「役員たちにオレの意図が伝わらない!」。
経営者の永遠の根本的悩みと言えるでしょう。
社員にとって、社長と役員の関係は分かるものではありません。また、社長自身があまり語りたがらないことから、企業内でこのようなことが表沙汰になることはまずありません。
しかし、経営者は役員との関係に一番悩んでいるといってもよいでしょう。
「社長の立場になって考えろよ。」一般的にこういう言葉は中間管理職に向けられていると思われがちですが、実は役員に向けられていることが多いものです。
結論から言うと、いくら言っても役員は社長の立場に立てません。
また、経営者の意図は役員には伝わりません。
伝わらない理由は5つ。
①そもそも視界が違う
②判断基準がわからない
③現実を直視できない
④役割・責任が先に立って本音が言えない
⑤社長のスピードについていけないし、社長はそれを待てない
ではどうすればいいのでしょうか?
簡単に言うと、この5つの原因を一つ一つ取り除いていけばいいのです。しかしこれが難しい。
特に、④の役割・責任の呪縛を取り除くことは難しい。
「今日はお互い裃を脱いで…」という話をしても、「じゃぁ、まず専務から何か一言…。」とミーティングが始まってしまいます。
役員同士が普段から本音のコミュニケーションをしていないということも一因です。「あの人はあの人なりに一生懸命やっているのだろう」と、お互い何も口を挟みません。
自分に火の粉がかかるのを恐れるのも一因です。これも役割・責任の呪縛でしょう。
価値観のぶつかり合いだけで、いつも議論が平行線を辿るということも良く起きます。すなわち、議論をする際の「視界・対象・基準」がそろっていないことのです。
経営者と役員の問題はまさに「視界・対象・基準」のずれによって起こっているといってもいいでしょう。