社長の最大の任務は、経営の長期計画であり後継者の育成です。
その他については、なるべく経営幹部以下に任せるようにしたいものです。
昔、松下電器の松下幸之助社長が二百五十年計画と人づくりに専念するとき、財務経理は高橋幸太郎副社長に任せました。その結果、松下電器は業界トップに立つことができたと言われています。
本田技研工業の本田宗一郎社長は開発に専念、他の大部分は藤沢武夫副社長に任せ切り、ホンダも世界のトップメーカーとなることができました。
私が考えるに、社長の仕事の70%は人材開発、特に経営幹部の育成です。あとは、得意分野の徹底(営業系なら、トップセールスを推進。技術系なら、技術開発に特化など)と長期計画を作成することになるでしょう。
中小企業のトップの場合、直接指揮は緊急に限り、例外としたいのが理想です。金策に追われてしまう事もよくありません。
特に財務管理の別にして、公私混同を防ぐことが一番大切です。
役員は専門部門を任されて担当しても、トップ会議では常に部門利益代表にとどまらず、マクロと長期の観点で考え、発言してほしい方向性に向ける必要があります。
自分の独断より、「任せて衆智を集めた方がずっと良い仕事ができる」という経営哲学に立つことが、任せて経営が発展する極意となるのでしょう。