褒めるべきか、叱るべきかについては、数々の科学的研究によってはっきりとした答えが出ています。人の能力を伸ばすためには褒めることが効果的だといわれています。
1925年に心理学者のエリザベス・ハーロック博士が行ったエンハンシング効果の実験が有名です。ハーロックは子どもたちを3つのクラスに分けて、5日間に渡って計算テストを行いました。
A:点数に関係なくできたところを褒める「称賛クラス」
B:点数に関係なくできなかったところを叱る「叱責クラス」
C:称賛も叱責もせず何も言わない「放任クラス」
称賛クラスは5日連続で成績アップ、叱責クラスは3日目まで成績が上がり、その後悪化、放任クラスは大きな変化がなかった、という結果が出たのです。この実験により「人は褒められた方が成長できる」という考え方が広まりました。
また、人の「やる気」は、強制、評価、報酬、懲罰などによって動機づけられる「外発的動機付け」と、興味、関心、達成感、満足感などによって動機づけられる「内発的動機付け」があることが知られています。外発的動機付けは短期的な効果があり、内発的動機付けは持続するといわれています。
内発的動機付けを育むには、褒めることが有効です。人は褒められると「自分の行動が結果につながった」という認識を持ちます。この認識が内発的動機付けの向上を促し、夢中になった状態につながると考えました。