日本経済は少子高齢化による人口減少、全要素生産性の停滞、産業構造の成熟という課題に直面しています。
かつて高度経済成長を牽引した大企業モデルは、効率性と安定性に強みを持ちながらも、破壊的イノベーションへの対応力には限界があります。
イノベーションのジレンマ(Christensen, 1997)に示されるように、大企業は既存顧客に依存し、新市場開拓に消極的になりがちです。
この構造を打破できるのがベンチャー企業なのではないかと思うのです。
ベンチャーは、高リスク・高リターンを志向し、社会課題解決を原動力とする存在です。
・ラクスルは、遊休印刷機や物流資源のマッチングにより産業の効率をアップさせました。
・SmartHRは人事労務の業務プロセスを大幅に効率化することに挑戦しています。
さらに地方発のベンチャーにも注目すべきです。
・合成クモ糸のSpiberのように、地方から広域なマーケットを狙っていく企業も出現しています。
これは地域経済の活性化にとどまらず、都市部集中を是正する可能性をも秘めています。
欧米と比較すると日本の起業率は依然低水準ですが、公共調達や金融支援の拡大によって改善の余地があります。
OECDも日本に対し「起業家精神の強化が持続的成長に不可欠」と提言しています。
ベンチャーは、単なる企業形態ではなく、日本社会の「新陳代謝のエンジン」としても不可欠な存在です。
大企業と補完し合い、新しい産業、地域経済、社会課題を解決する役割を担っているのです。
Christensen, C. M. (1997). The Innovator’s Dilemma: When New Technologies Cause Great Firms to Fail. Harvard Business School Press.(伊豆原 弓訳(2000)『イノベーションのジレンマ』翔泳社)
経済産業省『起業白書』 経済産業調査会
OECD (各年). OECD Productivity Outlook. OECD Publishing.