映画『幸せをつかむ歌』鑑賞記 | 新・迷って、悩んで、でも笑ったりもして…。

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不惑の40代などと言うものの、40代になってから「踏んだり蹴ったり」、「弱り目に祟り目」な日々…。
あれから幾年過ぎ、日々の一喜一憂を好き勝手にほざいてる次第です。

久々に映画館で映画を観た。
映画は『幸せをつかむ歌』(原題:RIKKI AND THE FLASH)。
幸せをつかむ歌

内容は、54歳にしてインディーバンド活動に励むリッキーことリンダは、過去結婚をして2男1女をもうけるも家庭を捨てて音楽活動をやるために家を出た。
そこへ事業で成功し邸宅に住む元夫から、結婚した娘が夫に捨てられ病んでいる、という連絡を受ける。
活動場所のロスから家族の住むインディアナポリスの元自宅へ行くと、娘は自殺未遂まで起こし、精神医師の元に通うという痛々しい娘ジュリーの姿を見る。
しかし、ジュリーは自分を捨てたリッキーに立腹し反抗する。
リッキーへのアゲインストな風は2人の息子やその周囲の人物にまで及んでいた…。
そんな状況下で、リッキーはそれでも自分の家族のために自分なりに力になろうとするが…、というストーリー。
正直、まあありがちな題材だが、ちょっと前まではこういった主人公は必ず男である父側であったのだが、女性側だというのが現代的なのかも。
(こんな、ていたらくでさえも、もはや男ではドラマコンテンツにもならない時代か…)
それは、彼女のライブ時のMCで男は浮気しても家族の用事を忘れても許されるが、女は1度でも出きないともうそれだけで失格の烙印を押される、といったことを愚痴るシーンによく表れている。

そしてこの映画は、バンドマンを題材にしていることから音楽的な部分も思いのほか熟慮して制作されていた。
リッキー演じる“メリル・ストリープ”は3ヶ月に及ぶギターレッスンを受け、あばずれロック姉ちゃんの雰囲気がよく出ていた。
アカデミー受賞大女優なので、演技はもちろんだが、ギターや歌もなかなかのもの。
吹き替えはしなかったようだ。
そのリッキーを支えるフラッシュなるバンドメンバーも実は凄い!
リッキー&ザ・フラッシュ
ギタリストで現在のリッキーの恋人は、グラミー受賞ロッカーの“リック・スプリングフィールド”が演じている。
実は個人的にこの人のファンです。
それが観に行った大きな要因。
そして、キーボーディストのバニーには元トーキングヘッズ、ファンカデリック/パーラメントのバーニー・ウォーレル。
ベーシストのバスターはリック・ローザスで、CSN&Y~ニール・ヤング、ロン・ウッド等をサポートした渋いベーシストだが、なんとこの映画のクランクアップ後に天に召された…。(合掌)
ドラマーのジョーは、イーグルスのジョー・ウォルシュのソロアクトのサポートで有名だ。
映画内で使われる曲も、いきなりトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの「アメリカン・ガール」(リック・スプリングフィールドの「アメリカン・ガール」とは違う曲です)から始まって、エドガー・ウィンターの「キープ・プレイン・ザット・ロックンロール」、U2「終わりなき旅」といった70~80'sクラシックからレディ・ガガやピンクといった新しどころまでをこのメンバーで実際にカバーし、最後はブルース・スプリングスティーンのナンバーで締める!
これらを実際にレコーディングもし、映画の舞台となるヴァレー地区の店でライヴまでやってのけたらしい!

感想は、正直ストーリーや設定は前述の通り、ありがちな題材ではある。
でもやはり主演のメリル・ストリープがカッコいい!
女優さんでは、このメリルとシガニー・ウィーバーが好きです。
ルックスとかじゃなく、女優として何でもやれてどれも皆その役柄に溶け込む感じと、何とも言えないカッコよさがあるのだ。
今回だって、ちんころロックおばさんだもん、ホント!
佇まいも、ボニー・レイットとジョーン・ジェットを足して2で割ったような印象。
それに映画では54歳だが、実際は66歳、四捨五入したら(すんな!)70歳、古希を迎えようという方です。
それが、ロックミュージシャンに見えるし、バスタオル1枚の姿になったり、リック・スプリングフィールドとベッドシーンだったり、すっげーなぁって。(笑)
そのリックも同い年ですよ。
例えば、日本でさ、今現在の沢田研二と酒井和歌子が裸になってベッドシーンなんてサラっと出来る?(だいたいこのくらいの年齢ですお二人とも)
自然に何度もキスを交わせる?
もちろんアメリカ人と日本人の差というのはあるけどね、それにしてもだよ。

あとは、恥ずかしながら今回初めて知ったのだが、精神的に病んだ娘ジュリー役の女優メイミー・ガマーってメリル・ストリープの実娘だったんですね!
鼻のあたりが、なんか似ていて「お、母娘って雰囲気のあるキャスティングじゃん」なんて思って観ていたら、本当の親子だったとは…。
このメイミーさん、以前観た『ウッドストックがやってくる!』に出ていた方でした。
ともすると、こういった映画だとやっつけ効果にしか扱われなくなる音楽を意外やこだわってみせた監督は『羊たちの沈黙』でオスカー監督となったジャナサン・デミ氏。
意外にもと思ったら、かつてトーキングヘッズの『ストップ・メイキング・センス』やニール・ヤングの『ハート・オブ・ゴールド 孤独の旅路』といった音楽ドキュメンタリーを撮っていたんですね。
最後のスタッフロールで、スペシャル・サンクスにニール・ヤングの名前がクレジットされていたが、そんな縁もあったのでしょう。

それと加えて、やはりR&Rミュージックは偉大だってこと。
たかがR&R、されどR&Rなのである!

映画『幸せをつかむ歌』は現在ロードショー公開中。
私は、渋谷の「Bunkamura ル・シネマ」で観ましたが、火曜の最終回は¥1,100で観れます。
席もネットで指定予約可能。
ただ、久々にパンフレットを買ったが、高くなったのね。
¥300~450くらいのイメージだったけど、今は¥720もする!
でも音楽周りのこともちゃんと書かれていたので損した気にはならなかった。

おそらく、そんなに何日も公開されなそうな雰囲気なので、ご興味のある方はお早めにご覧下さいませ。