を目指していて…」女はそう言うが如夢はあなたが女優になんて永遠になれっこないと言い放つ。女はがっかりするが、如夢は続けて言う、「そう言われてあなたがすべき事は何?諦めて故郷に帰る事じゃない、努力し続ける事よ。」(終)-----ここまで]
すばらしい作品でしたー!さっすがチャウ・シンチー監督の映画は安心感があるなぁ!
いつものパターンと言われてしまえばそれまでだけど、彼の作品らしいこのノリ、ベタであろうとがっちり笑いを掴んですぐに次へ次へ進んで行くこのテンポの良さ、だらけないようコンパクトにまとめた物語、もうコメディ好きにはたまらない完成度の高さ。
シンチー自身は出演してなくて、いかにも彼が演りそうなキャラクターである馬可をワン・バオチャン(王宝強)が演じる。でもワン・バオチャンの姿を通してシンチーが演るお芝居が目に見えるようだ…!(それだけお決まりなキャラクターってことだけど!)
この作品は1999年の映画「喜劇王」(原題「喜劇之王」)の第二弾なんだけど、要するに売れない俳優が努力と奇跡で成功を収める物語。今作は主人公が女性。なので「喜劇之女王」な気もするし、もっと言うと主人公の如夢は決してコメディ女優ではなくむしろリアルに寄せたシリアスな演技をするという設定なんだけどな。
もちろんこの作品自体は喜劇で、しかもちゃんと「努力すれば夢は叶う」というわかりやすいテーマがあって最後は感動できるような物語になっている。シンチー監督の映画で毎度顔をしかめさせられてた暴力シーンはすごく注意深く排除されているし、女性が主人公とあってお得意の下ネタもなく、これなら子供から大人まで安心して見られる。強くおすすめしたい作品!
如夢を演じるウァー・ジンウェン(鄂靖文)はコメディ中心に演じて来た女優さんらしくてそのすっとぼけた表情は役柄にぴったりだし憎めない可愛さ。如夢のくじけないいつでも前向きな姿勢には笑いつつも励まされる。如夢と対比する存在である馬可を演じるワン・バオチャンは、うん彼はどんな仕事でもするんだね、そういう意味ですごいねーと思ってしまう。もうホント大真面目にやってくれるから笑える、コメディってそういうもんだよねぇ。彼が喜劇の王!
キャストで他に印象に残ったというと、如夢の恋人チャーリー、なんでこの人だけ芝居が素人くさいの?この人タレントか何か?結構重要な役なのになんでこんな人をキャスティングしたんだろう??笑えもしないんだけど???
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