クルト・レヴィン(Kurt Lewin)は、1940年代にグループ・ダイナミクス(集団力学)の理論を提唱し、組織開発(OD)の基礎を築きました。
彼は「グループ」を単なる人の集合ではなく、集団としての相互作用や影響のある「場」として捉え、この集団全体が一体となって働く力学が個人の行動や意思決定に強く影響すると主張しました。
レヴィンは、このような集団の影響力を利用することで、個人や組織が行動変容を達成しやすくなると考えました。
レヴィンの研究の背景には、第二次世界大戦後に社会や組織が急速に変化する中、個人が集団に及ぼす影響や、集団の力学が重要視されるようになったことがありました。
特に、集団内の相互作用やグループの力がどのように組織の目標達成や行動変革に貢献するのかに関心を持っていました。
グループ・ダイナミクス理論の中で最も有名なものに「変化の3段階モデル」があります。
レヴィンは、組織の変革プロセスを「解凍(Unfreeze)」「変革(Change)」「再凍結(Refreeze)」の3つのステップに分けて説明しました。
まず、「解凍」では現状の思い込みや行動を見直して柔軟にすることで、変化に対する抵抗を緩めます。
次に「変革」では、新しい行動や思考に取り組むプロセスを進めます。
最後に「再凍結」では、新しい行動や習慣を定着させ、安定した状態に戻します。これにより、組織内で持続可能な変化が起こるとされています。
レヴィンのグループ・ダイナミクス理論は、今日のODにおいても欠かせない理論の1つであり、組織変革やリーダーシップ、チームビルディングの基礎として幅広く応用されています。