カンパニー制が失敗する理由 | ソリューションのおぼえがき

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カンパニー制は、業務と経営の責任を分けて、意思決定のスピードアップを目的として導入されることが多いです。


事業部の権限が大幅に制限されている事業部制から、大きな責任権限を与えたミニ会社制になることで、意思決定の迅速化を図る施策です。


また、カンパニー長を経験させることで、次世代経営者の育成をできる一石二鳥策です。


 カンパニー制導入に失敗した企業は、その理由として、

①カンパニー長(執行役員)が、取締役会でカンパニーの利益を優先するような発言を行う傾向が強まった、

②カンパニーが、短期的成果を追求しはじめた、

③カンパニーに人事権を与えていないにもかかわらず、従来以上に、将来有望な人材の異動が困難となった、

ののようなことが起きたそうです。

 

しかし、これらの問題は、カンパニー制への移行を検討中に容易に認識できることばかりです。なのになぜ??


たとえば、カンパニー長の利益優先発言や短期成果指向に関しては、執行役員であるカンパニー長を取締役会メンバーから外しておけば解決できた問題じゃないですか。


要するにカンパニー制の導入失敗の本当の理由は、カンパニー制そのものにあるのではなく、「執行役員であるカンパニー長を取締役会メンバーとしたため、形式的には業務執行責任と経営責任が分離されているにもかかわらず、取締役会が「カンパニーの利益代表者見解の調整の場」となってしまった」ことにあったということです。
 

 人事権の問題に関しては、人事権をカンパニー長に与えて、全社調整のために人事部が機能すれば、解決できた問題ではないでしょうか?

でも実際は、全社的観点から人事部が担当する企業が多く、が、現実には、強い影響力を持つ部門トップが反対すれば、人事部が計画した異動が実現しないことが多いと考えられます。


 要するに人事権についてのルール化がなされず、自部門の成果しか考えられないカンパニー長に最終人事権を与えることが間違っているのではということなのかもしれません。