大震災後6日目となる3月17日(木)にシンディ・ローパー の東京公演へ行きました。
東京もまだ余震の恐れ、計画停電の実行、原発崩壊の恐れ、等々で落ち着いてはいない。
そんな状況もあってか、シンディ・ローパーの公演に声がかかる。
思えば、80年代の初来日公演を武道館の北スタンド(=ステージの裏側にあたる)で観た。
90年代に入ってからか、当時好きだった子が行きたいとチケットを取るも、行けなかったこともあった。
そのシンディ・ローパーが最近ブルース・アルバムを出し(またこれがいいんです、意外に!)、 そのツアーで日本にもやって来た。
当日、ダイヤの狂った電車に乗り、渋谷に着くと多くの電飾が消され、普段見たことの無い渋谷の街を窺った。
そして会場のオーチャードホールの間近など、本当に暗い。
コンサートなんてあるのか?という雰囲気。
先のスレッドで書いたようにこんな時に、野球のナイターほどでないにしろ、コンサートも電気を消耗するので、その事が心に引っかかりながらも会場に着くと、もの凄く節電しており、入り口はかなり暗い。
ロビーに入れば明るいが、普段よりもだいぶ節電しているのではないだろうか。
そして、ロビーには多くの義捐金箱があり、クロークに置かれているだけでなく、日本人スタッフが何人も箱を抱えて「義捐金お願いします!」と声を出していた。
たまたま顔見知りの人と会って、立ち話をしたら、この日「地下鉄の数本が乗客が増えすぎて、今一時ストップしてる」という話を聞く。
いやぁ、「今日はお客さんいないかも?」とつい心配してしまう。
席に着くと、もう前から何番目という列のド真ん中!
すげぇ良い席!!
声掛けてくれてありがとう!と感謝する次第。
そして後ろを振り返ると、やはり客入り具合は半分強という感じだ。
来てるファン層も結構高齢な人も多く、パッと見で60歳前後の人も何人もいる。
30代くらいも多いが、20代以下という人はほぼ見かけなかった。
開演時間を15~20分くらい過ぎた頃にやっと場内の明かりが落ちる。
決して多くない客席、それまで大人しかった観客から、ものすごい嬌声が上がる。
サポートメンバーがまず出て、少しの間を置いてシンディが登場!
昔は赤や緑の混じった髪や、キテレツなファッションだった、ぶっ飛んだギャルも、黒いレザーのような風合いのシャツとパンツで髪もブロンド一色。
上半身はだいぶ恰幅の良くなったシンディが、あの頃と同じ独特の声で客席に呼びかけ、歌い始めた。
新作『メンフィス・ブルース』のオープニングと同様に“JUST YOUR DREAM”~“SHATTERED DREAMS”からスタート。
ブルースとは言え、ステージを右に左に動きまわり、パフォーマンスはロック・コンサートと何も変わらない。
そして“SHE BOP”!
個人的にはこの曲がシンディのナンバーの中でも1、2を争うくらいフェイバリットな曲なので、ついサビを一緒に歌ってしまった。
そしてこの日、普段のツアーメンバーに加え、日本人アーティストのTOKU が参加。
この日のナンバーの半分くらいは、共演していました。
彼のフリューゲル・ホーンの響きも柔らかく哀愁を帯びていてなかなかのもの。
そして、シンディが振っても1歩引いたポジションを徹底していて謙虚な姿勢に好感が持てました。
(でも、1曲くらい超フィーチャリングなプレイがあって良かったとも思いましたが)
その後も、新作のブルースとかつてのヒットナンバーをバランス良く配合したセットリストで、新作も旧作も含め自然に楽しめました。
ステージから何度も震災の苦境を乗り越えて頑張ってほしいという(私、英語ダメなので、多分そういうことだと思う)メッセージを言葉にしていた。
改めて、彼女の人としての素晴らしさに触れた気がした。
会場内の節電の徹底、場内で声を出しての募金活動、ステージの照明もおそらく普段より節制したんじゃないだろうか、その気遣いが嬉しい。
(野球のセリーグ連中には、これが無いから国民が中指突き立てることになるんだ!)
途中、ついにステージから客席に降りて来て歌いだす!
ちょうど私の列の横で、一人の女性が飛び出してシンディ・ローパーに抱きついてしまった。
その時にシンディはその女性をハグし、後ろにいた屈強なセキュリティに目をやり顔を横に振り、「大丈夫、引き離さないでいいわ。」といった感じで合図をしていた。
これって、かつての“MONEY CHANGES EVERYTHINGS”のプロモーションビデオ~これはライブ映像なのだが、やはり客席から一人の少女がステージに駆け上がりシンディに抱きつくシーンが見れる~のあのシーンと一緒だ!
なんか、やっぱシンディ姐さん、いい人っすね!
ちなみにこの日のセットリストは多分こんな感じ。(多少の違いはあるかも。。。)
ジャスト・ユア・フール
シャッタード・ドリームズ
シー・バップ
アーリー・イン・ザ・モーニング
オール・スルー・ザ・ナイト
リード・ミー・オン
クロスロード
ダウン・ドント・バザー・ミー
ドント・クライ・ノー・モア
グーニーズはグッドイナフ
チェンジ・オブ・ハート
ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン
タイム・アフター・タイム
シャイン
ドント・ワナ・クライ
トゥルー・カラーズ
この日、シンディ・ローパーの祖国アメリカは、在日米国人に対し、帰国または福島原発から90km離れよと勧告を出した。
しかし、シンディは東京の舞台に上がることを選んだ。
それは、自分のパフォーマンスが日本を励ませる自身があったからだろう。
実際、この日のパフォーマンスはその通りのものであった。
終演後、客席を振り返ると、観客は増えていてそれなりの形になっていた。