作る目的によって、「資金調達する時の銀行への説明のため」や「出資先のため」と言うものがはっきりしていれば、読む人は決まってきます。
事業計画書を作成する目的は、「経営者自身のため」「社員のため」「社外(銀行や取引先など)のため」の3つです。
その目的を達成するために事業計画書を作るのですから、それを読む人も「経営者自身」「従業員」「社外の人」となります。
では、それぞれ誰がどのように読むのかと言う視点で見てきましょう。
①経営者自身(当事者)
経営をするのは経営者自身ですので、事業計画書を読む人も一番重要なのは、経営者自身です。
事業計画書と言うのは、資金調達の時の銀行や投資家に向けて作成するのではないのかと思われている経営者は多いと思います。
確かに、銀行や投資家向けに作成することも重要です。
しかし、その重要な事業計画書が実際の経営の遂行に使われていなければ、それは「机上の空論」であり銀行や投資家が読んでも意味がなくなります。
つまり、実際に経営者がその計画を使って経営を行うからこそ、銀行や投資家も読む意味が出てきます。
その意味においても、経営者自身が事業計画書を読む(実際は、読むだけでなく、作成をするし、実行まで行う)ことになります。
これは大企業であっても、中小企業でもあっても、これから起業する起業家であっても、社内ベンチャーでも同様です。
自分自身が何をしていくのかと言う自分自身への指標にもなり、実行した時に差異分析をして次の事業への発展につなげていくことができるのです。
よって、事業計画書は、経営者自身が読み、さらに実行できる計画書である必要があります。
②社員(協力者)
経営をしていく上で、経営者一人ですべてを実行できるのであれば、経営者向けの事業計画書だけでもよいのですが、企業の成長とともに社員も増えていきます。
そうなると、事業計画の実行の一部を社員にも担ってもらう必要があります。
それらの指示をすべて口頭で済ます場合もありますが、社員数が多ければすべて口頭というわけにもいきません。
そこで、どのように事業を進めるのかを社員にも理解してもらうための資料が必要となります。
それが事業計画書です。
事業計画書は、社員が読んでも分かるレベルにしておくだけでなく、社員が実行できるレベルにしておく必要があります。
③社外の人(関係者)
事業計画書を社外に対して説明(PRを含めて)することは重要です。
それによって銀行からの融資を受けたり、投資家から投資を受けたりすることにつながるからです。
また、取引先との取引開始時や関係継続のために、取引先に事業計画書を説明することもあります。
その他、補助金や許認可を得るために、国や公共団体などに提出することもあります。
社外の人の場合は、経営者自身や社員と違い、「そもそもこの会社とはどのような会社なのか」「社長はどのような人なのか」なども説明しておいた方がよい場合もあります。
そこで、社外の人にも分かるような事業計画書にする必要があります。
以上のように、大きく分けて3つの「読む人」がいます。
それぞれの人も目的に合った事業計画書にしていかないと読まれませんし、目的が達成できません。
では、それぞれで事業計画書を変えるのかと言うと、そういうことではありません。
経営者の考えている事業計画書と銀行に提出した事業計画書が違えば信用されませんし、一旦信用されて融資が出た後で違いが分かれば信用を失うことになります。
また、経営者自身の考えと社員向けの事業計画書が違えば、現場は混乱します。
このように、最終的な表現の違いで別々に清書をすることはあっても、本質的な内容はすべての読む人に通じるものにしていくべきなのです。