先週の今日、お初となる映画館を訪れた。
「ラピュタ阿佐ヶ谷」という劇場。
JR阿佐ヶ谷駅そばの飲み屋街と住宅街の狭間に存在した。
いやぁ、この映画館の佇まいが最高!
古くからあると思われるが、1階は古き邦画の資料や商品がふんだんに置かれた庭付きカフェのようで、脇の階段を昇ると50人くらい収容のこじんまりとしながらも座席などは今時のものを設置してあって隠れ家的な映画館。
今回lここへ出向いたのは、60年代~70年代に独特な人気を博した女優“緑魔子”を特集しており、この日は以前から一度鑑賞してみたかった「非行少女ヨーコ」の上映が行なわれたから。
チケットもまたいい感じ!
緑魔子女史は、個人的にはかの「傷だらけの天使」ゲスト出演時の脱ぎっぷりの良さと子悪魔的可愛さが幼き脳裏に残っちゃったんですね。(中山麻里の脱ぎっぷりもそうですけど…笑)
そんな彼女の数多の出演作品でも「非行少女ヨーコ」は見所が多いと聞いていたので、この眼で確かめることに。
幾つか、そのポイントを上げると、
●緑魔子主演(ま、当たり前だけど)
●豪華な共演者
●降旗康男監督デビュー作
●ナベサダ、ヒノテル、らのジャズメンのセッションが聴ける
●1960年代の新宿の街並みが判る
etc…。
共演者は、後に緑さんの夫となる石橋蓮司、谷隼人、大原麗子、岡田英次、大坂志朗、佐野周二、東野孝彦(後の東野英心)、芳村真理、荒木一郎、寺山修二、と言った面子!
やっぱり石橋氏がいい!!!!
今回はボンボンでオネエの美容師!というとんでもない役を見事にやりきってました。
谷隼人もこれがまだまだ青くて微笑ましい。
そして大原麗子のキュートなこと!(一瞬、緑魔子よりこの大原麗子のほうがいいか?なんて浮気心がもたげた…)
監督は降旗康男。
これが監督デビューで、のちのちは高倉健主演作品を作り続ける重厚な大御所となるのだが、デビューは「非行少女ヨーコ」と言う、ともすると薄っぺらな感も沸くようなタイトルなんっすから面白い。
で、映画はいきなり冒頭のシーンが八木正生を中心としたジャズ・セッションの映像で、渡辺貞夫、日野晧正、富樫雅彦、等がスタジオ内で演奏しているんですからビックリ!
このシーンだけで、作品へも期待度がグッと上がっちゃう。
(でも、途中から、この時代の映画・ドラマ特有の短調のほんわか&せつない系の音楽がテーマのごとく流れちゃう。きっとテーマ曲なんでしょうけど。)
で、ストーリーは過去に故郷でレイプされた少女ヨーコ(緑魔子)が東京へ家出し、この時代の若者のドラッグや音楽、セックス、反抗を日々織り込み、知り合った若者たちと自堕落に生きることと、現実社会とのギャップに葛藤する暮らしを描いている。
やはり、出演者の面子とその役どころ、これが一番のポイントですね。
これが上手く出来てるからよかったものの、演者が今イチだったら、そっこらへんにある映画の1つになっていたんじゃないかと思う。
’60年代の新宿が舞台。
自分自身は1970年代初頭で新宿に住むことになったが、当時もあんな若者が街中にいたもんです。
実際、私が住んだ家の横はこんな若者たちが借りたアトリエだった。
そういう意味では、序盤で岡田英次に車で拾われる新宿通り、そして後半にジロー(谷隼人)とヨーコがサントロペへ船で行こうと決めるシーンは、流れの中ではあたかも病院の屋上みたいに思えるが、背後に見えるビルは新宿紀伊国屋書店なので、現在のカラオケ館新宿東口店があるビルの屋上での撮影なのが判っちゃうあたり~そんな懐かしい新宿の風景は、個人的にはとても大きな見所になってしまいます。
そうだ、あと、ヨーコとジローの濡れ場が無音になる。
冒頭からフリージャズ演奏シーンだったことを思えば、意外な感じがした。
しかも尺が結構長い。
どんな発想、意図から、降旗監督はここを無音にしたんだろう?などと思いながら鑑賞していたのだが、偶然今日「男と女」の録画を見たら、おんなじ事やっていた。(笑)
そっか、パクッたのね。(苦笑)
なんだかんだ、貴重な作品となったのは間違い無いだろう。
この緑魔子特集は10月20日までラピュタ阿佐ヶ谷で上映中。